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Flagrant 高校生特殊部隊が異世界転生  作者: 十牟 七龍紙
Red Storm Rabbit
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【S10】Fuck Yeah.

 くそったれ、あぁ畜生!なんて連中だ!


「地獄へ帰れクソ野郎!」


 教えられた手順通り、俺はホフキンスに向けて、木箱から取り出したシェルを投げ渡していく。


「タァッツ! あと何体だ!」

「わかんねぇよふざけんな!」


 あいつはほんとに馬鹿だな! 俺がそんなこと知るわけないだろ!


「いいからさっさと殺せよ!」

「やってるだろ!」


 入り口に向かって次々と詰めかける死体の群れ、群れ、群れ……奴ら減りやしねぇぞ!

 どれだけ殺したって、どれだけブチ込んでも連中平気な顔して立ち上がってきやがるぞ! あぁ、もう顔のない連中のほうが多いか、クソ!


「扉が壊れちまうよ!」

「いいから手を動かせ新兵! 死にたくなけりゃな!」


 ホフキンス、数人の兵士、そして俺が立てこもったのは城壁の武器庫。もう他の場所はほとんどあいつらだらけになってるだろう。

 バイバレスの連中だけじゃない、死んだらみんなああなっちまう!

 ていうかバイバレスだろうがなんだろうがお構いなしだ。死体連中はとにかく生きてる人間に襲い掛かって、お仲間を増やそうとしやがる。


「タッツ!」


 名前を呼ばれて振り向く。そこからは頭を右肩からごっそり失った何かが窓を乗り越えようとしているのが見えた。


 手に持っていた拳銃をそれに向けて、とにかく引き金を引きまくる。死ね、死ね、死ね!

 野郎の左手の指が吹き飛ぶ。肘が半分に千切れた、手の中で小さなドラゴンが火を噴く度に血飛沫が舞う。

 

 まともに連射を食らってそいつはずるりとそこから落ちて消えていく。どんなもんだ、ボス仕込みの射撃術ってやつだ!


「タッツ! 弾薬は大切に使え!」

「うるせぇホフス、前見てろ!」


 扉を突き破って入ってこようとした死体をホフキンスが蹴りつけてから、M1014とかいうショットガンで吹き飛ばす。

 あの威力をまともに食らって生きていられる人間なんていない……はずなんだけどな!


 もう何発目かわからない。ホフスがそうやって死体を殺すのだって、何度目かわからない。

 なのに何であいつらは減らねぇんだよ!!!


「もう限界だぁ!」


 わかってんだよそんなこと!


「くっそぉ!」


 もうあいつらが侵入してくるまであと少しだ。

 俺たちがどれだけ頑張っても、あいつらはいつまでも湧いてくる。


 くっそぉ。


「俺が死んだらお前が撃てタッツ」

「冗談言うな」


 ホフキンスが再び扉を押さえつけながら、窓から侵入しようとした奴を吹き飛ばす。


「俺に殺せるわけないだろ」


 その反対側、また一枚窓が破られ、入ってきた一匹を俺の拳銃がぐちゃぐちゃにした。


「こんなもんでてめぇみたいなデカぶつ、殺せるかよ!」

「ったく、つかえねぇ野郎だな!」


 ふと気が付けば、俺の手元に残ってる弾薬はあと一発。


 武器庫に積み上げられた弾薬箱もさっきので最後だ。




 銃口を自分に向けてみる。

 その穴からは独特の焦げたような臭いがしていた。


 引き金に親指をかける、不格好だけど、仕方ないさ。

 死体に自分を食われる記憶なんて残して、天国に旅立ちたくないからな。


 じっと目を閉じて、その銃口をぴったりと胸にあてた。








「おい」


 うるせぇ、黙ってろホフス。俺は今真剣なんだよ。


「おい、なんだこりゃ」


 ……? なんだ。


 なんだか気になってうっすらと目を開けた……瞬間死ぬかと思った。

 俺の目の前に死体がどさりと落ちてくる。クソ!




 だがそいつがおかしい事は俺にもすぐにわかった。

 そいつは俺の目の前でぴくりとも動かない。


 こいつ。


「死んでやがる」


 死体のくせに。


「こいつ、死んでやがる」


 部屋の中にいた誰かが呟いた。


 恐る恐るそいつを槍でつついてみるが、そいつはやはりぴくりともしない。

 死体のくせに、死んでいやがる。


 みんな外が気になったのだろう、俺だって気になるから、つられて外がどうなっているのか見るために俺も遅れて立ち上がった。


 。


「死んでる」


 そこに広がるのは、ともすれば凄惨な光景としか言いようがない、数多の死者たち。


「死んでる!」


 だが俺たちにとってそいつは福音で。


「死んでやがる!」

「死んでやがるぞ!!」


 あぁ。

 人生でこれほど嬉しかったことはない。


 いや、三度目くらい。



 一度目は初めて女と付き合った時、二度目は男になった時。



 とにかく。


「クソったれ! 最高の気分だぜ!!!」


 近くにあった死体の首を蹴り飛ばして、死んだ奴らと俺らはしばらく喜びを分かち合った。

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