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Flagrant 高校生特殊部隊が異世界転生  作者: 十牟 七龍紙
The ShadowWarrior
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【1】First in

 

(何だ。 ここはどこだ)


 見渡す限りの草原の中俺は倒れていた。

 体の形を残した草木のしなだれは、間違いなく俺がここに倒れていた証拠だろう。

 これが夢幻の類でない限り俺は間違いなくここに存在していて、それが悪夢という他なかった。


(俺は、さっきまで)


 思い出そうとすると頭が痛い。

 落ち着いてみれば体も随分と気だるく、まるで鉛の入った手足はぶら下がっているだけで疲労を感じさせる。

 かろうじて動く首を回して見渡してみればやはりあるのは青々とした草原と、

 この広々とした原っぱを取り囲むように映えた木々……いやこの規模であれば森だろうか。

 気だるさはあるものの、どうやら体にこれといった目立った外傷はないようで一先ず胸をなでおろした。

 装備も全て揃っているようで、気を失っている間誰かに何かをされたという線は薄そうである。

 土と草汁に濡れたズボンを地面から引きはがして立ち上がって、高くなった視界で周りを見渡せば色々な事がわかった。

 

 どうやらここは小高い丘で、草原と思ったのはこの一帯にしか生えておらず、少し先に行くと開けた場所がある。

 右を見れば海が見え、左を見れば山が見え、どうやら集落らしき存在もまた目に映った。

 例えるならここはのどかな田舎町。その田舎町の近くにある森の奥の丘といったところだろうか。

 何の変哲もない景色であるが、それ故に俺の頭は余計に混乱する。


 これはいかにもおかしい。

 あり得ぬことだということだけはおぼつかない今の頭でもはっきりと理解できる。

 それほどまでにあり得ない事が俺の目の前で起きているのだ。

 

(俺は、チームと共に、ジャハブを強襲していたはずだ)


 ジャハブ・アルバンナー。

 南スーダンで外国人を人質にしていたIUFの幹部。あの男の住居を強襲し、人質を解放すべく突入したはずだ。

 かろうじて思い出せる記憶にはジャハブに銃口を向けた記憶が思い起こされる。


「誰か」


 胸元のスイッチを押して声を出してみる。

 強襲作戦だ、長距離用の無線など持ってきていなかった、このインカムの声が届くのは精々五十メートルといったところ。


「誰か、いないのか」


 それでももしかしたら、もしかしたらチームの誰かがいるかもしれないと呼びかける。

 視界は完全に開けて五十メートルどころか三百メートル先まで見渡せるこの場所で、一体どうしたら見落とせるというのだろうか。


「こちらジャンパー、作戦行動中に完全に位置を見失った、誰か応答してくれ、こちらジャンパー」


 当然といわんばかりにGPSもまた沈黙している。

 あらぬ方向へと飛んで海の上を指し示すこのガイドが役に立たぬことは言わずともわかるだろう。

 焦りばかりが積もっていく心の中で、この非現実な状況に適応するべくまた頭が働いていく。

 風の音、鳥の囁き、草のなびく音……そんな自然の中に不躾で、随分と似合わぬ音を感じ取った。

 背の高い草の中に身が完全に隠れるようにして、相手からこちらの姿が見えないように極力気を付けながら、その音のする方向へと移動する。


 この時感じたのは警戒心、というよりも俺以外の誰かがいるという安堵だった。

 別の誰か、もしかすればチームの誰かかもしれないその足音を待って、違和感を覚えたのはすぐ。

 足音が一人のものではなく複数……それも誰かが追いかけられているらしいことがわかる。

 穏やかならぬ気配を感じて、その先に目を凝らした。


「っ!?」


 この非常識な状況だから、これ以上おかしなことは出てこないと、勝手に思い込んでしまっていた自分が、アホのように口を開く。


「剣……だと!?」


 追いかけられた二人の女が、追ってきた男達と対峙する。

 そのアンティークのような刃のきらめきをもって。

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