売り飛ばしはしない
雄太と虎太郎の一対一の会話が始まりいつの間にか二人は打ち解けていたが雄太は作戦をいってしまったのだ。さすがに怒る仲間達だがクリアーという人物は雄太の姿勢を評価していたのだ。
計画を漏らした雄太に憤るニラーゴとハルコだがクリアーはなぜ『大丈夫』や『さすが村長』という発言をしたのか彼の口から明かされる。
「まああなた達は気付いていないでしょうかあの会話は完全に村長が主導を握っていた。」
「・・・言われてみれば相手が村長のペースに乗せられていたような・・・」
「しかし、計画を漏らすのはどうかと・・・」
「ボーリックは厳しい男だ。相手のペースに乗せられたやつの言うことなど信用しない。」
「あ!!」
実はボーリックは敵軍と仲良くなったり打ち解けたりした人間を基本信用しない一面があり、恐らく雄太は早い段階でそれを見抜いていたようだ。
「しかし、その会話の様子をボーリックは把握しているのでしょうか?」
「勿論虎太郎以外に会話のやり取りをチェックする人間がいるはずだ。だから彼が村長と打ち解けていたのはすぐに分かる。しかし彼は自分達の情報を漏らしていないのでお咎めはないだろう。」
「でもそれならどうして彼は村長と打ち明けてしまったのかしら?」
「いや、最初は普通に情報を引き出すつもりだったのだろう。だが村長のキャラクターに惹かれたのかもうそういうところは考えていないと思うよ。一応聞いたことは報告するだろうけど・・・」
「それを分かっていたのか・・・まさか・・・」
「村長・・・恐ろしい子・・・!」
ハルコは驚きのあまり一瞬白目蒼白になっていたがニラーゴは雄太のその能力に関心を抱いたのかニヤリとしたのである。
「(村長・・・あなたはやはりすごい人だった。敵と打ち解けるなんて簡単に出来ない!)」
ーその頃ー
クリアーの推測通り、虎太郎と雄太のやり取りを陰からチェックしていた二人の内の一人はすぐに自軍が待機する村へと戻り、ボーリックへ何らかの報告に向かう。
「ボーリック隊長!虎太郎氏は敵の会話に完全に乗せられてしまっています!!」
「だろうね。仕方ないよ、彼は。ただこちらの情報を漏らしていなければそれでいいから。」
「仕方ない・・・?」
虎太郎が雄太に惹かれたのは仕方ないと言い出したボーリックだがなぜ仕方ないのか疑問に思う報告者の男性であった。
「君の気にする部分じゃないよ。ところでもう一人の子はまだ二人のやり取りを聞いているんだね。」
「は、はい。」
「パリーヌ・トランビュート陸軍隊員・・・彼が敵の村長だとは思わなかったよ。」
逆にボーリックも雄太の正体を完全に見抜いていたようだ。しかしそれでもボーリックはまだ動かない。
ー雄太の家ー
会話を終えて立ち上がった雄太と虎太郎は強く握手をしたのであった。そして虎太郎は別れ際に雄太に一言飛ばしたのである。
「この作戦を全て報告する!」
「別に・・・構わないよ!!」
しかし突然ニラーゴは「あ!」とした顔をしたのである。
「クリアーさん、もし虎太郎がこの作戦と逆の内容の報告をしたらヤバイですよ!?」
するとクリアーは冷静な表情でニラーゴに語りかけた。
「勿論やばいよ。」
「それでなぜ冷静でいられるのか・・・」
「虎太郎は気持ちが変わっているかもしれない。村長を売り飛ばしはしないよ。」
「?」
クリアーは虎太郎の心中を見抜いているのか「彼は絶対に雄太が不利になることはしない」と言わんばかりの顔であった。
やはり作戦の内容はボーリックに伝えられることが確実視されるもそれをボーリックが信用するかどうかで展開が変わる。虎太郎が雄太の作戦と真逆の作戦のことを話してボーリックが信じなければ雄太達の計画は確実おじゃんが見えている。しかしクリアーのいう『虎太郎は雄太を売り飛ばしはしない』とは・・・?




