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『悪魔は拳銃を放つ』

 アスラムから聞かされたヒートンの意外な過去を知り、雄太は何かを感じたようだ。そして初日の勤務が終わろうとした時であった。

 ヒートンが駅で出迎えてくれていたのを見て車からおりた雄太は「やっと戻ってこれた」と胸を撫で下ろした。確かに殺されかけたり修行したりと色々あったからだ。すると駅前に見覚えのある顔の人物がいた。


 「(わ!あの人!?)」


 そう、その人物とはアスラムに出会う少し前に自分を射殺しようとしたあの(・・)人物であった。するとその男性は雄太の姿を見て笑顔であいさつをしてきたのであった。


 「さっきはごめんね!お疲れ様!」


 「???」


 突然謝られても雄太は何が何だか分かっていない様子であった。それに気付いたヒートンはアスラムの方を向いてうなずくとアスラムもうなずいたので雄太にこれまでの経緯(いきさつ)を説明したのである。


 「パリーヌ君、説明するね。この人は【ジョン・シャンプー】といってアスラムのお兄さんでトランビュートの市会議員の方。君が道場で修行した方がいいかどうか確かめてもらったんだ。」


 「へ!?」


 全く意味を理解できていない雄太にヒートンは分かりやすく説明をした。


 「つまり君が駅前に行くのは目に見えていたからまずはジョンさんに君の精神力を確かめてもらったわけ。すると君は案の定逃げたからそのあとでアスラムに待機してもらったんだよ。」


 「・・・え、そうだったんですか?って拳銃をなぜ議員さんが!?」


 「パリーヌ君だったかな?この大陸では大体の人は常に拳銃を持ち歩いているよ!認められているんだ。モデルさんでもスポーツ選手でも大体が持ち歩いているさ。安全のためとかそういうときに普段(・・)は使うんだ。」


 「そういうことだよ、パリーヌ君。ジョンさんの言う通り大多数の人々が常に携帯している。もし必要ならパリーヌ君の拳銃も用意しておくよ!」


 ジョンやヒートンによると誰もが拳銃を携帯できるとのことで雄太が拳銃にも屈しない精神力かどうかを確かめるために発砲したが案の定怖がったため修行が必要だと判断したという。雄太はヒートンのズボンの後ろポケットに小型拳銃があるのを見てしまったのであった。


 「あわわわわ・・・!」


 「恐れることはない。むしろ持っていた方が安全だからジョンさんの知人に銃を扱う人がいるから手配してもらうよ。」


 「ヒートンさん・・・よ、よろしくお願いします・・・(こえーっ)!」


 修行をしても雄太の怖がりぶりはやや相変わらずであった。しかしジョンやアスラムのおかげで自分が強くなれたことも実感し、たくましくなれたような気がしていたのも事実だ。


 「(本当に周りの人に助けられたおかげでここまでこれた・・・!感謝、感謝!)」


 そういうと目をつむって手を合わせる雄太であった。それを見たヒートン、アスラム、ジョンは雄太の思いを理解したのか笑顔で見つめていた・・・しかし、その雄太達の方を陰からのぞく怪しい人物がいた。男性は若い感じでアゴヒゲを蓄えており、野球帽を被っていた。


 「(あれは市川か・・・こりゃ仕留めるチャンスやな。)」


 すると男性は猟銃を取り出して背中を向けていた雄太の頭部辺りを狙って撃つ準備をしていたのである。


 「(さて、様子を見てからぶちこむか!)」


 銃を構える男性・・・雄太はその事に当然気がつかない。


 「皆さんのおかげで僕はここまでこれましたんで・・・本当に・・・」


 感謝の言葉を述べようとした雄太。すると男性はトリガーを引いたのだ。


 「(今だっ!死ねっ!!)」


 “パーン!!”


 突然駅前に鳴り響いた乾いた音。先程まで談笑していたアスラムとヒートンは眉間にしわを寄せて周りを見渡していた。ジョンは誰が発砲したのか聞き込みへと向かう。


 「何事だ!!」


 「誰かが発砲したようだ!!誰が撃ったか見たか!?パリーヌ・・・く・・・ん・・・?」


 ヒートンが雄太の方を向くと仰向けになって背中から大量の血を流して倒れている雄太の姿があった。


 「パリーヌ・・・君?おい、しっかりしろ!!パリーヌ!!」


 ヒートンは雄太の身体を揺するも目を覚まそうともしない。そればかりか脈も無くなっているのだ。


 「ま・・・まさか・・・死んでやがる!?」


 「え!?」


 「すまないヒートン!誰が発砲したか分からな・・・ってえ?」


 3人が駆けつけるとすでに雄太は命を落としていたのであった・・・


 「まさか・・・今日が最終回(カタストロフィ)になるとは・・・!!」


 「アスラム・・・まさかこんなことになるとは・・・!」


 「パリーヌ君、まだ初日なのに・・・どうして!?神様は彼になんの恨みがあると言うんだ!!」


 3人は悔しさを滲ませた顔でヒートンにいたってはこの日が初対面にも関わらず涙を流していたのだ。


 「せっかく、これから一緒に鉄道の旅を楽しもうと決めた矢先なのに・・・一緒の同志(・・)なのにどうしてこうなったんだよ!?神様、いるんならすぐに甦らせてくれよ!?こいつはまだ死んじゃだめなんだよ!!」



 ――2017年10月17日午後18時11分・市川雄太、死亡(死因・銃撃)――



 まさかの展開であった。雄太の物語が終わりを迎えてしまった・・・しかし、ポケットからこぼれて出てきた【レンジカード】に気付いたヒートンはそれを拾うとある文字が書かれていることに気が付いた。



 『終ワラナイ旅、終ワラナイ未来』



 この文章を見たヒートンは微かな希望を抱いたのか涙を浮かべて月の出た夜空を見つめたのであった。しかしその希望は本当に叶うのだろうか・・・

 銃撃に倒れる雄太・・・アスラムの恐れていた悪夢の結末になってしまったのである。しかし『レンジカード』に書かれた文章に希望を見出だしたヒートンの思いとは・・・?

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