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事件の核心

 アスラムの道場に無理矢理連れてこられた雄太は勇者の剣と再会し、アスラムの厳しい修行をこなして剣の技術を高めてはさらなるレベルアップを目指す。

 剣でぶら下がった紙を切るという厳しい修行(?)をクリアして達成感を味わっていた雄太は道場内にあるテレビに視線を向けたのである。そしてよりによってその番組は市川への怒りの声がたくさん聞こえる議員達の会議の中継であった。




 ◆◆◆◆◆◆◆◆




 マクレーンの証拠はまだ公開されていないが会議場ではどのような証拠が出てくるのか注目されていた。そして証拠を開示していないにも関わらずマクレーンはここで質問を募ったのである。


 「皆様、何かご質問は?」


 すると一人の男性が右手を上げた。


 「はい、『ハルゲイナス』さん。」


 手を上げたのは警察や保安官の組織をまとめる【保安庁】の元保安長官・【ヤマント・ハルゲイナス】上院議員であった。しかしハルゲイナスの目付きは非常に鋭くマクレーンは彼の顔を見るなり嫌そうな表情を見せていた。


 「あのな・・・一つ言っていいかな?」


 「どうぞ。」


 「貴様!!何が『どうぞ』だ!?貴様は以前政権が交代した際に私から【保安長官】の職を奪ったばかりに『首都ゲート爆破事件』を起こさせる失態をおかしておきながら堂々と議員を続けて国民の生活のための長官とはふざけているぞ!!」


 「ハルゲイナスさん、落ち着いてください!」


 あまりの大声を上げるハルゲイナスに保安副長官の【アイバン・ズロチ】上院議員は注意を促すもハルゲイナスは聞く耳をもたずにいた。


 「マクレーン!貴様がちゃんとしていたらこんなことにはならなかった・・・そうだろ!?アダマン!!」


 「え・・・!?あ・・・・・・」


 ハルゲイナスは現・保安長官である【エクトル・ソクラテス・アダマン】上院議員の名前を出すとアダマンは急に話を振られたからか当然戸惑っていた。そしてハルゲイナスはまだ続ける。


 「私の母はもうすぐ100回目の誕生日を迎えようとしていたのに貴様のせいで事件に巻き込まれて死んだんだ!!どう責任をとるのだ?」


 「・・・・・・」


 「ちょっとハルゲイナスさん、落ち着いてください・・・!」


 「アイバン!お前は少し静かにしてくれ!!」


 「あ・・・はい・・・」


 ハルゲイナスの怒りを受けて完全に黙りこんだマクレーンの様子を見て再度注意をするズロチだったがハルゲイナスの威圧感に負けてしまったようだ。


 「マクレーン!!貴様はその『首都ゲート爆破事件』の責任を全く取らないばかりかこの『市川事件』を利用して信頼を回復しようとしている・・・そうだろ!?」


 「いえ・・・」


 「何が「いえ」だ!?そうやって否定しても実際に事件は起きた・・・私は絶対に貴様を許さない!!ことの重大さは・・・分かっているか!?マクレーン!!」


 「やめてくださいハルゲイナスさん!」


 「ズロチ!お前もまさしく()になったな!シマントもな!」


 マクレーンに強く問い詰めて大声を上げるとズロチはハルゲイナスの目の前にやって来て両手を横に広げて制止したのだ。マクレーンもシマントも何も反論できなかったのかしゅんとしていた。この怒りの背景に自身が長官職を解かれた直後に起きたこととその事件のために母親が100回目の誕生日を目前に死亡した怒りがあったからだ。強い怒りを見せるハルゲイナスの姿に他の上・下院議員の面々は静かに聞くしかなかったのか誰もが一言も発言しなかったのであった。




 《国法長官会見室》




 その頃、国法(こくほう)長官(日本の法務大臣にあたる)専用の会見室で現在の国法長官である初老の【アルバン・エドワーズ・ゼラ】上院議員は『市川事件』について触れていた。


 「えー、現在逃走中の死刑囚・市川雄太についてですが今後のことについて報告します。再拘束した場合、逮捕直後に早い段階での死刑執行を命令すると同時に逃走を補助した関係者の捜査を徹底して行うことを国民の皆様にお伝えします。そして今回私の出身地であるブルーチにヘリコプターが墜落したのもことの発端は市川死刑囚とあって憤りを覚えております。」


 そう語るとゼラはブルーチのヘリコプター墜落に関して世間とは違う見解を見せたのである。


 「ですがブルーチにヘリコプターが墜落した件についてですがこれは市川死刑囚が搭乗していた際に空軍の副隊長がヘリコプターに砲撃して市川死刑囚がヘリコプターから転落したために操縦するものがいなくなったために墜落したという事情があり、この件は彼に重大な責任はないように私は思います。」


 この発言は世界配信され、賛否の声があったようだ。だがゼラはここでヘリコプターの『市川搭乗』を正式に明らかにしたのだ。




 《会議場》




 一方、ハルゲイナスを落ち着かせたズロチは再び質問をするよう声をかけた。


 「はい、質問がある方どうぞ!」


 すると一人が手を上げたのである。


 「はい、どうぞ!」


 「すみません、よろしくお願いします。私は上院議員の【サンチョ・エンタイル】と申します。この度はマクレーン長官に質問したいことがございまして挙手いたしました。」


 手をあげたのは若手の【サンチョ・エンタイル】上院議員であった。しかしエンタイルはここで市川事件の核心をつく質問をしたのだ。


 「その聞きたいこととは市川死刑囚が本当に事件を起こした(・・・・・・・)のかしっかり調査されたのでしょうか?彼が犯罪者と強く主張されるわりにはこれまでの経緯(いきさつ)を見ても彼が犯人だという証拠が全く存在しないように思えます。」


 するとアダマンが慌てて代わりに回答をしたのである。


 「この度はご指摘いただきありがとうございます!事件についてですが不審な行動が見られたことと実際に逃げ回っていること等から犯人ではないかと確信している所存です。」


 だがエンタイルはさらに突っ込む。


 「しかし裁判中(・・・)の質問の際に彼は『警察官に話を聞いてもらうばかりか射殺されそうになったので逃げるしかなかった』と発言された(・・・・・)そうじゃないですか。それを裏付けようとせずに彼を悪人と論じるのは時期尚早すぎやしませんか?」


 「いえ、警察官の証言では怪しい行動をしていたことから事情を聞いたところ逃げたという話です。」


 なんとアダマンはエンタイルの質問に対して事実と異なる発言をしたのである。




 ◆◆◆◆◆◆◆◆




 会議の中継を見ていた雄太は真剣な表情をしていた。


 「(裁判?いつの間に行われていたんだ?しかも秘密裏ではなく確かに俺が出廷している・・・)」


 記憶にないはずの裁判のやり取り・・・このエンタイルの発言を機に世間の雄太に対する反応に少なからず変化があることをまだ雄太は知らずにいた。

 議員達の発言から雄太への風向きが変わろうとしていたが一方で記憶にないはずの裁判の話などが出てきた。雄太はそれに疑問を覚えるも謎は少しずつ見えてきていたのだ・・・!

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