雄太とチャンス鉄道の旅②
職業相談所で手続きを済ませていよいよ鉄道員として活動を開始する雄太。だが一方で彼を追う人物も存在し・・・
雄太とヒートンは車掌席に入ると釣り鐘のようなものがあったがヒートンはそれを鳴らしたのである。
「これは出発のときに鳴らす鐘だよ。キンコンカンコンと鳴らしてから言うんだよ。」
ヒートンはそう言うとマイクのようなものを取り出して地声でアナウンスしたのである。
『扉が閉まります、ご注意ください。』
「(俺の世界と一緒だな・・・)」
雄太は自分の世界の鉄道の車掌と一部除いて同じだなと感じたがヒートンは雄太に説明をする。この時電車は動き始めたのである。
「これから13の停車駅があるけど途中の【ドトックシティ】から【スタジウスポート】間は距離が長いからそこに置いているメディアからの提供の『チャンス鉄道メディアニュース』を読み上げてほしいんだ。」
「(これをやはり・・・)ところでどのようなニュースを書かれているのでしょうか?」
「ああ、社会・政治・お知らせ等多々に渡るよ。」
「(もしかしたら俺のニュースもあるかもしれないな。)」
「ん?顔色が悪そうだけどどうしたんだい?」
「いえ、緊張してしまってまして・・・はい。すみません・・・!」
「そ、それなら良いが・・・」
ニュースを読まなければならないことを知り、顔をしかめる雄太をヒートンは体調が悪いのかと思い心配したのであった。そして電車はすぐに次の駅に到着したのだ。
『次は【プチフレスト】~、【プチフレスト】です!』
「あれ?もう次の駅で?」
「プチフレスト駅はカーブルの隣の駅。山の中の小さな駅だけどね。」
「(山の中・・・この場所に行ったら何か情報が掴めるだろうか。)」
雄太はこのプチフレストの駅周辺で何らかの情報が得られるかもしれないと考えたようだ。
「パリーヌ君、ぼ~っとしていて何かあるのかな?」
「ああ、すみません!」
ヒートンに注意されて我に返る雄太だがその姿からどうしても元の世界に帰りたい気持ちが強いのだろう。それを考えると車掌の仕事なら色々な場所を見に行けるので今の雄太にはうってつけの業種なのかもしれない。
「(大変な仕事だが色々な場所に行ける。これこそ天職ってやつかな。これから6年間・・・いや、異世界に帰るまで続けるんだ!)」
雄太はやる気を出すとヒートンに色々な質問をしたのであった。
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一方である街の雄太の世界で言う警察署にあたる『保安庁』では署長にあたる【ニキータ・ベタンコート】がマスコミを集めて会見である発表をしようとしていた。
「皆様、お集まりいただきありがとうございます。この度は保安庁から指名手配犯に関してのお知らせがございまして報告したいと思います。」
そしてニキータは深呼吸をして報告を発表する。
『皆様、こんにちは。この度、現時点で指名手配中の容疑者の一人に関して生死不明であることを報告したいと思います。その容疑者の名は・・・』
息を飲むマスコミ各社・・・そして・・・。
『市川雄太!懸賞金1200万C』
『この者は先日、ヘリコプターで逃走していたところ空軍の【ドン・ギルオーネ】による砲撃を受けてヘリコプターから転落したとの情報があります。したがって死亡が正式に確認されるまでは指名手配としておりますが生死が明らかになり次第再び報告いたします。』
なんと雄太は生死不明とされていたのである。見つかれば『死』に等しい状況ではあるが生死不明となれば追跡も減ることが予想されるのでこのことを現時点では知らない雄太ではあるがこの署長判断は有り難いことなのだ。ただし生きていることが明らかになれば間違いなく追われる危険性が高まるのでこの情報を雄太が知ったとしても油断は禁物なのだ。
◆◆◆◆◆◆◆◆
何も知らない雄太は【ドトックシティ】を出発すると小型マイクを手にニュース原稿を持ってニュースを乗客に伝える。しかししゃべり方はヒートンが普通のしゃべり方に対して雄太は鼻にかかるような裏声であった。
「次はスタジウスポート、スタジウスポートです!では本日のニュースをご乗車の皆様方にお知らせします。」
雄太は一つ一つ読み上げるがカーブル郊外での銀行強盗事件やドトックシティの川で溺れた子供を男性が救助したりと雄太に絡むニュースは一つもなかったのだ。雄太は読み終えるとホッとした表情を見せた。
「では本日のニュースをお伝えしました(よかった、俺のニュースはない・・・)。」
「パリーヌ君、良くできたね。しかし独特な声だなあ。」
「ええ、これは僕のせ・・・いや、ちょっとお客さんに反応してもらえるように引き付けたといいますか・・・」
「偉いなあ。お客さんに聞いてもらうためにしていたんだ。そこまで考えてやっている鉄道員はなかなか居ないから君は見込みがあるなあ!」
「あ、アハハハハ!」
自分を徹底して作ってごまかしている罪悪感からか変な笑い方をする雄太であった。そしてスタジウスポートに到着する直前に電車は山の中から一転して海沿いを走行する。しかし海の綺麗さに雄太は心を奪われたのであった。
「(うわ、すげえ!海が輝いている!俺の世界でこれほどまでに綺麗な海はねえ!)」
そうこうしているうちに電車は港町であるスタジウスポートに到着したのである。そしてこのスタジウスポートという場所で雄太は重要な出会いを迎えるのであった。
鉄道員として活動を開始した雄太はいよいよ車掌デビューしたのである。一方で雄太の生死不明の判断がされたことと雄太のこれからがどう絡むのか?そしてスタジウスポートで一体何が起きるのか・・・!
新年明けましておめでとうございます!本年も本作および松浦長光をよろしくお願いします!




