手と体温
もうすぐクリスマスですね。未だ僕には手を繋いであたためてくれる彼氏も彼女も彼氏も彼氏もいません。現状報告でした。
学校の帰り道、雪も少し積もり早く帰りたい、と歩く足が素早くなる時期だ。
そんな中私は、時人と無言でいつもと変わらない歩幅で歩いていた。
「時人、寒い。」
私はそう言って時人に手をだす。
時人は仕方ない、と言うように笑うと私の手を握った。
骨々とした手は私よりも冷たくて、指先なんて凍っているみたいだ。
「時人の手、冷たいね。」
「暖房代わりにならなくてごめんねな」
マフラー越しにくぐもった声で謝ってくる。
違うの、時人の冷たい手を温めたかったから私繋いでって言いたかったんだよ。
言おうとしても喉元でつっかかってでてこない。
「雪ちゃんの手は柔らかいね。」
そう言って手のひらをでいじってくる時人の親指は、なんだかいやらしく感じる。
「くすぐったい…」
時人の何かを刺激してしまったのか、目つきが急に変わった。
私の手を口元に引っ張ると、時人は手のひらを舌でゆっくりと舐め始めた。
歩く足は止まり、私の感覚は手へと集中する。
「ひ、ひっ、」
生暖かい感触が私の手のひらから指先まで辿り、冷えてゆく。
「…しょっぱい。」
冬の外なのに私は体温がどんどんあつくなる。
「時人、そ、外なんだけど。」
いくら周りにあまり人がいないとはいっても、いつくるか知れたもんじゃない。
すると時人は私の身体を引き寄せた。
腰に手が回る。
「これで何してるかわからないよ。」
「もっとダメだと思う…」
時人の身体はいつもよりあたたかく、何故かコートを通して伝わってくる。
はつ…発情でもしてるのだろうか。
「雪ちゃん…今我慢するから、着いたらすぐしていい…?」
手にキスを落とし、離すと時人は私の頬に手を添えてきた。
そのまま冷たい指先が首筋を辿ると私の何かが刺激された。
時人のその、野獣のような目で見つめられると、私は断れない。
きっと顔はもうイエスと言っているくらい真っ赤なのだろう。
「コート脱いでからにしてよね…」
「うん、約束する。」
このあと約束は破るためにある、とでも言わんばかりに私はコートのまま、押し倒されるのであった。