39.0,40.0
†††39.0
突然の出来事に盗賊たちは皆ぎょっとしたようです。ある者は無くなった腰の武器を手に取ろうとし、ある者は逃げようとして柵に阻まれ、ある者は収拾をつけようと号令をかけますが聞く者はいません。
盗賊たちはあっと言う間に全員捕らえられてしまいました。
ただ、あの魔法使いが化けている盗賊だけが一人立っています。
他の全員が地面に伏せて、後ろ手に縛られ、兵士に組み伏せられている中で、その男が手を一振りします。
すると兵士たちは盗賊を立たせて、歩かせ始めました。
男はその様子をしばらく注意深く見ていましたが、盗賊たちが一列に並んで行進するのを確認してふうと息を一つ吐き、
「やあ、ごめんごめん」
と言って男は少年が立っている方向へ向かって指を振りました。
すると、少年が現れ、魔法使いの姿も変わりました。
すらりとした赤毛の青年です。長い髪を後ろで縛っています。服装は少年は知りませんが実は宮廷の文官と同じ格好です。
少年は丘の頂上へ、魔法使いの所へと向かって歩き、魔法使いは少年へ向かって歩いてきました。
「僕はホルトゥンだ。よろしく」
と魔法使いは手を伸ばしてきました。
「よろしく」
少年は手を握り返しました。
†††40.0
「どうやったの?」
「何が?」
「いや、その・・・・・・」
どう言っていいかわからず少年はただ一列に行儀よく行進させられている盗賊たちを見つめるだけでした。
そんな少年の視線に気づいたのか、魔法使いことホルトゥンは、
「ああ。なるほど。どうやってこんな風にやったのかってこと?」
少年はただうなずきます。それに対してホルトゥンは意味ありげな含み笑いを見せました。
「見事なもんだろ。・・・・・・でもね。本当はまだ終わってないんだ。全部終わったら説明するよ」
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