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進軍はそのまま何事もなく続き、ついには後軍も関所および、関所の脇にひかえる山をも通り越した。つまりこれで相手方の地形的なアドバンテージは無くなったのだ。
「やりましたね!指南役殿!」
自分が笑顔でグルップリー指南役を振り返ると、指南役は渋い顔をしていた。
「・・・・・・違うぞ」
指南役は苦虫を噛みつぶしたような顔のまま、ぼそりとつぶやいた。
「え?何がですか?」
「・・・・・・いや、何でもないよ」
指南役は手をひらひらと振って気にするな、と言った。
関所および左右の山を抜けても三軍に分かれての進軍は続行した。まだ敵軍が近くに潜んでいる可能性があるからだ。
隊列を整えている間に攻撃されないとも限らない。
その旨を告げに来た中軍からの遣いが帰っていくのを指南役はじっと見つめていた。
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