31.0,32.0
†††31.0
男は少し考える素振りを見せた後、了解した。
男は二人の部下と街へと向かい、少年は残りの五人と移動することになった。両手を縛られ、体を馬の一頭にくくりつけられた。歩くことはできるがとても逃げられないだろう。当然縄は抜けられないほどきつかった。
「どこに行くんだ?」
「うるさい、黙ってろ」
少年の隣を馬で進む若い男が少年を黙らせる。
こいつ気が立ってるな、と少年は思った。
††† 32.0
しばらくして少年は洞窟の中へと連れ込まれた。アジトだろうか、そうでないといいけど、と思った。
奥へと進んでいくとそうではないことがわかった。生活の跡が見られなかったからだ。少年はまたほっとした。アジトだったら殺されると決まったようなものだからだ。
「そいつを転がしとけ」
リーダーが腰掛けながら洞窟の更に奥を指さす。さっきの若い男に指示したようだ。
「おら、付いてこい」
若い男は少年の体にくくられた縄を乱暴に引っ張った。
「座れ」
言われたとおり少年は座った。
すると若い男が横から思い切り少年の横っ面を蹴った。
「へへ、転がしとけって言われたもんだからな」
そう言って笑ったのだった。
†††