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「ちょっとよろしいでしょうか?」
静かに会話に参加してきたのはホルトゥンだった。彼は今まで大臣の列の中にいたようだ。
「申すがよい、『幻影』」
王様の許可を得てホルトゥンは恭しく頭を下げ、話し始めた。
「王様は少年が武功を立てることを望み、アウル殿は少年が直接戦うことを望まない、兵を統率させるわけにもいかない。ならば、簡単なことです。彼に私の指揮を執らせればよいのです」
ホルトゥンの提案に一同はぽかんとした。おそらくはこの突拍子もない提案を理解できた者はいなかっただろう。
「どうしたのです?私と彼が組めば万事解決でしょう?」
「ま、待てホルトゥン。お前はかなりの戦力になる。ちゃんとした指示を受けるべきだ」
大臣の一人がホルトゥンに言う。
「おや、あなた方は私は戦場では役に立たないといつも仰っていたではないですか。あれは何だったのです?」
「そ、そんなことは・・・・・・」
「いえ、仰っていました。『幻影は兵を殺せないから無意味だ』と前回の報告会で断言なさいました。違いますか?」
「ホルトゥンよ、そやつをそういじめるな。よかろう、おぬしをその子に付けることにしよう」
王様はホルトゥンをなだめると、そう言った。
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