かえるばしょ
すっかり夜になった、ゴミ山。
ロッタとロボは久しぶりのその景色を、特に会話もせずに眺めた。よく見ると、山の数はまた増えているような気がした。
たくさんのゴミでできたいくつもの山。
人間とってそれはゴミでしかないけれど、二人はそんな風には考えていない。
ここはたくさんの宝物があふれる、玩具のまち。
かつて幸せに暮らしていた者もそうでない者も、キラキラしたかけがえのない思い出を胸に、生きている。
そんなひとりひとりの思い出をゴミなんて言わせない。ゴミになるはずがない。
決して楽しいことばかりじゃあなかった。むしろ辛くて泣きそうになってしまうようなものの方が多かったように思う。けれどそんなものも、全て大切な思い出。大切な宝物。
長老のところへと歩いていくと、そこには何人ものおもちゃが集まっていた。
長老は勿論、ららやショベル、ニックなど他にも々なおもちゃが笑顔で待っていた。中には自分たちの知らない者までいる。
こんな遅くまで、しかも知らないひとにも待ってもらうなんて、それだけ心配されていたということであり、それだけ応援されていたということで。
二人は情けない気持ちになって、それでもどこかあったかくて、よくわからないけれど幸せだな、思った。
近づいていくとみんなは待ちくたびれた、と言いたげな顔をして言葉をかけてくれた。
「ロッタ!ロボと一緒でよかったよ。もう、心配したんだからっ」
「お疲れ。楽しんできたかー?」
「ようやくご到着だな二人とも。誘われてここに来たが、二人がいなくてちょっと寂しかったんだぞ」
他のおもちゃも口々に「お疲れ」や「おかえり」などと言ってくれた。その言葉に嬉しくなってなんだか泣きそうになる。
みんなが落ち着いてきたころ、今まで喋ってなかった長老が口を開いた。
「たとえどんなに迷っても苦しくなったとしても、お前たちの帰る場所はここにある。みんな待ってるんだ。一人なんかじゃないんだよ」
ロッタとロボはふふっと笑いあった。
わがままで飛び出してたくさんのところへ行って、かけがえのない居場所を見つけた。捨てられたおもちゃの居場所を見つけたんだ。
さぁ、ボロボロになった体を引きずってでも言おう。この旅の終わりには必要な言葉がある。
二人は手をつないで、精一杯の笑顔で答えた。
「「ただいま!」」




