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異形化の始まり

「ねぇ、お母さん。本当にこんな森の中に病院があるのかしら?」

「えぇ。もう少しで見えてくるわ」


深い森の中、きらきらと光る木漏れ日を自動車でくぐり抜けている時に、私はついお母さんに尋ねていた。これから私は入院と言うものをしなくてはならないらしく、今は病院へ向かっているところだ。だけれど、本当にこんな森の奥深くに病院などあるのだろうか……。私は家族と離れて暮らすのが心細く、そっと自分の頭に手をやった。そこには普通の人には生えていない小さな角が一対、堂々と生えていた。


「頭、痛むの?」


お母さんが私を心配するように声を掛けてくれた。その声がじんわりと胸に沁みて、涙が出そうになったので、私はただ首を振ることしか出来なかった。もう私は12歳なんだから、簡単に泣いたら格好悪い。私は喉に込み上げてきた重たいものを無理矢理飲み込んだ。そして、私は一言だけを漸く絞り出した。

「大丈夫よ」

震えた声は、丁度車の中に吹き込んできた真っ直ぐな風の音に掻き消されてしまったかもしれない。でも、その消えてしまったかもしれない言葉は私を驚くほど勇気づけてくれた。


「ヴィアラ。病院、見えてきたわよ。……本当に、大丈夫?」

「うん、大丈夫よ、お母さん。ちょっとだけ寂しいけれど」

「……そう。病院の門の中にはお母さん入れないらしいから、一人で行ける?」


大きな門が見えてきた。角が生えている場所が痛いような気がするけれど、それは私が不安な気持ちでいるせい。私は隣に置いてある大きなリュックを引き寄せて抱きしめた。

「ヴィアラ」

お母さんが私を呼ぶ声。しばらく聞けないお母さんの声。だから私はしっかりとその声を耳に残しておこうと誓った。

「お母さん。私きっと悪いところ治して帰ってくるから、待っていて頂戴ね」

寂しいからと言って、ここで泣いてお母さんを心配させてはいけない。だから私はわざと明るく答えた。それから自動車のドアを開け、森の柔らかそうな草の上に足を下ろす。森は木がたくさんあるのに意外と太陽が眩しくて、私は思わず瞳を細めた。そして一回だけ振り返り、

「お母さん、さよなら」

と一言だけ告げた。お母さんの声を聞いてしまったら一人で行けなくなってしまいそうだったから、私はすぐに車のドアを閉めて、病院の門を押した。

今まで温めていた異形萌え癒し小説です。

でもあまりどぎつい感じではなく擬人化みたいな感じになる予定です。でも、色々と悲しかったり切なかったりすると思います。

あ、女の子ばっかりになりますので女の子が嫌いで生きるのが辛い人はプロローグのうちに逃げてくださいね!

読んで下さった方々、ありがとうございます!まったり執筆になりますがお気に召しましたら続きも読んでいただけると幸いでございます!

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