ケンカをした日
ここ数話、いじめ、虐待(を臭わせる)表現が出てきます。苦手な方は飛ばして下さい。
日課のヒールをするべく、枯れた森へ向かう。
かれこれ2年も続けていれば、ヒールの回数も増え、生い茂ってきた樹木も1000本近くになっている。
・・・本数を数えるのが面倒なので数えていないが。
念のために追跡者の目くらましをかねて町中を右往左往。
まぁ、これも日課になってはいるのだが・・・
そろそろ町外れにさしかかろうかという下町のさなか・・・見た目、自分より幼い感じの女の子が泥団子を投げつけられている。
おいおい。ブラザーメンソウル、女の子をいじめるなんてどんな了見だい。
ゴッ!
「あっ」
今のは石か!?
「おい、やめろっ」
主犯格というか・・・ガキ大将が振り返る。
自分より3歳か4歳上かな?
・・・子供はようワカラン。
「なんだ、このガキ?どこのガキだ?」
「さぁ、ここいらじゃ見かけない顔ですね」
「寄ってたかって、女の子をいじめるとは、ずいぶんと格好いいことしてんな!おい」
彼らと女の子の間に立ちはだかる。
「はぁ?イミビトなんだから、いいんだよ」
「邪魔だ。どけよ」
「イミビトだかなんだか知らないが、女の子は守るモンだ。それが男ってモンだ」
「いいから、邪・魔・だっ!」
ゴッ!と鈍い音が頭に響く。
殴ってきたか。
そうか、殴ってきたか。
このクソ野郎!
殴り飛ばされたが、意識があればこっちのモンだ。
自分に対してヒールを念じる。
「こんの・・・卑怯者がっ!」
勢いよく起き上がり、勢いそのままに拳を振り抜く。
ゴツ!
いってぇ。
コブシ痛いよ。
くそう。
ヒールばっかで身体なんか鍛えてねーよ。
くそう。
相手がゆっくり起き上がってくる。
取り巻きの3人が周囲を取り囲む。
1人だけ壁際で傍観しているが・・・
「いってぇな。クソが。
やっつけてやる。
お前らは手を出すなよ」
「ジャン、やっちまえ」
「クソガキ、覚悟しとけよ」
簡単には逃げられそうに無いな。
倒せるとも思えないし・・・ヒールで身体のダメージは抜けるけど、スタミナとMP不足の気だるさは治らないしなぁ。
えっと・・・こういう場合ってのは・・・アゴ狙いで頭を揺らせばいいのか?
こんなナリじゃダメージ出せないだろうし・・・足狙いと思わせつつ、アゴ狙いかな。
等と考えていたら、相手のパンチを避けそこねた。
「くっそ!」
ローキック!
・・・ハズレ。
くそう。
やっぱ持久戦か。
次回「ケンカをした日のイミビト(いじめられっ子)」
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