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ヒール最高  作者: 猫美
学院高等編
65/90

ないしょの話の日のミレイ(家事手伝い見習い)

「それじゃぁ、ちょっと行ってきます。

 遅くなりそうだと思ったら、

 先に帰っていて構いませんから」

「・・・うん」

「行ってらっしゃ~い」


ウィルが出かけてしまった。

チノと2人で野暮用があるらしい。

詳しくは教えてくれなかった。

ラルと2人、残されたわけだけど・・・


「・・・ラル、どうす」

「ねぇねぇ、ミレイ」


急に声を掛けられて、びっくりしてしまった。

振り返ると、イマエテラとニクルが妙に嬉しそうに・・・話しかけてきていた。


「・・・ボク?」

「そうそう。ミレイに聞きたいことがあるの」

「あれから何かあった?」


あれから?何か?

いつからで、どういうことだろう?

思い当たることは何も無かった。


「・・・ううん」

「えー。何も無し?

 あんな告白したのにぃ?」

「何も無しってのは無いよね~」

「・・・告白?」

「やだぁ、ウィルの反応よ。ウィルの」

「・・・ウィルの反応?」


今日のウィルを思い返してみる。

・・・いつもど~りのウィルだった・・・と思う。


「・・・ううん」

「えー。何それ。つまんな~い」

「あんな大胆な告白があったんだから、

 すっごい反応、期待するじゃない」


何か面白くなる要素があったのだろうか?

朝からの様子を思い返してみる・・・特に変わったことは思い当たらない。


「じゃあさ、じゃあさ、

 ウィルのどこが好きな訳?」

「きゃあー。そういう事、聞いちゃうんだ。聞いちゃうんだ」

「えー。興味あるくせに~」


ウィルの好きなところ・・・

どこだろう?

目をつぶって思ってみる。


・・・ウィルの好きなところ・・・


・・・ボクの世界を塗り替えてくれたところ。

ボクに手を差し伸べてくれるところ。

ボクが困ってると助けてくれるところ。

ボクの世界から連れ出してくれたところ。


ボクのことを気遣ってくれるところ。

ボクを家においてくれたところ。

ボクを家族の1人に加えてくれたところ。


ボクに暖かさを教えてくれたところ。

ボクと一緒に笑ってくれるところ。


その笑顔があったかいところ・・・


「・・・すごく、あったかいところ」

「あったかい?」

「すっごく優しいってことでしょ」

「・・・うん。優しい」


なんだろう。

ウィルはいないのに・・・

自然とあったかくなる感じ・・・


「やだ。ミレイすっごいかわいい」

「や~ん、かわいい~」


何!?

ニクルに横から抱きつかれた。

何で?どうして?


「はいはい。だめよ~。

 ウチのかわいいミレイはあげませんからね~」


よかった。

ラルが止めてくれた。

・・・と思ってたら、反対側から抱きすくめられた。


「え~。いいじゃない。

 こんなにかわいいんだから」

「だめだめ。

 ウチのかわいいミレイは予約済みだからね~」

「・・・ラルぅ」

「あら、やだ。かわいい」


手で押しのけると、2人とも離れてくれた。

何だったんだろう?


「・・・むぅ」

「まぁまぁ、むくれないの」

「・・・そうじゃないもの」


気がつけば、周りに人が増えてる・・・

・・・みんな、こっち見てる・・・気がする。


「じゃあさ、じゃあさ、

 ウィルとの出会い教えてよ」

「えー、愛人の理由を聞きた~い」

「ウィルって、そんなに優しいの?」

「氷の黒魔女がとろけちゃうんだよ」

「えー、やだー。

 なんか言い方がやらし~」


みんなが口々に言いたいことを言う。

もう、どうしたらいいの・・・

こんな時にウィルが・・・居てくれない。


心細くなった時に、ラルと目が合った。


「・・・ラル、助け」

「はいはい。ミレイが混乱しちゃうから順番にね」


え?・・・そうじゃなくて、ここから逃げたかったのに。


「はいはい。じゃぁ、順番に出会いからでお願いします」

「はい。じゃぁ、ミレイ」

「・・・ぁぅ・・・出会い・・・」


ウィルとの出会い・・・


「・・・ボクが悲しい気持ちになってたら、

 ボクをね・・・

 連れ出してくれたんだ。

 ・・・暖かい場所で・・・

 アダムの果実をくれたの。

 ・・・すっごくおいしくて・・・」


あの時の果実・・・ほんとおいしかったなぁ。


「・・・それで、ボクを家に連れてってくれて。

 ボクがお手伝いさんをすることになったの」


リリー奥様と旦那様、ノイナ・・・みんな暖かい人・・・


「ちょっとちょっと、ミレイ。

 なんで急にお手伝いさんになってるのよ」

「そ、そうよ。話が急すぎる」

「・・・え?

 ・・・でも、ボク・・・」

「お手伝いさんって何?どういうこと?」

「さすがにその説明じゃ解らなさすぎるわ」


でも・・・大体、こんな感じだった・・・と思う。


「じゃぁ、住み込みでお手伝いさんしてたの?」

「・・・うん」

「待って待って、その頃って何歳よ?」


えっと・・・何歳だったかな?

え~っと・・・


「っていうか、

 引き取って勝手にお手伝いさんにしちゃうって酷くない?」

「・・・む!」

「わ~、待った待った。

 酷くない酷くない。

 大丈夫。

 それは誤解だから。ね?」


ラルが急に抱きついてきて、そんな事を言う。

そんなラルの勢いにみんなびっくりして・・・ボクもびっくりしたけど・・・

でも、リリー奥様のことを悪く言うのは、ちょっと許せなかった。

ラルが止めてきたから、怒るのはやめておくけど。


「じゃぁ、もう、ず~っとウィル一筋なんだ」

「うっわ~。純愛じゃない」

「ねぇねぇ、向こうはどう思ってるのかな?」


向こう・・・ってウィルだよね。

そうだよね。

ウィルは、ボクのこと、どう思ってるんだろう?


「そりゃ、嫌ってはいないんじゃない?」

「そうよねぇ。いつも一緒にいるもんねぇ」


そうだよね。

嫌ってたら一緒になんか・・・いてくれないよね。


「で、その辺ど~なのよ?」

「・・・え?」

「ウィルはミレイの事、どう思ってるか?って話」

「何か言ってなかったの?」

「・・・えっと」


ボクのこと・・・何か言ってたっけ?


「・・・前に、かわいい・・・って」

「きゃー」

「やだー。ちゃんと好き合ってるじゃない」

「ミレイ、照れてかわいい~」

「こんなミレイ見たら、かわいいって言っちゃうわ」


「おい。お前ら、いい加減にしろ。

 ちょっと騒ぎすぎだ。

 さっさと寮に帰れ」


教室の入り口から戦士学科の・・・えっと・・・名前は知らないけど、先生が怒っていた。

ひとくくりにされて怒られてしまったけど、ボクは巻き添えだと思う。


「きゃ~、ごめんなさ~い」

「は~い。帰りま~す」

「じゃぁ、ミレイ、またね」

「また、話聞かせてね~」

「・・・ぇ?うん」


・・・また・・・って今日みたいなのでいいのかな?

何が面白かったのか解らないけど・・・


「ミレイ、いこっか」

「・・・うん」


ラルと2人で教室を出る。

今日の特訓はどうするんだろう?


「・・・ラル、今日はどうするの?」

「そだね・・・結構、時間も経っちゃったし、帰ろっか」

「・・・特訓は無し?」

「無し無し。

 まぁ、たまにはいいじゃない?」

「・・・うん・・・いいのかな?」

「いいのいいの」


・・・いいのかな?

でも、何となく・・・今日は疲れたから、いいかな?

何だろう・・・すごく疲れた感じ。


「ミレイ、お疲れ?」

「・・・ぇ?うん」

「ああいうのは苦手?」

「・・・苦手と言うか。

 みんな、何でボクに話しかけてきたのか、

 よく解らない・・・から」

「う~ん。

 女の子は恋バナが好きなんじゃよ」


じゃよ?


「・・・恋バナ?」

「そそ、恋バナ。

 ミレイは身近な恋バナの提供者」

「・・・よく、解らない・・・かも」

「ま、それでなくても、ミレイは秘密たっぷりだからね」

「・・・そんなこと無い」

「そう?みんな興味津々だったじゃない」

「・・・それは・・・そうだけど」


なんて言うか・・・慣れないから、どう接したらいいか困る。

その点、ラルは自然に接してたな。

そう言うのって、凄いと思うし・・・ちょっと憧れる。


・・・自分のそんな姿を想像してみたけど、似合わなかった。


「・・・ラルは、凄いね」

「え?急に何?どうしたの?」

「・・・ううん。ボクはラルみたいになれそうにないから」

「え?ちょっと、よく解らないんだけど?」

「・・・ううん。いいの」

「ミレイだって凄いよ」

「・・・そんなこと無い」

「ううん。凄いんだよ。

 すごく、心が強いんだと思う」

「・・・よく解らない・・・かな」

「ふふ、結構、長い付き合いだけど、

 まだまだお互いのこと、解ってないね」

「・・・うん。不思議」

「そうだね」


なんか、不思議な日だったけれど、なんとなく楽しくなれた日だった。


次回「大慌ての日」


Twitter @nekomihonpo


変更箇所

-(マイナス)→ー(長音符)


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◆用語 ●幼少期人物一覧
 ●学院初等期人物一覧
 ●学院中等期人物一覧
 ●学院高等期人物一覧

以下、感想に対する補足になりますが、ネタバレを含む可能性があります。
見る場合、最新話まで見た上で見ることを推奨します。
◆1 ◆2 ◆3 ◆4 ◆5 ◆6 ◆7(2013/02/03)
あとがきは ネタバレ を含む可能性があります。
◆あとがき(2013/02/01)
1話にまとめあげる程ではなかったおまけ。
◆研究室での日常のヒトコマ(2012/11/23)



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