前世の記憶に苦しんだ日
余談編
4歳にもなれば、色々学んでも不思議は無いだろう。
無いよな。
うん。
ってことで、父様や母様、ノイナを質問攻めにして、知識を蓄えている最中だ。
まずは身近な所から。
父様の職業は公務員。
宮仕えってのが正しいのだが、公務員じゃん。
厳つい顔の割に・・・文官とのこと。
文官にしては立派な体躯だと思うのだが・・・文官だそうで。
何でも、王直属の組織で、直務国税特捜査察官と言うらしい。
えっと・・・マルサって奴ですか?
言葉の響きがデスクワーク似合わない感じなんですけど・・・父様曰く、文官だそうだ。
王直属だけあって、公務員の中では貰いの多い職業らしい。
そんな訳で、我が家にはノイナというお手伝いさんがいる訳だ。
ノイナは、母様と幼なじみとのことで、母様のことをよく解っている感じがする。
母様の天然というか、おっとり具合に振り回されていることも多いが・・・関係は良好だ。
ノイナが成人になるちょっと前に、ご両親を亡くしてしまい、母様の家で厄介になったのが、お手伝いさんになる契機らしい。
私が産まれたのは、アルバ・ヨルド王国というアルバ地方のヨルド王家が治める国だ。
現在の王は、フィーというお名前だそうで・・・フィヨルドかよ!と突っ込みを入れたくなってしまった。
突っ込みを入れた所で誰にも理解されないのだが・・・悲しい。
比較的、中規模な王国で安穏とした生活を送ることが出来ている。
国家間で戦争とか起こらないのか心配になって、父様に聞いてみたのだが、
「ノラとかクロの脅威があるからね。
国家間で争っている場合では無いんだよ。
時には大侵攻があって、国家間で協力しないといけないからね」
「ノラとかクロですか・・・ノラとかクロって?」
「ああ、そうだな・・・ノラってのは大型の原生動物だな。
大きな牙を持っていたり、素早い動きで飛びかかってきたり・・・大人二人分や三人分はあったりするからね。
さらに大型のノラは、十人分くらいもあったりするんだ。
クロっていうのは・・・そうだな・・・闇の眷属って呼ばれている者達だ」
「闇の眷属・・・ですか」
「そうだね。
町中には居ないけれど、死体が動いたり、人の生き血を飲んだり、呪いを掛けたり・・・という者達だよ」
「そうですか。
そういう脅威があるから、一致団結して、人々を守っているんですね」
「ああ、そうだよ」
ってことで、国家間というか、無意味な戦争がないのはいいことだ。
っていうか・・・ノラク○かよ!と突っ込みたい。
実に突っ込みたい。
突っ込んだ所で、本当に誰にも理解されない。
なんだ、このもどかしさ。
『くっ!前世の記憶が俺を苦しめる!!』
とか言うと格好いい感じになって、厨二病っぽいけど、内情は実にくだらない。
くそう。
「前世の記憶が俺を苦しめる!!」
・・・想定外です。
次回「ケンカをした日」
Twitter @nekomihonpo
変更箇所
納める→治める
会話前後に空行追加
次回タイトルの追加
ノイエ→ノイナ(指摘感謝)