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ヒール最高  作者: 猫美
学院高等編
59/90

挨拶の前の日のネクリオス(同級生)

結局、学院が始まるまでミレイさんに出会うことは無かった。

1巡り(季節終わりなので10日)前にシャンタの街に乗り込んだというのに・・・だ。

途中で合流したルムハス、ヨルマナを連れ回しつつ、街のあちこちを歩き回ったのに・・・残念だ。

まぁ、それも明日になれば、万事解決する。

いよいよ、待ちに待った学院での生活が始まるのだ。


寮の食堂で、食後のひとときを過ごしていると、ルムハス、ヨルマナが降りてきた。


「あれ?ネクリオスも食事終わっちゃった?」


ルムハスは寝起きのようだ。


「ああ、すまんな。

 先に頂いてしまったよ」

「ま、ルムハスだけが、終えてないだけかな」

「む?ヨルマナは、俺よりも先だったか」

「ええ、お先に・・・」


ルムハスが、寮母さんの所に食事を貰いに行く。

ヨルマナは、香草茶を淹れる。


「ネクリオス、いる?」

「いや、いい。

 まだ残ってる」


ヨルマナが目の前の席に座る。

隣ではルムハスが、遅めの食事を取り始めた。


「起こしてくれればいいのにさ」

「すまんな。

 引っ張り回して疲れてたのかと思ってな」

「そりゃ、疲れてるっちゃ疲れてるけど、

 楽しかったしね・・・

 連れ回されたとは思ってないよ」

「そうか、すまんな」

「結局、見付からなかったね」

「まぁ・・・な・・・

 小さい街じゃ無いからな」

「ま、彼女は3区のようだね。

 6区からだと、ちょっと遠いかな」

「む?彼女の寮の場所が解ったのか?」

「ま、区だけですがね。

 他にもいくつか話を聞けましたよ」

「む?聞かせて貰えるか?」

「ま、そのための情報収集ですからね」


思わず、居住まいを正し、ヨルマナに正対する。


「彼女・・・名前は、ミレイ・イイコナ。

 ちなみに、同じ歳だね」

「え?そ、そうなのか?

 てっきり年下かと思ったんだが」

「まぁ、身体は少し小さいみたいだね。

 成績は中の下って所・・・

 魔法に関しては、先日見たように頭ひとつ飛び抜けている。

 氷の黒魔女っていう通名持ちだ。

 ま、ただ、忌み人として毛嫌いされているね」

「なんだと!?」


あれだけ可憐に魔法を使える人が嫌われている・・・だと?


「ネクリオス、落ち着けよ。

 ヨルマナの話を聞こうじゃないか」

「む、すまん」

「ま、見た目で忌み人と言われているけど、

 精霊魔法使い連中の見立てでは忌み人では無いらしい」

「ほっ。そうか・・・」


実際に忌み人だと、色々と口さがない連中も居るだろうが、忌み人で無いとの事なら何ら問題は無い。


「ま、それでも毛嫌いしている連中はいるようだけどね」

「ふん、そんなのがいるようでは学院もたかが知れているな」

「ま、そんな訳で、あまり活発な交友関係は無いみたいだ。

 とは言え、まったく無いわけじゃ無いけどね。

 それと、毛嫌いされてる理由に、

 彼女がコウロイド(混血児)と一緒に行動してるってのもあるかな」

「ぬ?」

「それはまた・・・難しい所を取りそろえたね」


寄りにも寄って・・・と言ったところか。

まぁ、彼女の心の広さとも言えるな。


「チノテスタ・リズ・スマノリ。

 先日、チノって呼ばれていた男子だね。

 彼はエルフとのコウロイドだよ。

 弓術専攻で・・・

 腕前は、力は無いけど、命中率はかなり高いらしい」


確かに、チノと呼ばれていた男子が居たな。

ミレイさんの魔法の影で目立たなかったが、弓の腕は中々のモノに見えた・・・気がする。


「ま、あと2人、彼女と一緒に行動するのがいるね。

 ラルタイア・ラソルア。

 ラソルア商会のお嬢さんだ。

 水属性の呪印魔法使いで、

 攻撃面では劣るけど、魔法の成績は優秀らしい」


ラソルア商会・・・確か、かなりの規模な商会だったか?

そんなお嬢様とも一緒なのか。

不思議な組み合わせだな。


「最後の1人。

 ネクリオスには面白くない相手だろうね」

「どういうことだ?」

「彼・・・ミレイさんといつも一緒にいるらしい」

「な、なんだと!?

 何者だ!」

「まぁ、落ち着けよ。

 今から説明してくれるって」


そ、そうだな。

そもそも、先ほどのチノという男子だって、一緒に居たじゃないか。

いつもと言っても限度があるさ。


「ま、そういう訳で、最後の1人。

 ウィル・ランカスター。

 "ヒールばか"という通名を貰ってるね。

 その名の通り、神聖魔法の使い手らしい。

 通名を貰うくらいだからね。

 ヒールの腕前は、先生方も絶賛しているね。

 ・・・なんでも、コア持ちのディリングを一撃で倒したとか」

「は?"ヒールばか"と、どう繋がるんだ?」

「あとは、ブロブソーブを倒したって噂もあるね」

「それこそ、解らん。

 神聖魔法でどうやって倒すと言うんだ」


あまりにも胡散臭い。

いくら何でも酷すぎる。

"ヒールばか"という通名と噂の接点が解らない。


「そこまでは解らなかったけどね

 ま、なんせ、この男子、

 ミレイさんと常に一緒にいるらしい」

「ど、どういうことだ」

「同じ寮生らしい」

「りょ、寮生ならいつも一緒でも不思議は無い・・・よな?」

「いくらなんでも常に一緒ってことは無いでしょ」

「ぐ・・・そ、そうか・・・

 その・・・か、彼氏彼女の関係なのか?」

「いや、さすがにそこまでは解らないな」

「そ、そうか・・・」


気にはなる・・・気にはなるが、今はどうしようもないな。

学院が始まれば、色々と見えてくることもあるだろう。

心のざわつきが収まらなかったが、無視することにする。


「通名持ちが2人もいるってことは、

 ミレイさん達が、学院の会頭だったのか?」

「いいや。違うみたいだね。

 さすがに、忌み人として毛嫌いされていたり、

 コウロイドが居ては、会頭にはなれなかったみたいだよ」

「魔法の腕を見る限り、

 申し分無さそうだったのにな」

「そうだな。

 それよりも、彼女より上の人間が居たのかも知れないぞ」

「ま、さすがにそこまでは調べきらなかったね」


ミレイさんより上・・・さすがに、それは無いと信じたい。

彼女のあの吹雪より凄い魔法の使い手・・・と言うことになるのだから・・・


それにしても、ヨルマナの情報は微妙だ。

ミレイさんに会うのが楽しみになった反面、ウィルという心配の種が出来てしまった。


「ネクリオスは、すっかりミレイさんに夢中だね」

「会えない時間が長かったので、

 希望に夢が膨らみすぎな感じはするね」

「む?確かに、ちょっと冷静さに欠けているな。

 うわついていると言ってもいい・・・

 俺らしくも無い」

「待ち焦がれてたんだ。

 仕方ないんじゃないか?」


いかんな。

少し、冷静にならなければ。

・・・そんなんで冷静になれたら苦労はしないんだが。


「それはそうと、対抗戦はどうするの?」

「そりゃ、もちろん、

 ダルテチの生徒部会会頭として勝つさ」

「ま、近接だらけですからね。

 魔法専攻あたりを組み入れたいですね」

「そうだな・・・

 テルタートとカリヴァンに頼むか」

「あいつらなら安心だな」

「ま、対抗戦の相手にもよりけりですかね」

「む?属性を使い分けた方がいいか?」

「1対1って訳じゃ無いから、そこまで気にする必要は無いと思うけどね。

 それでも、強敵には合わせた方がいいでしょ」

「まぁ、それはそうだな」


ヨルマナのことだ。

相手に関する情報を集めてくれるだろう。

それを吟味してからでも遅くは無いだろう。


「カムラヒリテ学園の部会連中が、

 ウチらを叩きつぶすって息巻いているらしいぞ」


ルムハスがそんな噂話を披露する。


「まだ、初日すら迎えていないのに、

 そんな噂が入ってくるくらい吠えてるのか」

「吠えてるらしいねぇ」

「はぁ、先が思いやられるな」

「ま、そういうのは、

 情報が集めやすくて助かるよ」

「まずは明日だ」

「ネクリオスにとってはそうかもね」

「ま、無茶しないようにね」

「む?無茶なんかしないさ」


何を余計な心配をしているんだか。

いよいよ明日からシャンタ学院での1日が始まる。

色々な思い・・・期待で夜は眠れそうに無いな。

どんだけ子供なんだ・・・と苦笑してしまった。

明日から、本当に楽しみだ。


次回「賽が投げられた日」


Twitter @nekomihonpo


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◆用語 ●幼少期人物一覧
 ●学院初等期人物一覧
 ●学院中等期人物一覧
 ●学院高等期人物一覧

以下、感想に対する補足になりますが、ネタバレを含む可能性があります。
見る場合、最新話まで見た上で見ることを推奨します。
◆1 ◆2 ◆3 ◆4 ◆5 ◆6 ◆7(2013/02/03)
あとがきは ネタバレ を含む可能性があります。
◆あとがき(2013/02/01)
1話にまとめあげる程ではなかったおまけ。
◆研究室での日常のヒトコマ(2012/11/23)



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