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ヒール最高  作者: 猫美
幼少編
4/90

ヒールを試した日

この世界は魔法があることが解った。

大きく分けると3種類。

魔法陣や正確な呪文を唱えることで発動する呪印魔法。

神様(?)へのお伺いを立てることで発動する神聖魔法。

・・・むしろ申請魔法なんじゃないか?

とか余計なツッコミをしたりもするが。

後は、精霊との対話により発動する精霊魔法。


理屈は解っていないようなのだが、魔法を使うには素質が必要らしい。

MPの無い人には使えない・・・みたいなモンのようだ。

そのため、世界中の誰も彼もが魔法を使えるということは無く、一部の選ばれた人間だけが使える・・・と言ったような選民思想もあるらしい。

素質は遺伝しやすいらしく、魔法使いの子供は魔法使いの素質があることの方が多いようだ。


数としては、呪印魔法>神聖魔法>精霊魔法となっている。

やはり、精霊と意思の疎通ってのが難易度を高めるらしい。

その代わりと言っては何だが、意思の疎通で発動するため、小難しい手続きとか、お約束事が無いため、柔軟性は抜群。

逆に、呪印魔法は、魔法陣だの、呪文だのがガッチガチに決まっているらしい。

神聖魔法はその中間。

神様にお伺いを立てるとのことなのだが・・・別段、神の声を聞いたとか、そういう宗教的な事は無いらしい。

とは言え、身体を治すってのは、神の奇跡と呼ぶに相応しく、宗教と結びついているようだ。


魔法の所為で・・・所為と言い切ってしまうのもどうかと思うが・・・科学の発展は遅れている。

物理、化学、自然科学、人体、病理学、etc、etc・・・これらがかなり遅れている。

大抵のことは、魔法で片が付いてしまうからだ。

例えば、建造物には物理、数学などが必要なのだが・・・専門外なのでよくは解らないが・・・強度が足りなければ魔法で補えばいいのだ。

と言うか、魔法で強化するのがアタリマエになっている。

人体に関しても研究は進んでいない。魔法で治せばいいのだ。

人間、楽をするとダメだな。

天文だけは、占星術の絡みで結構進んでいる。

あと、魔法学も当然ながら進んでいる。

進んでいるのかは、よく解らないが、歴史は古いらしい。


ヒールっぽいモノを試してみたい。

もどかしいことこの上ないのだが、そうそう、ヒールを掛ける対象が居ない。

まぁ、そりゃ、そうだ。

けが人が居た所で、3歳の子供にヒールをさせる馬鹿者は居ない。

と、なると、動物にでも・・・とは言え、これまた、素直にヒールを受けてくれるとも思えない。

さて、困った。

と、なると、植物にでも・・・とは言え、これまた、効果が解りにくいのが問題だ。

等々、もやっと問題を考えながらうろついていたら、町を出てしまった。

やべっ。

さっさと戻らないと。

と、思っていたら、目の前に枯れた森が広がっている。


町の隣に、こんな寂しい風景が広がっているとは思わなかった。

「ふむ」

この枯れ木が、死んでしまっていたら、どうにもならないが、もし・・・もし、万が一、生きていたら・・・ヒールが効くんじゃないか?

と思いついてしまった。

町に戻るのはヒールを試してからでも遅くはないか?

・・・ってことで試すことにした。

枯れ木に手をかざし、目をつぶる。

「ヒール」

・・・ダメか。

何も起こらないな。

そもそも、神聖魔法らしからぬ唱え方じゃだめか。

「我、彼の者を癒すことを願いたてまつらん。ヒール」

前に母様が使った呪文が思い出せないので適当だ。

こんなのでいいのかどうかは解らないが、身体から何かが抜ける感じがして気だるくなった。

ちなみに、ヒールと唱えただけでは気だるくなったりしない。

それっぽい呪文を加えることで気だるくなる感が追加された。

ってことは、ヒール・・・かどうかは解らないが、何かが発動したんだろう。

見た目、なんら変わりはないが、ちゃんと発動したんだろうか?

まぁ、枯れ木が急にみずみずしくなっても気持ち悪い。

時間が掛かるんだろう。

もう一発くらい撃ち込んでおくか。

「我、彼の者を癒すことを願いたてまつらん。ヒール」

気だるさが一気に増した。

いかん。立ってるのも億劫だ。

なるほど。

これがMP切れ状態か?

座りたくてしょうがない衝動を抑え込みつつ、取り敢えず、町へ戻った。

2発でMP切れとは情けない。

情けないが、枯れ木相手なら誰も困らないし、実験には良いかも。

ばれて大事になっても面倒だし・・・街道から少し奥まった所で実験することにしよう。

今日は、良い収穫であった。

満足である。

はっはっは。


次の日から、2mほど奥まった所の木に毛糸を結び、ヒール実験を開始した。

2日後には、枯れ木に花・・・ではなく、芽吹いてきた。

自分のヒールに効果があったことが解り、小躍りしてしまった。


が、一週間後には、再び枯れてしまった。

別の木々も同じ状態になったことから、根本的に何かが間違っているらしい。

とは言え、何が間違っているのか解らないので、日々、ヒールを続けた。


三週間も経とうかという頃、ふと思い至った。

そもそも、枯れた原因は何だったのか?

原因も取り除かずにヒールをした所で、穴の空いたバケツに水を注いでいるだけではないのか?


さて・・・植物の専門家ではないので、植物の病気が解らない。

これでは、単純にヒールのスパルタをしているだけではないか。

まぁ、その甲斐あって、ヒール3発まで撃てるようになったが・・・それはそれ。


相手の状態を調べる手段があっても良さそうだ。

再度、枯れてしまった木に手をかざし、目をつぶる。

「我、彼の者の不調を知ることを願いたてまつらん。リサーチ」

かなり適当な呪文ではあるが、そういう適当さを寛容に受け止めてくれるのが神聖魔法のいい所・・・というかいい加減な所。

まぁ、機能というか、効能が無かったら発動しないけどね。

目をゆっくり開けると、枯れ木にぼんやりと色が付いている。

色が付いているというか、もやもやがまとわりついている。

ほとんどは、白というか灰色なのだが、地面・・・恐らく根っこがあるであろう部位が赤い。

つまり、根っこに病気があるのかな?

病気の詳細が解らないが、治せるもんだろうか?

ま、治ったらラッキーくらいの意気込みでやってみますか。

「我、彼の者の異常を取り除くことを願いたてまつらん。リコンディション」

赤い部位が青く光り、明滅を繰り返した後、薄い緑になって白に変わった。

治ったってことだろうか?

「我、彼の者を癒すことを願いたてまつらん。ヒール」

・・・さて、こいつはしばらく様子見だな。

ってことはだ・・・今までヒールしてきた木は、全てやり直しか。

やれやれだ。

リサーチは、それほどでも無かったが、

リコンディションは、気だるさが多い気がするな。

今のMPでは無理があるってことだろうか?

今のMPだと、リサーチ、リコンディション、ヒールでほぼすっからかんだな。

ま、続けていれば、MPも増えるだろうし・・・まだまだ若いんだ。どうとでもなるだろう。

本日作業分目印の毛糸をくくりつけ、町に戻ることにした。

次回「ヒールを試した日のノイナ(家政婦)」


Twitter @nekomihonpo


変更箇所

魔方陣→魔法陣(指摘感謝)

次回タイトルの追加

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◆用語 ●幼少期人物一覧
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以下、感想に対する補足になりますが、ネタバレを含む可能性があります。
見る場合、最新話まで見た上で見ることを推奨します。
◆1 ◆2 ◆3 ◆4 ◆5 ◆6 ◆7(2013/02/03)
あとがきは ネタバレ を含む可能性があります。
◆あとがき(2013/02/01)
1話にまとめあげる程ではなかったおまけ。
◆研究室での日常のヒトコマ(2012/11/23)



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