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ヒール最高  作者: 猫美
学院初等編
33/90

歌の日のミレイ(家事手伝い見習い)

今回は主人公視点無しです。

「・・・ノイナさん。居間の掃除、終わったの」

「おや。もうですか?

 思ったより早かったですね」


ノイナさんが、居間を、確認する。


「大丈夫ですね。

 十分に綺麗に掃除出来ている様です」

「・・・うん。よかった」

「まだ、少し時間があるようですから、

 廊下の窓掃除をお願いします」

「・・・うん、解った」


窓掃除は、けっこう、好き。

拭いた所が、きれいに、透き通る感じが、好き。

・・・でも、踏み台が無いと、届かないから、きらい。


布を濡らして・・・ぎゅ、ってして・・・

ぎゅ・・・ってのが苦手。

力が無くて、びしゃびしゃ。

乾いた布で、きゅきゅ、ってして・・・

・・・うん。きれい。


「・・・♪もるで、のすにと、へんげるたい」


調子を、合わせて、濡れた布で、拭く。


「♪じおに、かんやか、いでいやし~」


更に、乾いた布で・・・

・・・あれ?

今、なんか・・・窓が白かった?


濡れた布で拭く・・・けど、なんともない。

乾いた布で拭く・・・うん。きれい。


なんだったんだろう?


「♪もるで、のすにと、へんげるたい」


調子を合わせて、濡れた布で拭く。

窓がうっすらと白い。

・・・何?なんで、拭いたのに、白くなるの?

じ~っと見ていたら、じわじわっと戻っていった。


もう一回、濡れた布で拭く・・・何も起こらない。


・・・何だろう?えっと・・・ウィルに聞いてみよう。

2階の、ウィルの部屋に向かう。

扉を軽く、叩く。


「はい?」

「・・・ウィル、入って、いい?」

「ええ。いいですよ」


よかった。

扉を開けて、部屋に入る。


「どうしました?」

「・・・うん。

 えっと・・・窓が、白くなるの」

「よく、解らないですね」

「・・・ごめんね。

 ちょっと・・・うまく、言えない」

「実際に見せて貰った方が早いですかね」

「・・・う、うん。

 ・・・そうなんだけど・・・」

「どうしました?」

「・・・ちょっと、恥ずかしい」

「は?

 恥ずかしい・・・ですか」

「・・・うん」

「じゃぁ、やめておきますか?」

「・・・ううん。やっぱり、見て欲しい」


ウィルと一緒に、1階の、窓の所に行く。

・・・やっぱり、恥ずかしい。

何も言わずに、じっと見てる。


「う・・・♪もるで、のすにと、へんげるたい」


何とか、歌いながら、濡れた布で拭いた。

すっごい・・・恥ずかしい。

顔が何か熱い。


「冷たくなっていますね」


ウィルが、窓を触りながら言う。

冷たくなってる・・・の?

冷たいと、白くなるの?


「ふむ・・・

 じゃぁ、今度は、僕の手を握りながら、

 歌って貰えますか?」

「・・・え?」


・・・そ、それは、恥ずかしい。


「や・・・は、恥ずかしい」

「まぁ、そう言わずに」


あう・・・

そっと手を差し出したら、軽く握られて・・・

こ、これで歌うの?

・・・恥ずかしい。


「さぁ、恥ずかしがらずに」

「あう・・・♪もるで、のすにと、へんげるたい」

「・・・気にせず、続けて」


・・・まだ、歌うの?


「ぁぅ・・・♪じおに、かんやか、いでいやし~、

 とりと、ふういき、かすもい~ど、

 てとら、かりこり、し~りむまい」

「ふむ。・・・もう一回、お願いしていいですか?」

「・・・え?」


・・・ウィルが、いじわる・・・だ。


「さぁ、さぁ」

「う゛~・・・

 ♪もるで、のすにと、へんげるたい、

 じおに、かんやか、いでいやし~、

 とりと、ふういき、かすもい~ど、

 てとら、かりこり、し~りむまい」

「温度が上下していますね」

「・・・どういう、こと?」

「歌に合わせて、冷気が漏れ出すと言うか・・・そうですね。

 魔法の力が漏れ出している感じでしょうか」

「・・・魔法・・・なの?」

「もるで、のすにと、へんげるたい・・・で、一旦冷たくなります。

 で、一旦、元に戻るのですが、

 じおに、かんやか、いでいやし、で、再度、冷たくなります」

「・・・えっと?」

「魔法の下準備が終わってる感じでしょうか?

 あとは切っ掛けがあれば、発動すると思うのですが・・・」

「・・・切っ掛け」

「ま、後で実験してみましょう」

「・・・解った」


後で、枯れ森で試す・・・ってことかな。


「仕事の途中ですよね?

 手伝いましょうか?」

「・・・ううん。ありがと。

 でも、ボクの、仕事」

「そうですね。

 ミレイの仕事ですね。

 解りました。

 仕事が終わったら呼んでください」

「・・・うん」


まずは・・・ボクの、仕事しないと。

濡れた布の時、歌うと、白くなって・・・掃除にならない?

う~ん・・・気をつけよう。



掃除が終わったので、ウィルと枯れ森に来た。

・・・枯れ森じゃないのに・・・枯れ森?


「・・・ウィル?

 もう、ヒールする、木・・・ほとんど、ないよ?」

「そうですね。

 かなりヒールし尽くしましたかね」

「・・・もっと、奥・・・行く?」

「いや、やめておきましょう。

 あまり遠くに行くと、帰りが遅くなりますし。

 まぁ、いいんです。

 今日は、ミレイの歌の確認です」

「う・・・やっぱり、また、歌うの?」

「そうですね。

 歌って貰わないと、

 確認が出来ませんから」

「あう・・・」


今日の、ウィルは・・・いじわる・・・だ。


「まずは歌わずに、

 もるで、のすにと、へんげるたい、

 と言ってみましょうか」

「・・・言うだけ?」

「ええ、そうです。

 さ、どうぞ」


と、言って、ウィルが手を握ってきた。

あう・・・これは、これで、恥ずかしい・・・


「・・・もるで、のすにと、へんげるたい」


・・・ウィルが、じっと、手を見ながら考えてる。

・・・えっと・・・どうしよう。


「やはり、歌になってないと、

 駄目なようですね。

 音階が必要なんでしょうか?」

「・・・歌じゃないと、だめ・・・なの?」

「そうみたいです。

 じゃぁ、今度は、歌の後に、

 かる、もるで、やーる、を加えてみましょう」

「・・・うん。解った

 ♪もるで、のすにと、へんげるたい、かる、もるで、やーる」

「何か変わった感じはありましたか?」

「・・・ううん。よく、分かんない」

「ま、一発で成功するとも思ってませんでしたがね・・・

 そうですね・・・

 手のひらを向かい合わせにして、

 その中に雪玉を想像してやってみましょう」

「・・・うん。

 ♪もるで、のすにと、へんげるたい、かる、もるで、やーる」


・・・難しい。

気持ちよく、歌えない・・・


「初級の魔法だと思うんですが・・・」

「・・・ウィル」

「どうしました?」

「・・・歌いにくい」

「え?」

「・・・かる、もるで、やーる・・・が、歌いにくい」

「リズムが崩れるからですかね。

 う~む。

 もるでを取り除いてみますかね」

「・・・かる、やーる?

 ・・・うん。やってみる」


・・・雪玉を想像して・・・


「♪もるで、のすにと、へんげるたい、かる、やーる!」


・・・手のひら、から、何かが、出ていくような・・・

・・・熱いみたいで、冷たい。


「おぉ!?」


すごい・・・雪玉が・・・小石から、こぶし、くらいに・・・なって・・・

・・・落ちた。


熟れた、赤の実・・・みたいな、音が・・・聞こえてきた。

木の根に、ぶつかって・・・

そしたら、周囲が・・・両手で、囲い込むくらいの、大きさが、真っ白に、なっちゃった。

え?・・・どうして?


「うわ。危なかった。

 そこまで冷たくなってるのか。

 危うく、手で受け止めるところだった」

「・・・落ちちゃった・・・ね」

「そんなことよりも、大成功じゃないですか。

 やりましたね、ミレイ」

「・・・え?ぅ、うん」

「前みたいに、気持ち悪くなっていませんか?

 大丈夫ですか?」

「・・・ぅ、うん。大丈夫」

「もう一回くらい、いけそうですか?」

「えっと・・・ごめん。わかんない」

「そうですね・・・

 今度は、さっきより小さな雪玉を想像してやってみましょう」

「・・・うん。解った」


・・・小石くらい・・・小石・・・小石。


「♪もるで、のすにと、へんげるたい、かる、やーる!」


手のひらから、何かが、出ていく、感じ・・・

これが、魔法の腕・・・なのかな?


今度は、小石・・・思ってたより、大きいけど・・・小石くらいで、落ちていった。

さっきより、軽い音で、雪玉が、壊れる。

手のひらくらいが、白くなった。


「ミレイ、大丈夫ですか?」

「・・・うん。大丈夫」

「念のため、リサーチ」


ウィルが、魔法を、使って・・・ボクを、見る・・・


「大丈夫とは言え、かなり減ってるみたいですね。

 トランスファーの実験もかねて、やっておきますか」

「・・・ボク、どうしたら、いい?」

「じゃぁ、手を出してください」

「・・・こう?」

「はい・・・じゃぁ、楽にしてください」


ウィルが、手を取って・・・ちょっと、恥ずかしい。

・・・呪文を、唱える。


「我、彼の者に気力の源、

 立ち上がる力を分け与えん。

 トランスファー」


軽く、触れられたところが・・・暖かい。

じんわりじんわり・・・広がっていく・・・暖かさ。

目を、つぶると・・・頭の先まで、じんわりじんわり・・・広がっていく。

暖かくて・・・のどが渇いたときの、水みたいに・・・すごく、すごく、次が欲しい。


手を離された・・・ので、目を開けた。


「どうですか?

 手を触れた方が、効果が高いみたいですが」

「・・・うん。暖かかった」

「暖かいですか・・・」

「・・・うん。

 暖かくて・・・気持ちいい」

「リサーチで見る限り、

 前よりは効率良さそうですが・・・

 まだまだですね。

 片手より両手?

 触れる場所の変更?」

「・・・ウィル?」

「ああ、どうしました?」

「・・・ううん。これから、どうするの?」

「そうですね・・・

 取り敢えず、あと一回だけ、

 魔法を使ってから帰りましょうか」

「・・・ボク?」

「ええ。ミレイの魔法です」

「・・・ま、また、歌うの?」

「そうなりますね」

「・・・ぅ、ちょっと、恥ずかしい」

「まぁ、そうおっしゃらずに。

 折角の魔法ですから、慣れておきましょう」

「・・・う、うん」


魔法のこと、になると、ウィルが、いじわる・・・だ。


次回「先生の日」


Twitter @nekomihonpo


変更箇所

次回タイトルの追加

熟れた。→熟れた、

どうした、→どうしたら、


感想、お気に登録、評価等々ありがとうございます。

ご期待に添えるよう・・・無理せずがんばります。

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◆用語 ●幼少期人物一覧
 ●学院初等期人物一覧
 ●学院中等期人物一覧
 ●学院高等期人物一覧

以下、感想に対する補足になりますが、ネタバレを含む可能性があります。
見る場合、最新話まで見た上で見ることを推奨します。
◆1 ◆2 ◆3 ◆4 ◆5 ◆6 ◆7(2013/02/03)
あとがきは ネタバレ を含む可能性があります。
◆あとがき(2013/02/01)
1話にまとめあげる程ではなかったおまけ。
◆研究室での日常のヒトコマ(2012/11/23)



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