発声記念日のリリーレルマ(母親)
ウチの子は、ちょっと他所とは違うらしいの。
お母様から、
「子育ては大変よ。夜泣きで夜も寝てられないんだから」
とか、
「男の子は大変よ。目を離すとすぐにやんちゃするんだから」
とか・・・散々脅されていたのに・・・夜泣きらしい夜泣きを経験したことがないの。
まさか、私が気がつかずに寝ていたの!?と心配になったのだけれど、ノイナも夜泣きを聞いたことがないっていうし。
夜泣きもさることながら、昼間もあまり泣かないの。
あまり・・・という表現が控えめ過ぎるくらい泣かないの。
あまりにもおとなしいので、心配になってお医者様に相談したのだけれど、
「心配のしすぎですよ、ランカスター夫人。
お子さんは順調に育っていますよ」
と笑顔で言われてしまって、喜んで帰ってきたのだけれど・・・ウチの子は大人しすぎるのではないかしら?
ノイナに聞いても、
「ウィル坊ちゃんは賢い子です。
こちらの言っていることは理解しているようですし、ダメと言ったことは守っているように見受けられます。
確かに、ちょっと静かな感じは致しますが」
なんてことを言うし。賢い子なんて言われてしまって、思わず嬉しくなって頬が緩んでしまったわ。
それにしても、子供って不思議。
何を言っているのか理解しようとしているのか、じ~っとこちらを見つめてるの。
こちらが気がついて尋ねてみると、
「ん?」
って首をかしげて・・・もう可愛くて可愛くて、思わずだっこしてしまうわ。
不思議と言えば、不思議な遊びをするのね。
部屋の隅の方で、
「あー」
とか
「うー」
って言っていたかと思うと、
「あーえうぃううぇーおあおー」
とか呪文みたいなこと言い始めるし。
ノイナに聞いても、
「初めて聞きました」
って言うし。
あれは何なのかしら?
可愛らしいからだっこしてしまうのだけれど。
もうすぐ2歳になろうかという頃に、ウィルがしゃべってくれたわ。
もう嬉しくて嬉しくて・・・ウィンなんか、もう大喜び。
「とうさま、かあさま」
なんて可愛らしい声で呼んでくれて、ウチの子は天使なんじゃないかって思っちゃった。
でも、いきなり、
「とうさま、かあさま」
なんてしゃべったので、ノイナも驚いていたわね。
ウチのウィルは知識欲の塊ね。
「かあさま、あれはなに?」
「これはなに?」
と質問責め。
色々な物に興味津々で聞いてくるわ。
そういえば、ノイナがお手伝いさんだってことを理解していたみたいだけれど・・・ノイナ
にでも聞いたのかしら?
ドンドンドンガン!という音が聞こえて、慌てて廊下に出たら、ウィルが階段から落ちて倒れていたの。
慌てて叫びそうになってしまったけど、落ち着いて深呼吸を繰り返したわ。
私が慌てるとロクな事がない。
まずは落ち着けって散々、お母様に言われていたからかしら。
「ウィル坊ちゃま。大丈夫ですか?」
ノイナが駆けつけて声を掛けてくれたの。
冷静になってからウィルの様子を見ると、頭を軽く切ってしまったみたい。
頭なので血が凄いことになっているのだけれど、ウィルが、
「ノイナ、かあさま・・・だーじょぶです。
てぃけつをおねあいてぃます」
ってしっかりとした受け答えをしたので、かなり落ち着けたわ。
ウィルをそっと抱きしめて、
「聖なる魂よ。どうか、私の息子、ウィルの傷をお癒しください」
と、ヒールを唱えたので、傷は治ったの。
「かあさま・・・いまのは・・・まほーですか?」
「ええ、そうよ。癒しの魔法。もう大丈夫かしら?」
「あい。だーじょぶです。それよりも、まほーのことをおしえてくあさい」
もう、目をキラキラさせて、魔法に興味津々。
まだ難しいと思うのだけど・・・熱心に聞いていたわ。
将来は大魔道士でも目指すのかしら。
次回「ヒールを試した日」
Twitter @nekomihonpo
変更箇所
訪ねる→尋ねる
会話前後に空行追加
次回タイトルの追加
ノイエ→ノイナ(指摘感謝orz)