魔法の授業の日のラルタイア(級友)
この寮は、食事がおいしい。
食事がおいしいってのはいいよね。
身体がほかほかしてきて、幸せな気分になる。
談話室で、仲良くなったインティーと、まったりおしゃべりしてたら、先輩に話しかけられた。
「ねぇねぇ。
ルーパの魔法学科に・・・
え~っと・・・
コニル、名前なんて言ったっけ?」
「えぇ!?
レアルス、私、知らないよ。
見てないんだから」
「ああ!そうだった。
え~っと・・・
黒髪の女の子と一緒にいる、
男の子がいるじゃない?」
黒髪の女の子っていうと、ミレイしか思い当たらない。
ミレイと一緒となると、ウィルかな?
「ええ」
「知ってるのね!
その子、連れてきて!」
「レアルス、無理無理」
「なんでよ!」
「ここ、女子寮」
「うぁ~っ!なんでよ!」
「はい。無茶言わない。
ルーパの子らも、ビックリしてるわよ」
「ああ、ごめんね。
え~っと・・・
コニル、どうしよう?」
「ルーパだから、
1巡りごとに帰っちゃうよねぇ」
「休日に呼び出せないじゃない!」
「授業が終わってから・・・
ってのも、ルーパとルーバシーじゃ、
時間が違うしねぇ」
「う~」
えっと・・・ウィルを呼び出すってことよね?
・・・なんで?
「先輩、先輩」
「ん?何かな?後輩」
「ウィルが何かしたんですか?」
「おお!そうそう。
ウィルって名前だった!
そっかそっか。
ラルタイアちゃんは知り合いな訳ね」
「ええ・・・まぁ」
「よしよし。
じゃぁ、どうやって会うかよね」
「どうしてですか?」
「ああ、んとね。
レアルスが見たって言うんだけど、
その子、ヒールでの治療がすごいんだって」
「そう。そうなの!
しかも、知らない方法まで織り交ぜてるモンだから、
ウチの治療班が落ち込んだり、
やっきになったり、
大変なことになってるのよ」
「ヒールですか?」
「そうよ?」
え?でも、今日、呪印魔法の講義受けてたよ?
インティーの方を見る。
インティーも不思議そうな顔をしている。
「インティー。
ウィルって、今日、呪印魔法に出てたんだけど・・・
神聖魔法なの?」
「わかんない。
ラルタイアが見たんだから、
呪印魔法に出てたのは間違いないけど」
今度は先輩方が不思議そうな顔をしている。
「呪印魔法なの?」
「ええ・・・
呪印魔法に出てましたけど」
「そういえば、神聖魔法の授業免除とか言ってたっけ」
免除って・・・受けなくていいってこと?
「ええ!?
なんですか、それ!」
「いや。
トラウィス先生と、
そんな話をしてたけど?」
「トラウィス先生と?」
トラウィス先生ってのは、神聖魔法の受け持ちの先生だ。
で、先生から、授業免除って・・・何をしたら、そうなるのよ。
「え~っと・・・
トラウィス先生とサララケート先生、黒髪の女の子と一緒に、
ルーバシーの練習してる所に来て、
見事なヒールをしてみせたら、
授業免除になった?」
「ええ!?
だって、まだ、魔法の授業、初日ですよ!?」
「まぁ、でも・・・
目の前でやられちゃったし・・・
あの子がヒール使えるのは、
間違いないよ?」
「ずるい!」
インティー・・・ずるいって・・・
まぁ、解らないでもないけど・・・
「で、先輩たちは、
ウィルに用なんですよね?」
「そう!そうなのよ!
呪文を教えてもらわないと!」
「え?」
「ヒールの前に、
傷口から鎧の破片を取り除く・・・
って呪文を使ってたのよ!
それを教えてもらわないと!」
「先輩たちの知らない呪文ですか?」
「先生に聞けばいいんじゃないですか?」
「トラウィス先生に聞いたら、
『う~ん、あれかぁ。あれはなぁ』
とか、適当なこと言って、
全然教えてくれないんだもの!
本人に聞くしかないじゃない!」
「な、なるほど」
「って、ことで・・・
私たちの間を取り持って!」
レアルス先輩に手を握られた。
すごく一生懸命だ。
「は、はい」
「そっか~。ありがとー!」
手をぶんぶんと振られる。
ちょっと、びっくり。
「じゃぁ、どうするかは、
コニルと相談してからにするね」
「ありがとね~」
先輩方が、にっこにこで談話室から出て行く。
インティーと二人・・・顔を見合わせる。
「授業免除だって・・・」
「ヒール使えるんだって・・・」
「なにそれ・・・」
「すごいし、ずるいんだ~」
「アハハハハ」
「ウフフフ」
なんか、おかしくなって二人して笑っちゃった。
もう、頭の中、ごちゃごちゃだよ。
ウィルに細かいこと聞かないと、納得いかないんだ。
次回「霜降りの日」
Twitter @nekomihonpo
ちょっと短めですかね。
がんばります。
変更箇所
合う→会う(指摘感謝)
次回タイトルの追加
カッパー→ルーパ
シルバー→ルーバシー
カッパーとシルバーの変更漏れ(指摘感謝)