寝耳に水の日のミレイ(家事手伝い見習い)
「た、ただいま」
「・・・ただいま」
「おかえりなさ~い。待ってたのよ~。
どこまで行ってたの?」
・・・なんか、リリー奥様・・・嬉しそう。
・・・最近、やっと・・・リリー奥様っていうの・・・慣れたの。
「いえ。ちょっと町の周囲を・・・小川の辺りとか」
「ああ、あの辺ね~」
「そ、それで、母様。どうしたのですか?」
「魔法特性を測定しましょう」
「はぁ。測定出来るモノなんですね」
「ええ。そうよ~。
じゃ~ん。測定の水晶~」
・・・スゴイ。青くて・・・白いのが動いてて・・・綺麗。
・・・リリー奥様が嬉しそうなのは・・・コレ?
「これで特性が解るのですか?」
「そうね。呪印魔法の特性と、大まかな属性まで解る優れ物よ」
「でも、お高いんでしょう?」
「あらあら。うふふ。何?その言い回し」
「え・・・いや・・・そう言わなければいけない気がしまして」
「そうね。ちょっと高いかしらね~」
「いいんですか?そんなことにお金を使って」
「いいのよ。ウィルとミレイちゃん」
え?・・・ボクも?
「後々は孤児院の子供達にも使えるのだから」
「なるほど」
「さぁさぁ、ウィル、触ってみて」
「普通に触るだけでいいんですか」
「そうよ~。お手軽でしょ」
「お手軽ですね」
「特に変化はありませんね」
「そうみたいねぇ。
ウィルは呪印魔法の素質が無いみたい。
残念だわ」
「まぁ、父様も母様も呪印魔法使えませんからね。
素質が無くて正解なのかも知れませんよ」
「そうねぇ。
じゃぁ、ミレイちゃん、触ってみて」
ゃ、やっぱり・・・ボクも触るんだ。
「ぅ、うん」
そ~っと・・・そ~っと・・・
ぴと。
わ・・・わ・・・なんだろ?
・・・白いのが動いてる。
・・・綺麗。
「あらあら。
ミレイちゃん、スゴイわ。
水か・・・氷の素質があるみたい。
スゴイわ~」
「・・・ぇ?」
素質!?
素質って!?
ボク・・・魔法が使えるの!?
「色が属性を示しているのですか?」
「そうなのよ。
先生をお呼びして本格的な授業を」
「ゃ・・・まって・・・」
「あら?ミレイちゃん、授業は嫌?」
「だって・・・お金・・・勿体ない」
「あらあら。そう?
折角の素質なのに勿体ないわ~」
お金の方が・・・勿体ない。
ボク・・・メイドさん・・・だし。
「母様、普通は家庭教師を付けるものなのですか?」
「そうねぇ。
最近だと、学院で学ばせて・・・ってことの方が多いかしら」
「じゃぁ、学院でいいんじゃないでしょうか」
「そう?そうよね。
学院なら、色々な事が学べるし。
じゃぁ、ウィルと同じ学院でいいかしらね」
「ところで・・・母様、学院に行くという話は初耳なのですが」
「あらあら。そうよね。そうだったわね。
7歳から学院に通うのよ」
「ゃ・・・まって・・・」
「あら?何かしら?」
「・・・学院も・・・お金掛かる」
「いいのよ。気にしなくて。
ミレイちゃんはウチの子も同然なんですから」
「・・・ぁぅ」
お金・・・勿体ないのに・・・
こうなると・・・だめ。
ウィルに止めて・・・貰おう。
・・・ウィル・・・助けて・・・
「いいじゃないですか。一緒に通いましょう」
ああっ・・・助けてくれない。
その後は・・・リリー奥様とウィルが・・・学院の話で盛り上がって・・・
ボク・・・黙って聞いてるしかなくて・・・
ぅぅ・・・お金勿体ないのに。
「所で・・・母様。
全寮制だと、ミレイが心配なのですが・・・」
ん!?・・・心配?・・・ボク?
急に・・・ボクの名前出てきて・・・何?
「あら。どうして?」
「ぃゃ・・・ウチは気にしていませんが、
世間的には忌み人と見られてしまいますよ」
「あらあら。そうね・・・どうしたものかしら?」
「・・・そう・・・だから・・・やめよぅ?」
「寮の方は、お願いしてウィルと一緒にして貰いましょう」
「そんなことが出来るんですか?」
「・・・ぁぅ」
リリー奥様・・・止まらない・・・困る。
・・・ウィルもがんばって。
「大丈夫よ。学内ではウィルが守ってあげるのよ?」
「それはもちろんです」
「・・・ぅ」
守ってくれる・・・って・・・
う・・・うれしいけど・・・そうじゃなくて・・・
リリー奥様を止めて・・・欲しい。
「じゃぁ、今日は、ミレイちゃんの学院生活の服を見に行きましょう♪」
「ぁぅ・・・お金・・・勿体ないの」
「じゃぁ、僕は」「ウィルも一緒に行くの」
「え?」
「一緒に行くの」
「「・・・はぁ」」
お金勿体ないのに・・・町の綺麗なお店に連れて行かれたの。
リリー奥様にとっかえひっかえ・・・綺麗な服着せられて・・・
色々着せられたけど・・・パーティ用ドレス・・・綺麗だけど・・・ボク、メイドさんでお仕事だと思うの。
ウィルに・・・助けを求めても・・・
「似合ってますよ」とか・・・「かわいらしいですね」とか・・・
ぁぅ・・・そうじゃないのに・・・
「やっぱり・・・お金・・・勿体ない・・・」
「そうね。勿体ないと思う気持ちは大事だわ。
だけどね、お金を持っている人が使うという事も大事なのよ」
「え?」
「この服を買うと、服を作った人にお金を払うことになるの。
そうすると、服を作った人が、
そのお金を使うことが出来るようになるわ」
「じゃぁ・・・リリー奥様のふ」「ってことで、この服なんてどうかしら?」
「ぁぅ・・・」
次回「面接の日」
Twitter @nekomihonpo
なるべく、台詞の二度読みにならないような形にしていければ・・・と意識の方向性を変えつつ・・・まだ、出来てない段階です。
変更箇所
いいよの→いいのよ(指摘感謝)
家事手伝い→家事手伝い見習い
次回タイトルの追加