来客の日のその後
ガチャ。
どうやら、やっとお風呂が終わったようだ。
思った以上に長かったなぁ。
と、リビングの扉の方へ顔を向けると・・・えっと・・・ミレイが母様の後ろに隠れてる。
ずいぶん仲良しになったなぁ。
「ずいぶんと打ち解けたというか・・・なつかれてますね。母様」
「んふふ~。さぁ、ミレイちゃん。
お披露目ですよ~」
「・・・ぁぅ」
メイドさんがいた。
ちっちゃいメイドさんがいた。
何がどうとかよく解らないが、照れまくってるので、実にかわいらしいメイドさんがいた。
「えっと・・・母様?」
「んふふ~。かわいいでしょ~」
「ええ・・・それはかわいらしいのですが・・・何故にメイドさんなんですか?」
「・・・ごめんなさい」
「いえいえ。謝らないでください。
本当にかわいらしいですから」
「ぁぅ・・・」
「ミレイちゃんがね、家族になるのは嫌だっていうのよ」
「ふむ・・・そうですか」
「でね。じゃぁ、かわいらしいメイドさんにしましょう。って事にしたの」
「・・・えっと・・・そうですか」
「そうなのよ。かわいいでしょ?」
「・・・それは否定しませんが」
「そんな訳で、ウィル専属のメイドさんにしようかと思うのだけれど?」
「「え?」」
「あら?かわいらしいメイドさんは嫌い?」
「いえいえいえ。そういう問題じゃないですよね?
ウチで引き取るって話だったじゃないですか。
なんでメイドさんなんですか」
「ランカスター家が後見人・・・後ろ盾になってミレイちゃんが1人でがんばれるように応援します」
母様・・・やる気があふれてるのはいいのですが、ガッツポーズはどうかと思います。
「ミレイがそれでいいんなら・・・ミレイはそれでいい?」
「・・・なんで・・・」
「ん?」
「なんで・・・してくれるの?」
「たまたまです。
たまたま・・・たまたま、ミレイが酷い状況にあるということに気がついてしまった。
偶然目にしたミレイの状況が、あまりにも酷く・・・手を差し伸べることで、自己満足・・・良心の呵責から逃れるため・・・結局、ミレイしか救われていないのに。
所詮、偽善で自己満足で・・・それでも、ミレイ1人でも・・・救うことが出来るのならいいかなって。
ミレイは・・・救われたと感じてくれるかな?
これは押しつけになってしまうのかな?」
「ぁぅ・・・ボク・・・忌み人で・・・きっと・・・みんなに迷惑・・・」
「そんな」「そんなことはないわ。ミレイちゃんは、こんなにもいい子なんだもの」
母様がミレイを抱きしめる。
母様・・・私の台詞の最中です。
いい所を持って行かれてしまった。
まぁ、いいんですがね・・・。
「ぁぅ・・・ぅぇ・・・ぅぇぇぇぇ」
泣き出しちゃったよ。
どうするんですか母様。
泣き止むまで掛ける言葉も見つからず。
うわべだけの言葉ならどうとでもなりそうだったが、ここは泣きたいだけ泣いた方がいいのかな?と・・・
「そういえば、身元の引き受けに関する手続きとかはいいんですか?」
「ウィル!」
「は、はい」
「そういう難しいことは大人に任せておけばいいの。
あなたはミレイちゃんを案内してあげなさい」
「は、はい。母様」
やりすぎた。
さじ加減が難しいね。
「じゃぁ、ミレイ。改めてよろしく」
「・・・ぅ、うん」
次回「来客の日のその後のミレイ(家族?)」
Twitter @nekomihonpo
変更箇所
家に来た日→来客の日
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