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ヒール最高  作者: 猫美
幼少編
12/90

来客の日のリリーレルマ(母親)

虐待(を臭わせる)表現が出てきます。苦手な方は飛ばして下さい。

「じゃぁ、ミレイちゃん・・・一緒にお風呂に入りましょう」

「ぇ・・・」

「さあさあ」

「ぁぅ・・・」


ちょっと強引だけれど、ミレイちゃんをお風呂に連れて行ったの。

忌み人として虐げられてきた期間が長かったからか、すっかり引っ込み思案というか、人との接触を極端に嫌っているみたい。

そんな性分に育ってしまっていることが悲しかったわ。

脱衣所で服を脱がすと、服の下からアザだらけの身体が現れたわ。


「これは・・・」

「あの・・・えっと・・・」


思わずミレイちゃんを抱きしめてしまったの。

こんな子に・・・酷い虐待をするなんて。

なんて酷い・・・こんな素直な子を守ってあげたい・・・誰がこんなことを・・・と言った諸々のことがぐちゃぐちゃっとして・・・


「ぁぅ・・・ごめんなさい」

「え?どうして謝るの?」

「だって・・・こんな・・・だし。忌み人・・・だから」

「ううん。謝らなくていいの。

 むしろ、私たちが謝らなければいけないわ。ごめんなさいね。

 つらかったでしょう?」

「ぇぅ?・・・ううん」

「冷えてしまうわ。お風呂に入りましょう」

「・・・どうしても?」

「そうね。折角だから、どうしても」



「うわ・・・あったかい・・・」

「そう。よかった」


二人してお風呂に浸かる。

残念ながら、身体のアザや火傷の跡はヒールでは治せなかったの。

まぁ、そんな気はしていたのだけれど・・・あまりにも酷いので治してあげたかったわ。

若いから、そのうち目立たなくなるとは思うのだけれど。


「ねぇ。ミレイちゃん」

「・・・はい」

「ウチの子にならない?」

「ぇ!?・・・だめ」

「あら。だめなの?どうして?」

「だって・・・嫌われちゃう」

「嫌われちゃう?誰から?」

「みんなが・・・みんなから」

「大丈夫よ。誰もミレイちゃんを嫌ったりしないわ」

「ううん・・・外のみんなから」

「大丈夫よ。ウチの人が守ってくれるから」

「ううん・・・嫌われるの・・・だめ」

「そう。優しいのね」


本当、優しい子。

忌み人を家族として引き取ってしまったら、家族が世間から爪弾きになるって事を理解している。

なんて優しい子。

ぎゅっと抱きしめてしまったの。


「・・・ちょっと・・・苦しい」

「あらあら。ごめんなさい。

 ウチの子になるのがダメなら、ウチで働くのはどう?

 これならミレイちゃんもそんなに困らないんじゃない?」

「ぇ?・・・えっと・・・」

「そうね。ウチの子になってしまうと、ウィルとの結婚で困りそうだし・・・身元の引き受けだけなら、家族ではないのだから、結婚で世間体を気にする必要も無いわね」

「ぇ?・・・ぇ?・・・あの・・・だめ」

「あら?ウチのウィルは嫌い?」

「・・・そんな・・・こと、ない・・・と思う」

「あらあら。じゃぁ、問題は解決ね」

「ぇ?・・・解決・・・してない」

「ウチで住み込みのメイドさんなんてどう?

 きちんとお給金も出すし、家族には追々なればいいわ。

 これならミレイちゃんも問題無いわよね」

「ぁぅ・・・困る・・・」

「あらあら。嫌なことは早めに解決しておかないとね。

 何か嫌なことあるかしら?」

「えっと・・・忌み人だから・・・」

「ん~・・・ミレイちゃんは忌み人じゃないわ。

 これで問題は解決ね」

「ぇ?」

「だって、ミレイちゃんはこんなにも良い子なんですもの。

 忌み人なんかじゃないわ。

 仕事のことは、ノイナからお聞きなさいな。

 急がずに、ゆっくり憶えていけばいいから」

「ぁぅ・・・」


ちょっと強引すぎたかしら?

でもこれくらいしないと、この子は身を引いてしまいそうだし・・・そういう部分は時間を掛けて解決していけばいいかしらね。

ゆくゆくはウィルのお嫁さんとして、家族になっていけばいいのだし。


「これから、よろしくね。ミレイちゃん」

「ぇぅ・・・」

次回「来客の日のミレイ(お客さん)」


Twitter @nekomihonpo


変更箇所

なるって子と→なるって事(指摘感謝)

次回タイトルの追加

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◆用語 ●幼少期人物一覧
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 ●学院高等期人物一覧

以下、感想に対する補足になりますが、ネタバレを含む可能性があります。
見る場合、最新話まで見た上で見ることを推奨します。
◆1 ◆2 ◆3 ◆4 ◆5 ◆6 ◆7(2013/02/03)
あとがきは ネタバレ を含む可能性があります。
◆あとがき(2013/02/01)
1話にまとめあげる程ではなかったおまけ。
◆研究室での日常のヒトコマ(2012/11/23)



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