人さらいの日のアルフ(いじめっ子)
ここ数話、いじめ、虐待(を臭わせる)表現が出てきます。苦手な方は飛ばして下さい。
学院が休みなので暇ですね。
ジャンは家の手伝いで忙しいでしょうから、本当に暇です。
ぼ~っと町ゆく人を眺めていると、さっきからちょろちょろと行ったり来たり・・・昨日のちょっと生意気な子ですね。
喧嘩の最中に、自分にヒールをしているように見えたのですが・・・あんな小さい子が、ヒールを使えるモノなんでしょうか?
そもそも、無詠唱のヒールなんて可能なんでしょうか?
しかも、結構な回数を自分にヒールしているように見えましたが・・・そんなにヒールを使えるモノでしょうか?
特殊体質で超回復を持っている可能性も否定できませんね。
疑問だらけです。
ロロに聞いてみたいところですが、休み明けまで無理ですね。
・・・本人に聞いてみますか。
「こんにちは」
「ん?」
「無事に逃げられましたか?」
警戒されていますかね。
なんとも仕方ないですが。
「そうですね。
喧嘩も長引かずに済みましたし」
・・・おや?応対をしてくれるようです。
「キミは面白い子ですねぇ」
「・・・ガキ大将のお仲間じゃないんですか?」
「ガキ大将?・・・ああ、ジャンの事ですか。
いや。お仲間ですよ?
まぁ、手下って訳でもありませんがね」
ガキ大将ですか。
そうですね、ガキ大将ですね。
「で、そんなお仲間さんが、何用ですか?
昨日の続き・・・という訳でも無さそうですが?」
「ちょっと確認をね・・・キミはヒールが使えるんですか?」
「へぇ。バレてましたか。
そうですね。ヒールです。
どうします?卑怯者とでもなじりますか?」
「いやいや。
喧嘩ってのは自分の力でやるモンだと思いますよ。
そのヒールだってキミの力ですからね。
ただ、子供にしては凄いなと思いましてね」
本当にヒールでしたか。
結構な回数、使っていたように見えたのですが・・・あまり疲れていたようには見えませんですし・・・
「・・・変な人ですね」
「いやいや。
ヒールが出来るような凄い子とは友達になっておいた方がいいかな?
と思いましてね」
「いじめの仲間になれ・・・と?」
う・・・厳しいところを突いてきますね。
「あぁ・・・それは・・・う~ん。
いじめたくていじめてる訳じゃないんですがね」
「理由はどうでもいいですよ。
僕はあの子の味方です」
「・・・嫌われてますかね?」
「好かれる理由があるとでも?」
ごもっともですね。
「・・・無いですかね。
仲間になると、いじめられませんよ?なんてのも嫌われそうですし」
「ふぅ、そうだね。
好きこのんでいじめられたいとは思わないけど、いじめの仲間にはなりたくないしね」
実に、耳に痛い話ですね。
「取り敢えず、いじめの話はやめましょうよ?」
「ホント・・・変な人ですね。
・・・もう行ってもいいですか?」
「ええ。呼び止めてすいません。
お急ぎですか?」
「ふむ?
・・・つかぬ事を聞きますが、昨日の子がどこにいるか知りませんか?」
「はぁ?キミも不思議な子ですね。
忌み人を探しますか」
「ええ。ちょっと探しています」
「ミレイは、この先のハズレの孤児院に居ますよ」
「ミレイっていうのか・・・」
「名前、聞かなかったんですか?」
「・・・逃げられたんですよ」
「ぷ・・・ふはははっはは」
「・・・わ、笑うなよ」
「いやいや。すみません。ぷは。
いやいや。名前も知らないのに探してるんですか」
「ああ・・・ちょっとね」
是非とも見てみたいですね。
興味が湧いてきました。
「ついて行っても?」
「はぁ?・・・う~ん?」
「邪魔はしませんよ?」
「誤解されて逃げられても困るからやめとく」
ああ、そうですね。
いじめの仲間・・・と思われても、彼には迷惑でしょうし。
「・・・そうですか。そうですね。
残念ですが、邪魔はしないと言いましたし」
「こっそり付いてくるのも無しだぞ」
「ええ、解ってますよ。
そうそう。お名前を聞いても?」
「普通、自分から名乗るモンですよ?
まぁ、お約束だからいいけどさ。
ウィル。ウィル・ランカスター。5歳だ」
「5歳!?すごいですね。
アルフ・ニナカ。7歳です」
「アルフ・・・でいいかな?変な奴だな」
「ウィルほどでは、ありませんよ」
「まぁ、いいや。助かったよ」
「礼にはおよびませんよ」
ほんと、面白い人です。
ウィル・ランカスターですか。
ロロに紹介したいところですが・・・中々難しいでしょうね。
いじめっ子の仲間・・・のままですかね?
彼がウチの学院に来てくれると楽しそうです。
次回「来客の日」
Twitter @nekomihonpo
ストックが無くなるので、あまり連続で上げたくないのですが、反応があると、ついつい公開したくなる病。
変更箇所
タイトルの「の」抜け
次回タイトルの追加