サンジュウサン色
「くーちなしー」
誰もいない居間で俺の声が響いた
アキラちゃんは畑仕事、ほかの皆はお仕事中。
「なんか俺ニートみたいじゃん」
うゎぁなんか洒落になんないや
まぁここ最近やる気もアイデアも出てこないから今の生活を満喫しちゃおかなぁ
『白緑さーん』
「はぁーい」
『草むしりもしたいのでまだ時間かかりまーす』
「お昼ご飯まででお願いしまーす」
ちょっと遠くて小さいから見えにくいけど笑っていた
あーアキラちゃんは好きだなぁ・・・もち、loveじゃないよ?likeだけどさ
「ニャー」
「うわっ!」
び、ビビったぁ猫さんでしたか。
はじめまして、と言うとなゃぁってかわいく鳴いてくれた
ん~癒される
「ちょいと聞いてくれよ猫さん」
「なぁ」
「さっき向こうにいた女の子かわいいよね」
「んなぁ」
「俺の恋をはじめて応援してくれた子なんだ」
なんか照れるねぇ。しかもちゃんと会話できてることに奇跡を感じるわ
俺の恋バナ聞きたい?って言ったら鳴いてくれないってどゆこと?
「いいよいいよ、流す程度で聞いてや」
猫さんは縁側で日向ぼっこの体制になった
俺は気にせず喋ります。
「何年前かなぁ?たぶん5年前?
はじめて支子に会ったときは驚いたわぁ・・・あ、支子ってのは俺が恋してる人の名前ね
で、驚いた理由が・・・ケーキ屋のウィンドウの前でじっっって立ってんの!
その姿が面白くて声かけたの
こんにちわ、どうかした?って、そしてこの一言!
・・・このケーキが可愛くて
可愛いのはお前だぁあ!って叫びたかったなぁ」
そこまで話すとさっきまで外を向いてた猫さんがこっちをじっと見ていた。
落ち着け、話は聞いてやるからよ。
そう目で語っていた(今になって羞恥が沸いてきたよ)
「猫さんは応援してくれる?」
「なぁ」
「・・・・くーちなしー」
「にゃぁ」
「支子」
「にーぃ」
「お前面白いな!」
何度も名前を呼ぶと堪えてくれる変わり者の猫
真白で金色の目、しなやかな体は凄く綺麗
あーアキラちゃん遅いなぁ
「猫さぁん一緒に寝よっか?」
「んな」
ゴロンと横になると少し離れたところに腰を下ろした
撫でたいなぁと思ったけど動くのも面倒、代わりにじゃないけど瞼をゆっくり下ろした
オヤスミ、支子
◆◇◆◇
あ、つ、い。けどまだ起きたくない
ふわふわとしたこの心地よさにいたいのに
「なぁ」
「・・・猫さん?」
「・・・寝ぼけるな」
「・・・・・くちなしっ!」
勢いよく起き上がると猫がいたところに支子が座っている
まさか、あの猫本当は支子なんじゃ!
「うわぁ!恥ずかしすぎるぅ!!忘れて!忘れてぇ!」
「・・・いい加減起きろ」
チョップを食らわされて悶えていると完全に頭が冴えた
なに俺混乱しちゃってんの?
「あ~起きました!」
「・・・おはよう」
「おはよう!今何時?」
「・・・6時半」
「えぇー!昼飯食べてない!」
しまったな、アキラちゃんに悪い事したし
とりあえず支子とお喋りタイム!猫さんの事をお話中(もちろん恋バナは伏せてるけど)
また会いたいなぁ
「くちなし!って呼ぶとニャーって鳴いてくれてさぁ・・・もうめっちゃ可愛いの!」
「・・・それは、俺も一度見て見たい」
「支子、猫好きだもんな~」
「・・・にゃー」
「・・・えっ!」
声を上げた瞬間してやったりの顔をした支子は一瞬で。
早々と台所に行ってしまった
とりあえず一言。
「猫さん!ありがとう!」
また会えたら煮干でも用意しておきます!
家には猫がふらりとやってきます(笑)
すっごく可愛くてすっごく愛らしいんだけど・・・毛が服につくww
最近どこいっちゃったのかなぁ・・・
白緑はマジで支子のことが好きです(爆)
応援してあげてね!