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緑の丘の銀の星  作者: ひろみ透夏


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01-03

 

 

「では博士(はかせ)ぇ、今回の任務は、いったい何でありますか?」



 いつもは博士と呼ばれている隊長が、隊員の無邪気な質問にこたえる。


「今回の任務は、地球というこの未開の惑星に(ひそ)む『外来生物』の調査だよ。もう目星(めぼし)はついているから、そう長居(ながい)はしない。だからこんな小部隊なのだ。

 だいたい、たったふたりで隊長と隊員だなんて、まるで『探検ごっこ』をしている子どもみたいでバカらしいよ」



 ぽっかりとあいた隊員の小さな口の穴から、また奇妙な笑い声がもれる。


 あいかわらず無表情で笑う隊員の姿に、博士は腹話術(ふくわじゅつ)の人形とでも話してるような不思議な気分になった。



「ところで博士は、なぜバイオロイドを使わないのですか? 生身の体で行動するより安全だし、いざとなったら船ごと自爆(じばく)できて便利ですよ」



 おしゃべりな隊員だと思いながらも、博士は丁寧(ていねい)にこたえた。



「わたしたち生物学者は命と向き合っているのだ。命と対話するときに、こちらが作り物ではダメなのだよ。たったいま、きみと話をしていて、それを再確認したところだ」



 博士は皮肉(ひにく)まじりの笑顔を向けたが、隊員はぽかんと口をあけているだけで、何もこたえなかった。



「何かこたえたまえよ。無表情なきみの顔からは、きみがいま何を考えているかなんて、まるで読み取れないのだから……」



 なおも返事はない。


 ためしに隊員の肩を叩いてみるが、その体は石のように固まっていて、ぴくりとも動かなかった。



「おい、きみ、一体どうしたんだ?」


「博士……わたしの後頭部(こうとうぶ)に表示されたアンテナ……。いま何本立っていますか?」



 雑音が()ざったような声で話す隊員の後頭部に、博士は目を向けた。

 つるりと輝く青白い大きな頭に、アンテナマークが浮かび上がっている。そのとなりで細く短い棒が一本、出たり消えたりしていた。



「一本立っているが、いまにも消えそうだよ」


「それ……大変……だ。脳波の受信状態が……非常……悪い。操縦不能……自爆……ます」


「ま、待て! わたしは生身の体なんだ。自爆はやめてくれ!」



 博士があわてて隊員の体を揺さぶると、マネキンのように固まった隊員の体が、座ったままの姿勢で、ごろりと床に転がり落ちた。


 その口から、かすかに声がもれる。



「そ……でした……。しかし安心……ください……。船は安全装置が働き……自動で不時着(ふじちゃく)……。数日後には……迎え……」



 そこまで言ったとき、隊員の後頭部に表示されたアンテナマークが完全に消えた。


 同時に腹に響くような衝撃音が鳴り響き、船内が大地震のようにぐらぐらと揺れる。




「……どこかに不時着したってわけか」





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