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緑の丘の銀の星  作者: ひろみ透夏
第6話 いざ洞窟へ!

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06-02




「じゃあ、行くよ」



 アユムから懐中電灯を受け取ると、ゲタを脱いで裸足になり、()つん()いで穴の中へ入った。

 外のうだるような暑さと違って、穴の中はひんやりと涼しい。


 わたしは壁をさわってみた。さらりとした感触(かんしょく)の平らな壁は、天然石のようには見えない。どうやらコンクリート製のようだ。しかも劣化(れっか)度合(どあい)を見るかぎり、それほど昔に作られたコンクリートとは思えない。



 やはりこの穴は、比較的新しいもののように思えるが……。



 ひとり考えをめぐらせていると、せまい穴の中にアユムの()(ごと)とトモミの怒鳴り声がおんおんと響いた。


「ハカセぇ、トモミぃ! ボクのまわり、まっ暗で怖いよぉ~」


「黙りなさい! あんたの声が穴の中に響いてうるさいの!」


「……ふたりとも静かに!」


 そう言ってから気がついた。


「水の落ちる音がする……」


 わたしたちは耳をすませた。かすかに、しずくの落ちる音が暗闇の奥から聞こえてくる。


「奥はいくらか広そうだよ。急ごう」





 十メートルほど進むと、コンクリート製の壁は途切れるように終わりを見せ、ごつごつとした黒い岩肌へと姿を変えた。

 洞窟は、すでに立って歩けるほどの高さになっている。



「きゃぁあああああ!」



 その叫び声が響いたのは、一息(ひといき)つこうと背伸びをしたときだった。

 あわてて懐中電灯を向けると、トモミの顔のすぐ前に『それ』が浮かんでいた。


 明かりをうけたその物体は、ゆらゆらと不気味にうごめく大きな黒い影を、洞窟の壁いっぱいに映し出している。


 すかさずわたしは『全宇宙生物図鑑』を背中からおろして、トモミの目の前で大きく開き、ばたん! と、すばやく閉じた。



「顔ぐらいあった……。初めて見た、あんな巨大グモ……」



 腰を抜かしたトモミが、胸を両手で押さえ、けんめいに息を整える。


 わたしは図鑑を開いて中を確認した。



「本で潰しちゃったの? ごめんね、大切なものなのに」


「ううん、いいんだよ。それより……」



 さっきから、アユムの姿がどこにも見当たらない。



「アユム~、どこ~? さっさと出てこないと、張り倒すわよ~」


 トモミの怒鳴り声が洞窟の中をこだまする。

 すると、もと来たコンクリート製のせまい穴から、かすかな声が返ってきた。


「ここだよ~……。ぼく、おなか痛くなっちゃったから、外で待ってるよ~……」


 思わず顔を見合わせる、わたしとトモミ。



「一番乗り気だったくせに。あいつ、怖くなって逃げたのよ」


 トモミが肩をすくめる。


「……仕方ない。このさきは、ふたりだけで行こう」


「えっ、ふたりだけ……? ほんと、しょうがないんだから!」




 愚痴(ぐち)るトモミのその声は、なぜか不思議と、弾んでいるようにも聞こえた。





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