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緑の丘の銀の星  作者: ひろみ透夏
第4話 ふたりの告白

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04-01 ふたりの告白



 次の日、わたしは朝からそわそわと落ち着かなかった。


 あんなに待ちこがれていた母船からの迎えも、もはやどうでもよくなっていた。むしろ数日は来なくてもいいとさえ思っていた。



 アユムは大喜びするだろうな。トモミはやっぱり、笑うかな……。



 そんなわたしの興奮(こうふん)とは裏腹(うらはら)に、どんよりとした雲が空をおおい、昼すぎにはぽつぽつと小雨が降りだした。



 ふたりとも、今日は来ないか……。



 そうあきらめかけたとき、緑色の地平線にゆれる黄色い傘を見つけた。




「あれぇ、やっぱり今日は、トモミは来てないかぁ」



 ひょこひょことゆれる傘の中にいたのはアユムだった。


 アユムは小型宇宙船をよじのぼると、いつも通りわたしの左どなりに座り、

「約束していないのに、ここに集まるのが、ぼくらの決まりみたいになっちゃったねぇ」と笑った。



 わたしはその言葉が何よりうれしかった。



 銀河の果ての惑星に友だちができた。

 環境も習慣も文化も違う、どんな生物とだって友情は生まれる。

 その瞬間が、わたしは大好きだ。



 三人そろってから例の話を切り出すつもりだったが、わたしはアユムの笑顔を見て、すぐにでも話したくなって口を開いた。



「ハカセはさぁ、トモミのことどう思う?」



 が、先に話し出したのはアユムだった。


「わかってるよう。ぼくチビだし、運動も苦手だし、トモミとは不釣り合いってことぐらい……。

 ハカセはいいよねぇ。ファッションセンスは変わっているけど、わりとカッコいいからさ」



 うつむきながら話すアユムの横顔は、湯気が出そうなほど、まっ赤にほてっていた。



「ねえ、ハカセぇ。トモミのこと、どう思っているのさぁ?」


「ええと……。とっても明るくて、にぎやかで、楽しい子だと思うよ」



 わたしはあたりさわりのない返事をした。

 トモミのことは好きだったが、異星人のトモミに、アユムと同じような感情を(いだ)くことは、たぶんないだろう。



「そうだよねぇ。トモミ、学校では誰とも話さないくせに、ハカセとはよくおしゃべりしてるもんねぇ……」


「ほんと、すっごいよくしゃべる。昨日もママの話を延々(えんえん)と……って、んっ? ええっ? トモミって、普段からあんな感じじゃないの?!」



 わたしは自分の耳を疑った。

 あのおしゃべりなトモミが、学校では誰とも話さないなんて、とても信じられなかったからだ。



「うん。六年生のクラス替えで一緒になったときは、すぐにみんなの人気者になったんだけど、まぁ、あることをきっかけにね……。

 だからハカセ、どんなことがあっても、ぼくたちはずっとトモミと友だちでいようね!」



 アユムはずるずると小型宇宙船からすべり降りると、


「今日はこんな天気だから、ぼくもう帰るよ。ハカセも傘ぐらいささないと風邪ひくよぉ」


 と言って、走って行ってしまった。



 アユムが帰ってからも、わたしはさっきの話のことばかり考えていた。

 大好きな『全宇宙生物図鑑』の内容も、まるで頭に入らない。




 あの元気で明るいトモミに、そんな一面があったなんて……。





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