03-04
「龍の玉だって?」
わたしの驚いた顔を見て、ネコは得意になって話し始めた。
「さきほどの……アユムとかいう少年の話をどう思いますか?」
「よくあるおとぎ話のたぐいだよ。事実をもとにしているのかもしれないが、長く語り継がれていくうちに、ただの隕石が『龍の玉』なんてものに置きかわったのだろう」
するとネコは、にやりと笑った。
「じつは見つけたのです、龍の玉……。この丘の地下洞窟に確かにあるのです」
「そんな、ばかげてる!」
笑い飛ばすわたしに向かって、ネコはふんっと鼻を鳴らした。
「わたしはトレジャーハンターですよ。宝探しは得意なのです。しかし、入り口がネコが入れるほどの隙間しかないので、博士が入るには穴をひろげなくてはなりません。あの少年たちに手伝わせてみては?」
突拍子もない提案に、わたしは悩んだ。
このネコの話が本当だったとしても、未開の星の伝説に異星人が関わるのは好ましくない。
……が、トモミやアユムには恩がある。もし何かを発見できたとして、それをあの子たちの手柄にすれば、恩返しになるかもしれない。
それに正直を言えば、わたし自身、少し興味があった。
「いい……かもしれないね」
好奇心に駆られた気持ちが、つい口をついて出てしまった。
「決まりです!」
するとネコが、ぽんっと手を叩いて言った。
「では博士、わたしは案内役を務めます。地球人の前では普通のネコを演じるので、博士は素知らぬ顔で、わたしのあとについて来てください。決行の日取りが決まったら、お呼びを。わたしはこの草原のどこかに必ずいますから。わたしのことは、そうですね……。ステネコと呼んでください」
ステネコはわたしが心変わりしないうちに、とんとん拍子でものごとを決めていくと、ぴょんと大きくジャンプして暗い草原に飛び込み、姿を消した。
わたしはまだ悩んでいた。
本当にこんなことをしていいのだろうか?
心の中で迷いながらも、アユムのはしゃぐ顔が目に浮かぶ。
「喜んでくれるかな……トモミも……」
夜空に輝く月をみつめながら、わたしはひとり、つぶやいていた。




