03-03
「きみのケースは、ふたつめにあたる……」
わたしの言葉に、ネコは前足を地に着け、身がまえた。
「駆除……。殺されるのですか?」
わたしはこらえ切れずに、ぷっと吹き出してしまった。少々いたずらが過ぎたようだ。
「ごめんごめん。心配させちゃったね。きみは意図せず、この星に取り残されたのだから、もとの星に帰すだけだよ」
ネコは大きく息をはくと、その場にへたり込み、うらめしそうな目でわたしを睨んだ。
「しかし、きみがひとりきりで良かった。もし、きみのような外来生物が、この星の生態系に影響を与えるほどの数で繁殖していたのならば話は別だ。
月の裏側に停泊している銀河連合の母船から攻撃部隊が出撃して、あやうく外来生物として駆除されるところだったよ」
ネコの顔が一瞬にして青ざめた。
もちろん、黒い毛におおわれた顔が、本当に青ざめたわけではないが、わたしには、ひどく怯えているように見えたのだ。
「まったく乱暴な話さ。そんなきわめて稀なケースのために、銀河連合は、わざわざこんな銀河の辺境にまで母船を移動させたんだ……。まったく、わけがわからん」
わたしは肩をすくめてみせたが、ネコはまだ怯えている。
「博士、わたしは手つかずの惑星をターゲットにする違法なトレジャーハンターです。そんな乱暴な考えの銀河連合に連れて行かれたら、どんな罰を受けるか……」
なるほど。このネコも未開の星に無断で立ち入ることが、宇宙航海法できびしく禁じられていることくらい知っているらしい。
「それなりの罰は受けるだろう。誰もが守るべきルールをきみは破ったんだからね……。だが、こんな銀河の果ての惑星にひとりぼっちで暮らすより、罰を受けてでも家族の待つ故郷の星へ帰ったほうが、よっぽどいいんじゃないか?」
するとネコは、キッとするどい目でわたしを睨みつけ怒鳴った。
「家族なんていません!」
やさしく諭したつもりが迂闊だった。何かつらい思い出があるのかもしれない。
ネコはしばらく難しい顔で黙り込んでしまったが、やがて思いついたように声を上げた。
「そうだ博士! わたしのことは内緒にしてくれませんか? もちろんタダでとは言いません」
黄緑色のネコの目が、きらりと光る。
「……特別に『龍の玉』のありかを教えましょう」




