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緑の丘の銀の星  作者: ひろみ透夏
第1話 トモミ

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1/5

01-01 トモミ

挿絵(By みてみん)



 

 銀河の果てに、地球という発展途上の星がある。

 その星には(みどり)(おか)と呼ばれる丘があり、動かなくなったままの銀色の小型宇宙船が置いてある。


 緑の丘の銀の星――。


 それは、わたしと友との約束の場所であり、わたしの一番大切な思い出の場所である。





  1 トモミ



「今日のわたしのお昼、なんだったかわかる? ツナ缶よ? ツナ缶! 昨日は納豆。その前はやっぱりツナ缶。その前は、えーと、どっちだったかな? ……納豆だわ」



 トモミだ。昼すぎになると現れる。



 鮮やかな桃色のワンピースのすそをひらりとひらめかせて、緑の草原に置いてある銀色の半球(はんきゅう)をかけ上がり、わたしの右どなりに座った。



「明日のお昼がなんだかわかる? わたしにはわかるわ! 納豆よ。三パック入りの残りの一個。そりゃパパも逃げるわ……」



 トモミは、わたしの今日の昼食が何だったかを聞いてきた。わたしがこたえようと口を開けたとき、トモミはもうしゃべりだしていた。



「親同士はいいわ。どうせ他人だものね。でもわたしは子どもをやめられないし、親も選べない。どっちの親かも選びたくない!」



 昨日のこの時間、トモミの話題は『両親の別居(べっきょ)の危機』だった。



「もし別れて暮らすようなことになったら、トモミはどっちについて行くの?」



「もしもね。もしもそうなったら、断然(だんぜん)ママよ。パパ、いま無職だし……。わたしはこれからもツナ缶と納豆で生きていくの。でもパパについていったら、大好きなツナ缶も納豆も、食べられないかも知れないじゃない……」



 トモミの母親は夜働いている。

 毎日遅くまで仕事をして、トモミが「おはよう」と言うときに「おやすみ」と言って寝るそうだ。


 キッチンの棚にはツナ缶がたくさん入っていて、それぞれ『父』『母』『友』と書いてある。トモミはそこから『友』と書かれたツナ缶をひとつ取りだし、それをおかずに早めの昼食をとるのだ。


 納豆の日についても以下同文である。



「けっきょく好きなんだね。ツナ缶と納豆」


「まあね。子どものころから、ずっとだから……」



 トモミは(なつ)かしそうに目を細めて、抜けるような真夏の青空を見上げた。


 大人びた態度をとってはいるが、まだ十二歳。


 かく言うわたしも、この星では十二歳の小学生男子。

 じりじりと照りつける大陽のもと、この見渡すかぎり草ぼうぼうの草原のまん中にある、直径三メートルほどの銀色の半球状(はんきゅうじょう)の物体の上に座り、お気に入りの生物図鑑を読むのが、わたしの日課だ。




 そう。一週間前の、あの事故から――。




楽しく読めて深みのある児童書、エンタメ系小説を執筆しています。

大人から子どもまで楽しめる作品を目指しています!


よろしくおねがいします(❁ᴗ͈ˬᴗ͈))))

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