01-01 トモミ
銀河の果てに、地球という発展途上の星がある。
その星には緑が丘と呼ばれる丘があり、動かなくなったままの銀色の小型宇宙船が置いてある。
緑の丘の銀の星――。
それは、わたしと友との約束の場所であり、わたしの一番大切な思い出の場所である。
1 トモミ
「今日のわたしのお昼、なんだったかわかる? ツナ缶よ? ツナ缶! 昨日は納豆。その前はやっぱりツナ缶。その前は、えーと、どっちだったかな? ……納豆だわ」
トモミだ。昼すぎになると現れる。
鮮やかな桃色のワンピースのすそをひらりとひらめかせて、緑の草原に置いてある銀色の半球をかけ上がり、わたしの右どなりに座った。
「明日のお昼がなんだかわかる? わたしにはわかるわ! 納豆よ。三パック入りの残りの一個。そりゃパパも逃げるわ……」
トモミは、わたしの今日の昼食が何だったかを聞いてきた。わたしがこたえようと口を開けたとき、トモミはもうしゃべりだしていた。
「親同士はいいわ。どうせ他人だものね。でもわたしは子どもをやめられないし、親も選べない。どっちの親かも選びたくない!」
昨日のこの時間、トモミの話題は『両親の別居の危機』だった。
「もし別れて暮らすようなことになったら、トモミはどっちについて行くの?」
「もしもね。もしもそうなったら、断然ママよ。パパ、いま無職だし……。わたしはこれからもツナ缶と納豆で生きていくの。でもパパについていったら、大好きなツナ缶も納豆も、食べられないかも知れないじゃない……」
トモミの母親は夜働いている。
毎日遅くまで仕事をして、トモミが「おはよう」と言うときに「おやすみ」と言って寝るそうだ。
キッチンの棚にはツナ缶がたくさん入っていて、それぞれ『父』『母』『友』と書いてある。トモミはそこから『友』と書かれたツナ缶をひとつ取りだし、それをおかずに早めの昼食をとるのだ。
納豆の日についても以下同文である。
「けっきょく好きなんだね。ツナ缶と納豆」
「まあね。子どものころから、ずっとだから……」
トモミは懐かしそうに目を細めて、抜けるような真夏の青空を見上げた。
大人びた態度をとってはいるが、まだ十二歳。
かく言うわたしも、この星では十二歳の小学生男子。
じりじりと照りつける大陽のもと、この見渡すかぎり草ぼうぼうの草原のまん中にある、直径三メートルほどの銀色の半球状の物体の上に座り、お気に入りの生物図鑑を読むのが、わたしの日課だ。
そう。一週間前の、あの事故から――。
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