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わたしの夢は冒険士!〜冒険者がエリート職の世界で〜  作者: 蒼空ふわり
すくすく魔力増量中

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13. もうひとりの練習仲間


 あれから毎週欠かさず神殿教室に通って、今は12の文字が書けるようになった。教室では習った文字の復習もするから、少しずつだけど、覚えてる文字もちゃんと増えてきたんだよ。

 魔法の練習も、ライトが日中に14回と夜に4回できるようになってきたし、わたしも成長してるよね。


 そういえば、教室で最初の日に話してた “あったか石” は、お父さんに話したら、新しいのを作ってくれたんだよ。神殿教室で使えるようにって言ってね。

 それで毎月の礼拝のときに、お父さんが神父さんに渡してくれたんだ。これなら神殿教室のとき以外にも使えるから、神殿で働いてる人たちも便利になるよね。


 あったか石は神殿で管理してるらしくて、毎回ソーニャ先生に言って、借りて使うことになったんだよ。それで、その次の教室のときに使ってみせたんだけどね。


「すごーい! すぐにぬるくなった。これなら冬の洗いものもラクになるね」


 って言って、アデルたちも喜んでくれたんだよ。そんなに高くない魔道具だから買いやすいみたいって話したら、お母さんに言ってみるって。


 これはコニーに聞いたんだけど、バーバラおばさんが屋台街とか市場の知り合いに、この魔道具の話をしてたみたい。コニーはよく分かってなかったみたいなんだけど、家でその話をしたら、お母さんが知ってたんだって。


 コニーから使ってよかったよって聞いて、コニーの家でも買ったみたい。アデルたちの家でも買ったらしいから、わたしのアピールも役に立ったのかも。みんな冷たいお水で洗いものしなくて済むから、もっと広まったらいいと思うんだよね。


 それからね、教室のみんなとも仲良くなってきたんだよ。いつも少し早めに行って、アデルやエラ、テオたちとおしゃべりしたり、帰りはほかのみんなと裏庭で遊んだり。すっごく楽しいの。


 アデルはお母さんが針子さんで、服のことを聞いたりしてるから、服をつくるのに興味があるんだって。10歳になったら針子さんになって、できれば服をデザインするお仕事をしたいみたい。


 そういえば、10歳の洗礼式って、魔力を測る日っていうだけじゃないらしいんだよね。お仕事によっては見習いを始めたり、学校に行ったりするんだって。

 だから、見習いになる子はほぼ神殿教室に通うみたい。親と同じお仕事を選ぶ子が多いみたいなんだけど、そうなると、親も働いていることが多いからなんだって。


 ほかの子たちは、エラのお家がお花屋さん、カイとコニーが市場のお店の子だった。3人とも教室のない日は、少しお店のお手伝いをしているんだって。


 そしてなんと、コニーのお父さんは、いつも行く野菜屋さんのおじさんだった。今度行ったら、コニーもいるかもしれないね。エラのお店は、うちからちょっと遠いみたいだから行けそうにないけど、カイのお店には行けると思うから、それも楽しみ。


 それから、テオは挨拶でも言ってたけど、お家のお店をお手伝いするために、学校にも通う予定なんだって。教室では、学校に入ったときに困らないようにって、習っておくみたい。


「文字の読み書きと計算は知ってたほうがいいんだって。お兄ちゃんが言ってたんだよね」


 テオはお兄ちゃんがいるから、将来お店を任されることはなさそうなんだって。でも、大人になってもお店を手伝うことになるかもしれないし、今はなりたい職業も分からないから、できることをしてるみたい。


 テオの言う学校って、どんなところなんだろう。わたしが魔法の学校に行くなら、その学校は行かないのかな。まぁ、まずは10歳の洗礼式だよね。


 そして、バルドとアレクは、2人ともお父さんが兵士なんだって。兵士って、街を守るお仕事なんだよ。門にいることもあるし、街の見回りをしたり、訓練もするみたい。そういえば、大通りを歩いてるときに、同じ服を着た人たちを見たことがあるかも。


 バルドは兵士になりたいらしくて、10歳で見習いになるつもりみたい。バルドは体も大きいし、なんだかんだで頼りになるから、兵士にぴったりな気がするね。


「俺が兵士になったら、街のみんなを守るんだ! そのためにも強くならないとな」


 って言ってた。裏庭でもよく走り回ってるし、家でもお父さんに教えてもらいながら、ちょっとずつ剣を振ったりしてるみたい。それに、ごはんもたくさん食べてるんだって。だから体が大きいのかも。


 アレクはというと、兵士じゃなくて騎士になりたいんだって。騎士は、国の偉い人を守ったり、その人たちが居る建物を守ったりするみたい。わたしは見たことがないけど、すごく格好いいんだって。

 無口なアレクが自分から言うくらいだから、きっと格好よくて憧れてるんだろうね。きりっとした顔だから、そういう格好も似合うのかもしれない。


 そしてなんと、アレクも魔法の学校に入りたいんだって! 知らなかったけど、騎士も魔法を使うらしくて、10歳の洗礼式で魔力量が多くないといけないみたい。

 だからハルトと相談して、アレクも一緒に魔法の練習をしたらいいんじゃないかって言ってたんだ。アレクの夢は先週聞いたところだったから、すぐにハルトと広場で話したんだよ。


 というわけで、今日の神殿教室が終わったら、アレクに声をかけてみようと思ってるんだよね。本当は内緒の練習だけど、アレクなら大丈夫だと思うんだ。だって、騎士になりたいって言ったとき、すごく真剣な目をしてたからね。


「あ、アレク! ちょっといい?」


 ハルトと一緒に声をかけると、アレクは頷いて、わたしたちについて来てくれた。裏庭に出て、3人でベンチに座る。アレクを真ん中に、左がハルト、右がわたし。まずは、わたしから話し始めた。


「アレクは騎士になりたいんだよね?」

「うん」

「でも、魔法を使う人になるためには、10歳の洗礼式で認められないといけないじゃない?」

「うん」

「この前、わたしとハルトも魔法を使えるようになりたいって話したよね。それでね、実は洗礼式で認められるように、今わたしもハルトも内緒で魔法の練習をしてるの」

「えっ」


 アレクの深い青色の目が、大きく見開いている。それは驚くよね。だって、本当は魔法の学校に入ってから習うはずなのに、もう魔法を使ってるんだもん。


「僕も、レティちゃんに聞いたときは驚いたんだけどね。でも魔法の学校に入りたいから、今まで2人でいろいろ試してたんだ。それで今はね、ライトの魔法を使いながら魔力量を増やそうとしてるんだよ」

「そうそう。1日で使える魔法の回数が増えてるから、たぶん魔力量も増えてるはずなんだ」

「そんな方法が……」


 アレクが固まったように動かない。きっと、ものすごく驚いてるんだろうね。


「それでね、アレクも騎士になるために魔力量を増やしたいなら、一緒に練習したらいいなって思ったんだけど、どう?」


 固まっていたアレクが、また目を大きく見開いている。しばらくしてから、はっとして口を開いた。


「……いいのか?」

「もちろんだよ! ねっ、ハルト」

「うん。一緒にやってみようよ」

「……俺もやってみる」

「そうこなくっちゃ! わたしとハルトは、よく広場で内緒話をしてるんだけど、アレクも広場に来れる?」

「行ける」

「じゃあ、明日にする? それか、来週の教室の帰りにする?」

「明日がいい」

「わかった! ハルトは来れる?」

「もちろん行くよ!」

「そしたら、2と真ん中の鐘くらいに集合でいいかな」

「うん」

「そうだね」

「決まり! じゃあ明日ね」

「……2人ともありがとう」


 いつも素っ気ないアレクが、ちょっと笑ってお礼を言ってくれた。それだけなのに、なんだか嬉しくなった。ハルトも同じように思ったのか、口もとがニヤけていた。


 その帰り道。どんなふうにアレクに教えるか、ハルトと相談しながら歩いて帰った。


「まずは、魔力を感じるところからだよね」

「そうだね。最初のとき、レティちゃんが絵本を真似して枝を持ってみてたけど、あれやったほうがいいのかな?」

「うーん、どうだろう。今となっては、なくてもいい気もする」

「だったら、一度僕かレティちゃんがウォーターを使って見せてみたらいいんじゃない? ほら、僕らもレティちゃんのお父さんの魔法を見たほうが分かりやすかったし」

「そうだね! 最初は、魔力が枝から出ると思ってやってみたけど、実際は手からお水が出せるもんね。今は呪文も分かるし、手から出るって思いながらやってみればいいよね」

「そうそう。それに、おへその下っていうのも分かってるしね。あとは、魔力を感じようとするのも大事だよね」

「うんうん。明日はそれで試してみよう」

「あ、それと、なんでか眠くなるっていうのも言っておかないとだね」

「たしかに。魔法もだけど、魔力の練習も寝る前のほうがいいもんね」


 作戦会議が終わった頃、家に着いた。ハルトと別れて家に入る。お父さんに声をかけたら、すぐにお昼ごはんだ。いつも神殿教室の日は裏庭で遊んで帰るから、4の鐘ギリギリになるんだよね。お腹減ったー。


 お昼ごはんを食べたら、日課になっているライトを使う。今日も14回で体がだるくなってきたから、あとは今日の復習をしようっと。


 まずは、今日習った文字をノートに書く。あれから、鉛筆も自分で削れるようになったし、持ち方にも慣れてきたんだよ。字はまだ微妙だけど、いっぱい練習して上手くなるんだ。

 それから、石板に何度も書いて練習する。たまに、前に習った文字も練習してるんだよ。だって、新しいのを覚えると前のを忘れちゃったりするからね。こうやって何度も書いてるうちに、お父さんみたいにスラスラ書けるようになるといいな。そのためにも、練習あるのみだよね。うん、がんばろう。


 そうして、夜ごはんを食べてお風呂に入ったら、ベッドに入ってライトを使う。今日もやっぱり4回で眠くなってきた。……おやすみなさい。


⊹ ⊹ ⊹


「うーん、よく寝たー」


 魔法を使って寝るようになってから、ぐっすり眠って、朝はすっきり目が覚めるようになった。ほどよく疲れるのかもしれないね。


 さぁ、今日はアレクと内緒の練習だ! いつもはハルトと2人だけだから、なんだか変な感じ。でも楽しみ!

 朝ごはんを食べて、外出の用意をして待っていると、ハルトが迎えに来てくれた。


「レティちゃーん。迎えに来たよー」

「今行くー!」


 作業場にいるお父さんに声をかけたら出発だ。


「おはよう!」

「おはよう。今日もレティちゃんは元気だね」

「だって、楽しみなんだもん」

「それは分かる! いつも2人だけだったから、ちょっとワクワクするよね」

「ハルトも思った? わたしもそう思ってたんだー」


 2人でうきうきしながら歩いていたら、あっという間に広場に着いた。アレクがどっちの方向から来るのか分からないから、ひとまず一番近くのベンチに座って待ってみる。今日もいい感じに人は少ないね。


 ちょっと待っていたら、向こうの入口からアレクが現れた。わたしたちが立ち上がろうとすると、アレクがこっちに走って来てくれた。


「おはよう。今日はよろしく」


 わたしたちも挨拶して、さっそく魔法の説明を始める。まずは、おへその下あたりに魔力が感じられること。それを体中に動かせるようになること。それができたら、魔法を使ってみること。説明を聞いても分かりにくいと思うから、まずは魔法を使って見せることも話した。


「お水を出すからね、ちょっとあっちの木のほうに行こう」


 そう言って、ハルトとアレクと一緒に移動する。来るときにハルトと話して、わたしが魔法を使うことになったから、アレクの前でウォーターを使って見せる。


「手から水が出るから、よく見ててね。――ウォーター」


 わたしの手から水が出るのを、アレクは真剣に見ている。


「すごいな」

「でしょ。アレクも練習すればできるようになるかもしれないから、一緒に頑張ろうね」

「僕も協力するからね」


 そこからは、アレクに呪文を教えて、魔力が手から出るのを想像しながら唱えてもらう。体の中を感じることと、魔力を感じようとすることも伝える。


「ウォーター。――何も分からないな」

「最初は僕らもそうだったよ。何度もやってみて」

「ん」


 そこから、アレクは何度か呪文を唱えていた。最初は全く分からなかったみたいだったけど、ちょっと諦めかけていたときに、急に感覚が分かったみたい。


「あ」

「おへその下に何か感じた?」

「うん。なんかあったかい」

「そう! それなの!」

「アレク、やったねー!」


 アレクはびっくりしたのか、目をパチパチさせて固まってるから、わたしとハルトのほうが大はしゃぎしちゃったよ。


「そしたらね、そのあったかいのを体中に動かすの。まずは、お腹から右手に動かしてみて。ウォーターで手からお水が出るのを想像しながらやると分かりやすいかも」

「やってみる」


 そうして、アレクが集中してから呪文を唱えると、なんと1回でお水が出た。


「え」


 みんなの声が揃う。だって、こんな短い時間でお水が出たんだもん。びっくりだよね。


「わぁ、アレクすごいね」

「ほんとほんと。僕たちは、お水を出すまでに結構かかったもんね」

「そうなのか」

「そうなの。あ、でもね。なんでか魔力や魔法の練習をすると眠くなるから、ベッドで寝るときにやったほうがいいよ」

「そうする」

「でも、たぶんだけど、まずは魔力を動かす練習をしたほうがいいと思うんだよね。とりあえず、呪文は言わずに魔力を動かしてみて。お腹から右手。できる?」

「ん」


 そうして、またアレクは集中している。わたしとハルトは邪魔しないように、横で黙って見守るだけだ。


「なんとなく分かった」

「よかった! そしたらね、右手から左手、左手からお腹、お腹から右足って感じで、自由に体中に動かしてみて」

「……」


 しばらく見守っていると、アレクはちょっと疲れたみたいで、ベンチに戻ることになった。


「アレク大丈夫?」

「僕たち、アレクが上達するのが早いからって、次々教えすぎたかも。ごめんね、アレク」

「いや、これくらい大丈夫。それより、魔力が感じられたほうが嬉しい」


 そう言って笑っているアレクを見て、わたしもハルトも安心した。


「そしたらさ、来週の教室までは魔力を動かす練習をして。で、教室で会ったときに、どんな感じか聞くっていうのはどう?」

「さすがハルト! それいいね」

「ん、練習しておく」

「魔力が動かせるようになってたら、また次の日に広場に来て、今度はライトを使ってみようよ」

「そうだね! 魔力を動かすだけでも、なんでか眠くなったりするから、ゆっくりやらないとね」

「そうそう。僕も最初は眠くなるのちょっとドキドキしたもん」

「わかった。……2人ともありがとう」

「どういたしまして」


 ハルトと声が揃って、みんなで笑い合う。ほんとに楽しいな。


 しばらく休んでたら、アレクも落ち着いてきたみたいで、そのまま解散になった。次に会うのは、神殿教室だね。

 1回でお水が出せたんだもん。アレクなら、すぐに魔力を体中に動かせるようになりそう。また来週が楽しみだな。


次回から、ゆっくり更新になります(*' ')*. .)

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