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わたしの夢は冒険士!〜冒険者がエリート職の世界で〜  作者: 蒼空ふわり
すくすく魔力増量中

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11. ぷるぷる巨大化事件


 次の日は元気よく起きて、洗濯をする。昨日お水が出せたからね、今日からは自分で出せるんだよ。ふん、ふん、ふん。


「ウォーター、ウォーター、ウォーター……」


 桶にお水が溜まるまで、何度も魔法を使う。


「それにしても、お水を溜めるのに、こんなに何回も魔法って使うのかな?……うーん」


 桶だって、そんなに大きくないしね。もっとこう、一回でどばっと出たりしないのかな。今ってどんなイメージだっけ。


――あ、そうか。

 お父さんが出したお水を思い浮かべてたから、少しのお水が出るイメージなんだ。それが原因かも!


 ということは、この桶の大きさくらいのお水が出るのをイメージすれば、ちょうどよくなるのかな。よし、やってみよう。まずは、桶のお水を捨ててっと。


「ウォーター」


 今度は、どばっと出た。でも、多すぎて溢れてしまった。うーん、ちょうどいいお水の量って難しいな。お水は用水路に流れていくけど、量を調節できないと自分も水浸しになっちゃう。


 それなら、魔道具でお水を出す感じはどうかな? ちょろちょろ出して、止められたらいいかも。うん、それだ!


「ウォーター」


 お水がちょろちょろ出たので、そのまま魔力が出ていくのを感じてみる。今度は、桶に水が溜まったら魔力を止める感じで、お水が止まるのをイメージする。


「止まった! やったー成功だ!」


 思わずぴょんぴょん跳ねようとして、はっと思いとどまる。床が水浸しになってるから、滑ると危ないもんね。


 この成功をお父さんに言いたいけど、内緒だからね。言えないんだよ。あぁー!


 とりあえず、洗濯をすることにした。そのおかげで、ちょっと興奮も冷めてきた。どれくらいで魔力が枯渇するのか分からないけど、たくさんお水を使って、いつもよりしっかりと洗う。


 それでも昨日みたいなだるさを感じないから、枯渇してはなさそう。前世の記憶が出てきたんだけど、魔力が枯渇すると、体がだるくなるみたいなんだよね。

 まだお昼ごはんまでには時間があるから、ちょっと多めにお水を出しとこう。じゃーっ。


 あ、だいぶ魔力が減った気がする。まずは枯渇するように魔法を使いながら、感覚をつかんでみなきゃね。でも今は、洗濯物を干しに行かないと。


 そんなバタバタな洗濯を終えたら、そろそろお昼ごはんだ。昨日コンロの使い方を教えてもらったから、今日もわたしがスープを温める。もちろん、お父さんと一緒にだよ。

 スープを温めたら、よそってテーブルに運ぶ。お父さんも用意ができたから、二人で向かい合って食べ始めた。


「あとで、ちょっとハルトと遊んできてもいい?」

「いいよ。ほんとにレティはハルトくんと仲がいいね」

「そうだよ。だって一緒だと楽しいもん」


 お水が出せるようになったから、ハルトに報告しなきゃ。ハルトも使えるようにならないと、魔力量も増やせないもんね。二人で魔法の学校に行くんだからね。


 後片付けをして、しばらくしてから家を出る。そうして道路に出たら、用水路に変なものが見えた。


 用水路は道路の脇にあって、家のすぐ近くを流れている。もちろん、出入口には板が掛けられているんだけど、それ以外は用水路の中が見えるんだよね。

 普段は気にしてないし、特に覗いたこともなかったんだけどね。あれ何だろう。ちょっと近寄って見てみる。


「なんだか、ぷるぷるしてる」


 透明でぷるぷるした何か。でも大きくて、用水路からはみ出している。しばらく観察していると、ぷるぷるが動いた。


――わっ動いた!


 何か分からないけど、お父さんに言いに行かなきゃ。慌てて戻って、作業場に行く。


「お父さーん! 前の用水路に変なのがー!」


 扉を開けて言うと、お父さんが驚いた顔をして出てきてくれた。


「どうしたんだい?」

「今ね、ハルトのお家に行こうとしたらね。前の用水路に変な、ぷるぷるしたのがいたの。なんか大きくて、はみ出してるんだよ」

「あぁ、あれか。まぁ、見に行ってみよう」


 お父さんには、あのぷるぷるが何なのか、思い当たることがあるみたい。二人で用水路に向かう。


「やっぱりこれか」

「このぷるぷる知ってるの?」

「うん。これはね、用水路をきれいにしてくれてる生き物なんだ。お風呂のお水とか、台所で使ったお水とかね。あとは、トイレにもいるんだよ」

「これ、悪いものじゃないんだ。よかったー」

「ただね、普通はこんなに大きくないんだよ。前に一度だけ見たことがあるんだけど、大きくなる原因については、はっきり分からないらしくてね」

「えっ、そうなの?」

「うん。前のときは師匠の工房だったんだけど、魔法で出した水を使ってよく実験してたから、そのせいかもしれないって言ってたんだけどね」


――どきっ!


「大きいから、ちょっと怖いかもしれないけど、しばらく放っておけば元通りになるはずだよ。だから大丈夫」

「う、うん」


 わたしが怖がってると思ったのか、頭をぽんぽんと撫でてくれた。そうして、お父さんは作業場に戻って行った。


「これ、わたしのせいなんじゃ……」


 だって、このぷるぷる、魔法のお水で大きくなるかもしれないんだよね。わたし、さっき大量に出してたよ。

 知らなかったとはいえ、大事にならなくてよかったぁ。


 うん? でもでも、そしたらお水を出して魔力を枯渇させるのは無理じゃない? さっきのでも枯渇しなかったんだから、ぷるぷるがもっと大きくなっちゃう。

 うわー!困った。どうしよう。


 ひとりで悩んでも分からないから、ハルトに相談しよう! そういえば、ぷるぷる事件のせいでうっかり忘れてたけど、ハルトのお家に行くんだった。


 少し歩くと、すぐにハルトのお家だ。お父さんの真似をして、扉の輪っかを鳴らしてみる。


「ハールート、あーそーぼー!」


 少ししたら、ハルトが顔を出した。


「レティちゃん!ノックが鳴ったから、誰かと思ったよ」

「へへっ。お父さんの真似してみたの」

「そうなんだ。ふふっ。今日はどうしたの?」

「あれ、できるようになったの。だから報告に来たんだよ」

「えーっ! もう?」

「うん。ハルトは?」

「僕は全然…。あ、それなら広場に行く?」

「うん、そうしよー!」


 ハルトが出かける用意をしたら出発だ。いつもの道を、二人で並んで歩く。てくてく歩きながら、石板を買ったことや、お父さんに名前を書いてもらったこと、鉛筆を削ってノートに名前を書いてみたことを話した。


「ノートに鉛筆! いいなぁ。僕もお願いしてみようかな」

「うん。神殿教室には持っていかないけど、習ったことを帰って来てから書いておこうと思って」

「それはいいね」

「文字を覚える練習は、石板を使うけどね。ノートはもったいないし」

「そうだね。石板は、拭けば何回でも書けるもんね」


 神殿教室のこととか、いろいろ話してたらすぐ広場に着いた。今日はちらほら人がいるから、あんまり人のいないところに行ってベンチに座る。


「それで、レティちゃん。魔法でお水を出せたの?」

「うん! ちょっと見てて」


 ベンチの裏にまわって、二人でしゃがみ込む。ほんのちょっとのお水をイメージして、呪文を唱える。


「ウォーター」


 思った通りに、少しのお水が出た。


「わぁ、すごいね!」

「うん! でも最初は出なかったんだよ」

「じゃあ、どうやって出したの?」

「えっとね――」


 魔力を手から出そうとするとできなかったこと、逆に魔力は感じるだけで、力を抜いて呪文を唱えると成功したことを説明する。


「お水が出たら、魔力が動いたのが分かるんだよ」

「そうなんだ。僕もやってみたい」

「ここで、こっそりやってみようよ」

「うん!」


 そこからは、ハルトの練習に付き合う。わたしの下手な説明でも、ちゃんと理解してくれるのがハルトだ。

 ハルトが失敗したら、わたしが思ったことを何となくで説明する。感覚を言葉にするのは、本当に難しい。


「うまく説明できなくて、ごめんね」

「全然! 教えてもらえるだけでも助かるんだし。ありがとうね」


 すごく分かりにくかったと思うんだけど、それでも何度もやっているうちに、ハルトは成功した。


「わぁ、僕の手からもお水が出たよ」

「すごいすごい! こんなに早くできるようになるなんて」

「レティちゃんのおかげだよ。ありがとう」

「そんなことないけど、どういたしまして」


 二人で笑い合う。お水が出せるようになってよかったなーなんて思っていたら、ふと、さっきのぷるぷるが頭に浮かんだ。


 あ、そうだ。お水で魔力枯渇をやったらダメなんだった。


「そういえばなんだけど、ハルトは用水路のぷるぷるって知ってる?」

「ぷるぷる? あ、たしか用水路の中に何かいるって聞いたことあるかも」

「そうそれ。用水路をきれいにしてくれてる生き物らしいんだけどね。なんでか、魔法のお水で大きくなるみたいなの」

「へぇ、それは不思議だね」

「そうじゃなくて。今日ね、午前中に洗濯してたから、洗い場でたくさん魔法のお水を出してたんだけどね。そしたら、さっき家を出るときに、大きいぷるぷるがいたんだ。で、お父さんに聞いたんだけど、ぷるぷるが大きくなったのは、たぶん魔法のお水が原因みたいなの。だから、お水がたくさん出せなくて困ると思って」

「うん。なるほど?」

「あ、分かってないな?」


 そういえば、前に魔力操作のことを話したときに、少し話しただけだもんね。それは覚えてないよね。


「えっと、魔力量を増やさないと、魔法の学校には入れないでしょ?」

「うん。10歳の洗礼式のときに、入れるかどうか分かるんだよね」

「そう。だから、魔力量を増やさないといけないんだけどね。そのためには、魔力を使いきって寝るといいみたいなの。でも、魔法でお水をたくさん出すと、あのぷるぷるが大きくなっちゃうから、家ではできないんだよね」

「あぁーなるほど」

「それでね。どうしたらいいか、ハルトと相談しようと思ったんだよね」


 うーん、と二人で考え込んでいると、ふいにハルトがハッと頭を上げた。


「この前レティちゃんがうちに来たとき、もう1つ呪文を言ってたよね。“ライト” っていうの」

「うん。魔道具のランプみたいに、光を出すときの呪文ね」

「それを使ったらいいんじゃない?」

「あ! たしかに。ライトなら、寝る前に部屋でもできるし、目立たずに使えそう」

「うん。僕はお兄ちゃんと部屋が一緒だけど、ベッドに潜れば大丈夫かも。あとは、日中なら外で使っても目立ちにくそう」

「そうだね。日中にある程度は外で使っておいて、寝る前はちょっと使うっていうのもいいかもしれないね」

「それいいね! 僕そうする」

「じゃあさ、ライトを練習してみようよ」

「うん!」


 そこからは、二人で “ライト” の練習をする。魔道具のランプも毎日使ってるから、イメージは簡単だ。それに、“ウォーター” で魔法を使う感覚が分かってるから、意外とすんなり使うことができた。


「なんとなく光ってるのはわかるけど、今日みたいに明るい日なら、外で使えば目立たないね」

「うん。僕もベッドの中だけでやるより、やりやすくていいよ」

「あとは、魔力を使いきるっていうのがどんな感じかだよね。昨日、お水が出せたときに体がだるくなったから、それかなとは思うんだけどね」

「そうなんだ。それなら、僕も体の様子を感じながら試してみるね。それにしても、レティちゃんは物知りだよね。どこで聞いたの?」


――どきっ!


 な、なんて言えばいいんだろう。前世の記憶があるとか、たぶん普通じゃないよね。言ったら引かれないかな? でも、ハルトなら大丈夫かな。ど、どうしよう。


 あ、今頭に浮かんできたけど、前世とか言わずに、夢で見たって言うとか?……今思いきって話してみる? ハルトだもん。大丈夫だよね。い、いっちゃえ!


「えっとね。この前なんか面白い夢を見てね。そうやって魔法使いになる人が出てきたから、試しにやってみようと思ったの。だから、絶対に魔力量が増えるって訳ではないんだけどね」


 説明してるうちに、なんだか急に自信がなくなってきた。魔力を枯渇させて寝るって本当に魔力が増えるのかな?

 そもそも、前世の記憶って言っても、転生したっぽい夢を見ただけで確かなものでもないんだよね。しかも、前世のわたしらしい人も、魔法のない世界にいたっぽいし…。


 そう思って、しょんぼりしていると、


「え、夢で見たの? それは面白い夢だったね!……あ、もしかして、絵本で魔法使いを見たからかな?」

「そ、そうかも。でもいいの? 夢なんてって思わない?」

「うーん。夢で見たことでも、試してみたいと思ったらやってみる、でいいんじゃない? それに、レティちゃんが教えてくれたのが正解かどうかは分からないけど、こうやって実際に魔法が使えるようになったんだし、僕たちすごくない?」


 ハルトが笑いながら自慢気に言う。うん、そうだよね。わたしだって、もともとは試してみようくらいの気持ちで始めたんだもんね。なんだか弱気になってたよ。


「うん! わたしたちすごい!」

「ははっ。そうだよ、しょんぼりするなんてレティちゃんらしくないよ」

「わ、わたしにだって、しょんぼりするときはあるんだからね!」


 そう言うと、二人とも吹き出してしまった。やっぱり、ハルトがいてくれると心強いし楽しいな。


「ハルト、ありがとう」

「どういたしまして。僕のほうこそ、魔法を教えてくれてありがとう」

「うん、どういたしまして」

「今日はもう遅くなってきたね。そろそろ帰ろっか」

「そうだね」


 魔力の枯渇については、分からないことだから慎重にやらないとねってことで、お互いにちょっとずつやってみることにした。


 わたしたちはまだ7歳。あと3年もあるんだから、焦らずに進めばいいよね。


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