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100日の恋  作者: すみっこのラスカル
近づく終焉
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 他に空室がないということで案内された最上階150 ㎡のスイートルームは2人で過ごすには広すぎるぐらいで、リビングだけで60 ㎡はありそうだ。しかもゴルフ客が多いせいかスーペリアツインの2ベッドルームである。部屋中をひと通りグルッと回ってみた敬介は、両手を広げて手のひらを上に向けたまま涼子に向かって首を傾げて微笑んだ。

「どうします?これ?」

「どうしますって、ねぇ、どうしましょ?」

涼子も腰に手を当てて微笑んだ。

「まあ、ゆっくり寛ぐしかないですよね」

敬介はクローゼットに吊ってあった作務衣スタイルの部屋着に着替え始めた。

涼子も自身で持ってきたルームウエアに着替えると言って、2つある片方のベッドルームへキャリングケースを引っ張っていった。

敬介は本革製のロングソファに包み込まれるような座り心地を味わいながらテレビのスイッチを入れると館内を案内するこのホテルのオリジナル動画が始まった。本放送のチャンネルに変えようと操作方法を確認しているところへ部屋の電話が鳴り、ウエルカムドリンクを持っていくとのことなので、テーブルの上に置いてあるメニューの中からスパークリングワインのロゼを2つ頼んだ。

「どこから電話?」

青色のロングリゾートワンピースに着替えた涼子がベッドルームから現れた。温泉施設で風呂に入ってからずっとノーメイクだったが化粧もきちんとしたらしく、それは思わず見とれるほど美しかった。

「すごくきれいで素敵です。そのドレスもよく似合っていますよ」

敬介はお世辞ではなく本心からそう思った。

「うん、そう?ありがとう。持ってきてよかった」

涼子は満足したように微笑みながら両手を広げてポーズを取ってみせた。

「でもこれね、何年か前にハワイへ行った時に買ったのね。若い時に買ったものだから大丈夫かなってちょっと心配だったのよ」

今度は敬介の前でクルッと回ってみせた。

「その時から体形は変わってないから何とかなるかなって」

涼子は嬉しそうにもういちど回ってみせる。

そのときチャイムが鳴りドアスコープで応じてドアを開けると、ルームサービスの女性がさきほど注文したスパークリングワインを運んできた。

「さっきの電話で頼んでおいたんです」

敬介はルームサービスを見送ってからドア閉めると、テーブルの上に置かれた2つのシャンパングラスを右手で示した。

「そうなんだ。じゃあ、これで乾杯ね」

涼子は2つのシャンパングラスを持って胸の前に掲げると、ひとつを敬介に手渡した。

「できる限り長く2人で後悔せずに生きていけますように‼ っていうのはどうかしら?」

涼子は敬介に向かってグラスを差し出した。

「いいですね。さっき涼子さんが言ってくれたように悔いを残さないようにね」

「乾杯っ!」

キンッというクリスタルグラスを合わせる心地よい金属音の響きのあと、2人ともそれを一気に飲み干した。2人は微笑みあいながらグラスをテーブルに置くと、どちらともなく唇を重ねてそのままロングソファに倒れて込んでいった。

 敬介は昨夜にも増して優しく抱いてくれた。

涼子は蕩けそうな快感と万感の幸福感を味わいながら達することができた。

「涼子さん?涼子さん?」

誰かが呼んだように思った。そうだ、あれは敬介さんの声だ。はやく応えなければ。でもあたしまだ微睡のなかに埋もれている。なぜか声も出ない。どうしよう…。あたしはここにいるよ。置いてかないで‼


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