表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
100日の恋  作者: すみっこのラスカル
出会い
4/44

「チーフ、到着しましたよ」

「どうかしたんですか?ボーッとして」

「気分でも悪いんですか?」

上田と大橋裕樹が交互に言った。

「んっ?いえ、ちょっと考え事してただけ」

裕樹のいま言った言葉が昨夜と同じであったことが可笑しくて、思わずにっこり微笑んでしまった。

「チーフ、朝から思い出し笑いするって、昨日何かいいことあったんですかあ?なんか怪しいなあ」

勘のいい上田がそんな涼子を見ながらニヤニヤしている。涼子はそれには応えず、さっさと目的のビルのエントランスへ歩き出した。

 クラアントとの打ち合わせはスムーズに進み、涼子が昨晩念入りにチェックしたこともあって、ほとんど企画書通りで採用されることになった。あとは詳細のデザイン制作やツール自体の作成となり、試作をサンプリングして量産していく工程となる。

 

 涼子は会社へ戻るとすぐにチーム全員でミーティングを開き、ソフト、ハードの担当窓口を決めると、営業部の裕樹にそれぞれをフォローするよう依頼した。涼子のディレクションが完了した後はハードを製作業者に直接依頼しなければならないため、それぞれにきちんとしたデザインフォーマットを作り上げるよう指示していく。上田にはメインとなる装飾ディスプレイ、志水佳織が印刷物関連、そしてチーム内のもうひとりのデザイナー麻生友梨奈にはノベルティグッズを担当させる。麻生友梨奈は今年26歳で、女性としては珍しく、有名芸術大学の工業デザイン科を卒業しており、本来なら大手メーカーで商品デサインを手掛けられるぐらいの知識と能力を併せ持っているのだが、卒業したあと就職試験も受けず、親がそこそこの資産家であるらしく、その脛を存分にかじって2年近くアメリカ大陸を放浪していたというから、かなりの変わりものである。無口ではあるが、デザインに関わる技術力と自分の意思を曲げない頑固さで、チーム内はもちろん制作部全体のなかでも一目置かれている。美人というほどではないが、ウェーブのかかったミディアムヘアーで目鼻立ちがしっかりした所謂男好きのする顔つきである。

「さあーっ、明日から忙しくなるわよ。みんな頑張ってねっ!」

涼子はミーティングを終えた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ