9話 ゲームの仕様でレベリング
クラウソラス男爵とコネを作った私は、翌日馬車に乗ってもとの町に戻る。
宿にはメイド1人が居る。昔からの私のお付きのメイドだ。名前はシュププ。平民の出だが勉強熱心の25歳、とても良く尽くしてくれる。ピンク髪で胸の大きさは普通。
なお家族の他の者は色んな所に散ってしまった。また2年後に会おう……。
「シュププ、今後の予定なのだけど」
冒険者になったばかりで、私はまだ少額しか稼げず、今は貯金を切り崩してシュププと一緒に宿屋泊まりをしている。食事や洗濯はシュププに任せている(この宿屋は食事などは自分で用意しないといけない、その分安い)。シュププの契約は1ヶ月分ごとに給料支払いだったが、そろそろ期限になる。
「私は冒険者として生計を立てていくから。シュププは今後どうしたい?」
「お嬢様に一生付いていきます! というか冒険者になります!」
「なるほど」
つまり私とシュププは、強くならねばならない。修行だ!
アレをやるしかないか……。
このゲームの世界ではレベルアップの手段は大きく2通りある。敵を倒して経験値を得るやり方。アイテムによるレベルアップ。
そして、アイテムによるレベルアップだが、とあるアイテムがレベルアップに有用なのだ。ふし◯なアメ的なやつ。使用すればレベルが1つ上がる。
本来なら激レアアイテムなのだけど。
ゲーム開発スタッフがデバック用に作ったと思われる隠しルートにて、999個入手出来る。
「行くよシュププ!」
「はい、お嬢様!」
◇ ◇ ◇ ◇
始まりの洞窟、と呼ばれる初期ダンジョン。
ここの壁の1部に、竜の絵が描かれている。
その真隣に向かって1分間に20回突進する!
バキッ!
壁が崩れた。
すかさず私達は崩れた先に行く。
見つけた。小さな金色の丸い粒。
黄金のオーブ×999
これを飲めばレベルアップ出来る。
「さあ、シュププ、一緒に飲もう」
「はい、お嬢様!」
ごく。うえ、マズイ。
ごく、ごく、ごくごく……。
二人で無心でオーブを飲む。
私が500個、シュププは499個黄金のオーブを飲んだ。
ちなみにこの世界、レベル上限は無い。
並みの敵はせいぜい10レベル前後。ラスボスも35くらい。裏ボスは存在しない。
つまり、私は最強。
怖くはない、不安はない。