8話 クラウソラス男爵家での接待
クラウソラス家令嬢を救った私は、令嬢からクラウソラス家に招待された。
どうやらクラウソラス家に帰る途中で襲われたのだそう。
馬車で1日かかるらしい。
暇なので、2周目オジサマから貰った本を読んでいる。
魔技の使い方の本だ、魔技って何だ?
ゲームにない知識だ。ふむ、魔力を纏って硬化したり……って、武◯色の覇◯やないかーい!
まあ他にも色々出来るみたいだけど。
◇ ◇ ◇ ◇
「娘を助けてくださってありがとうございました!」
顔に切り傷を多数持つ、いかにも武闘派っぽい風貌の、クラウソラス男爵。
先の帝国との戦争にて、王国を勝利に導いた副将軍である。無名の男が、王国のため戦って名を上げたとのことで、貴族からの評判は割と良い。一部の選民思想強めの者は、田舎者と馬鹿にしているが。ちなみに私エリア・レーヴァテインはその選民思想強めの者の一人であった。ゲーム内で、クラウソラス男爵の息子を馬鹿にしたイベントは多数ある。
「いえいえ、たまたま通りかかっただけですし」
「レーヴァテイン伯爵家の事は伺っております、誠に残念でした」
元伯爵家の小娘相手に姿勢が低い男爵様。人間がよく出来ている。
クラウソラス男爵の娘はというと、私が元とはいえ伯爵家の者と知って萎縮してしまっている。盗賊の言ったように、私の政治的価値は皆無だ、遠慮しなくてもいいのに。
「エリア・レーヴァテイン様、命を救ってくださり、ありがとうございます。改めまして、アル・クラウソラスです」
萎縮したクラウソラス男爵令嬢は、萎縮しつつも頑張ってお礼を伝えてくれた。偉いぞ〜。
「ささやかながら、御馳走を用意しております。今夜はどうぞゆっくりとくつろいでください」
「ありがとうございます」
以前のエリア・レーヴァテインなら言わないであろう、男爵様へのお礼も伝える。
「ところで男爵様、息子が居られましたね?」
「ええ、あいつは、こんな田舎に居られるか! と5年も帰ってこない親不孝者ですよ、はは」
ビクトリー・クラウソラス君は、ここには居ないみたいだ。ゲームでは横暴な性格だったけど、個別ルートでは妹の訃報を受けて落ち込んで、それを主人公が慰めていたな〜。……フラグ潰した? まぁいいか。
そもそも主人公は王子様ルートっぽいし。




