5話 アホ王子1
・sideアホ王子
「王子様! 大変です!」
「何だ、騒がしい!」
お目付け役のメイドがやってきた。
ったく、俺はこれからスィートハニーに会いに行く予定だってのに。
「実は王宮の水が足りないので、庭の植物に水を与えられません……」
「は? 水の魔法使いが居るだろう」
「王子様が、レーヴァテイン伯爵家の者を全員解雇しましたので、水の魔法使いが激減し、王宮に残った者は水の生産量が少なく……生活用の水の確保だけで手一杯です」
「ふむ? 川に水はいくらでもあるだろう? ここから馬車で1日あれば行くことが出来るはずだ」
「王子様、馬車も水汲みを雇うのもタダではありません。今月お高いプレゼントを購入したのをお忘れですか。その影響で、王宮は無駄遣いが出来ない状態です。そこへ先日のレーヴァテイン伯爵家の追放……」
「俺が悪いというのか?」
「いえ、最終判断を下したのは王様ですが、いささかやり過ぎだったのでは……」
「うるさい奴だな。俺は間違っていない。庶民のくせに政治に口出しするな!」
「……」
ふん、いつもいつも俺に口出ししやがって。
このメイドもブリューナク元子爵の出身という話だが、もう没落した身分のくせに、いつまで偉そうにしているのだ。
恥を知れ、恥を。
「怒鳴ったら喉が渇いた。水を持ってこい」
「……」
メイドはいったん下がり、水を持ってきた。
そして俺に振りかけた!
「ぎゃああああーーー!??」
「王子のアホー!!」
メイドは走り去っていった。
くそっ、いつもいつも!
俺に酷いことばかりしやがってあのメイド!
お父様が雇っているから俺の管轄外で、解雇出来ない。
お父様に報告して解雇してもらうぞ!
しかし、報告を受けたお父様はギャハハハと笑い、解雇は聞き入れられず。くそ〜!!