17話 くっ……殺せ!
私はブルードラゴンの燃えカスを頑張って集めている。
これが討伐の証となるからだ。
風魔法で8割ほど集まったから、そろそろ引き上げるとしよう。
「お嬢様」
「帰ろうか、シュププ。って、何を踏んでんの?」
シュププが踏んづけているのは、先ほどヒャッハーな連中にいじめられていたトカゲだ。
「しゅー(くっ……殺せ!)」
「ん〜、何て言ってるのか分からない。
あっ、そうだ! 貰った物の中に丁度良いのがあったんだっけ!」
ガサゴソ。
あった、これこれ。
魔獣が人間になる薬。
2周目オジサマから貰ったものだ。
トカゲの口をこじ開けて、薬ビンを突っ込む。
「しゅー(ごぼぼぼ)」
「おらーっ、先輩の酒が飲めないってのか、ああん?」
「お嬢様は先輩なのですか?」
ピカー!
トカゲが光り、赤い髪の少年に変化した。
「くっ、人間! 僕に何を飲ませたんです!」
「人間になる薬」
「ありえないです!?」
「それがありえるかも」
み〜るくいろの異次元。
人間になったトカゲ君が続けて言う。
「母上を葬ったからと、いい気にならないことですね人間! 魔獣四天王のうち母上とゴブリンロードは、最上級炎魔法の蘇生術が使えます!
何度でも蘇って貴方達を襲うでしょう!」
「ほうほう、魔獣四天王のうちの1人はゴブリンロードと」
「……なぜゴブリンロードの事を知っているのです!?」
あ、こいつ馬鹿だ。
「ま、まさか魔獣四天王のグレートオーガが蘇ったことや、魔獣四天王のヴァンパイアロードの王子暗殺計画を知っています……!?」
「いや知らない」
「ホッ……」
「お嬢様! グレートオーガ復活に、魔獣四天王の情報、王子暗殺計画!! これは大変な情報ですよ!
急いでギルドに報告しましょう!」
「ええーっ!? なぜ魔獣側の重要な機密を知っているのです!?」
ふむ。なるほど。
「君ぃ、名前は?」
「このカスパール・ラドン、ドラゴン族の王族であるからして、人間に気安く名乗る文化は持ち合わせていません!!」
「カスパール君ね」
「馬鹿な、まさか思考を読む魔法!?
ヴァンパイアロードと同じ!?」
ヴァンパイアロードなる者が本当に思考を読めるのかどうか、カスパール君の情報だけだと怪しいなぁ……。
ま、真偽のほどはどうでもいいか。
「試したい魔道具があるんだよね〜」
ガチャッ。カスパール君に首輪を着けた。
「こ、これは弱った魔獣に着けて奴隷にする魔道具!?」
「そう」
ゲーム内に普通に存在するアイテムだ。
ポケ◯ンのモンス◯ーボール的な存在。
確率で魔獣を服従させることが出来る魔道具。
さらに失敗しても壊れない温い仕様である。
「くっ……こんな魔道具なんかに僕は負けない!」
2分後。
「あへぇ、僕は貴方様の忠実な下僕ですぅ」
元魔獣の少年、ゲットだぜ!




