16話 魔力操作
この世界には、魔力という不思議なエネルギーがある。
魂から魔力を生み出していると言われているけれど、真偽は定かではない。
生まれ持った属性の才能に魔力を併せることで、魔法が使える。例えばシュププは炎の才能があるから炎魔法が使える。ここまではゲーム『ロイヤル・マジェスティ・プリンセス』内の知識の範囲だ。
そしてここからがゲームに無かった知識。まずは魔力操作。魔力を、魔法に変換することなく体内・体外で動かす。これはまあ、よくあるなろう系の知識だ。お腹から魔力を体内で循環させるとかいうやつ、あれに近い。
その魔力操作を応用させた技法がある。
魔法に頼らず魔力操作のみを使用し、体や物などに魔力をまとわせ技を繰り出す技法、通称 魔技。
自分の拳に魔力をまとわせるとガチガチに硬化できる。あれだ、武◯色の覇◯。
また、魔力を魔法にまとわせることで魔法威力が底上げされる。先程ブルードラゴンがブレスを放ったが、あんな感じだろうか。
さらに魔技を使えば、空気を圧縮、膨張させることも出来る。圧縮された空気が膨張すれば周りが冷える。つまり冷蔵や冷凍が出来る。1部ディ◯・ブラン◯ーのアレだ。逆に空気を圧縮すれば熱が作れる。
炎の◯吸! みたいな?
つまるところ魔技を使えば、漫画のあんなキャラやこんなキャラのまねごとが出来るのだ。
「……ほう? やるではないか小娘ども、グレートオーガを殺しただけのことはあるな」
辺り一帯を、骨も残らない焼け野原にしたブルードラゴン。こいつはゲームには出てこなかったし、こんなに威力が高い技を使う魔獣はゲームに居ない。
「魔王ユグドラって知ってる?」
「ムノー様が切り捨てた雑魚がどうかしたのか?」
うん、ゲームのラスボスは既に討伐されているようだ。
そして何故か、ラスボスを倒したのは主人公ではなく、ゲームに登場していないムノーなる冒険者。
そしてその冒険者がラスボスを倒して勇者となり、引退し、何故か魔獣達の新たなボスになった。その際に魔獣四天王も一新された。そんなところか。
ブルードラゴンから取れそうな情報は取った。
あとは始末しても問題ないだろう。
再びブルードラゴンが大きく息を吸い込む。
ここらで反撃だ。
ブルードラゴンが灼熱のブレスを吐く。
「ふんぬっ!」
風魔法による暴風に魔力をまとわせ、ブレスを暴風で掴んで、ブルードラゴンにお返しだ。
「な……!? 馬鹿な、これはムノー様の魔技……うおおおおおおお!!!」
なおお返しついでに威力を、ブルードラゴンが吐いたブレスの4.5倍ほどに増幅させた。空が赤く燃えたぎる。
5分後、空にはブルードラゴンだった燃えカスがパラパラと舞い散るのだった。




