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12話 四天王会議

・side レーヴァテイン元伯爵領城下町 ギルドマスター


ギルドに、魔法の効かないグレートオーガが討伐されたとの報告が上がった。

討伐したのは、元レーヴァテイン伯爵令嬢エリアとそのメイド。


Aランク冒険者3人ほどが返り討ちに遭っているほどの強大な魔獣だった。

だから彼女らの功績を讃えてギルドランクをBに上げようとしたが、エリア・レーヴァテインはこれを拒否。


「ギルドランクをうかつに上げたら、どんなイベントがいっぺんに来るか分からない。フラグを一気に立てるのは危険よ」


エリア・レーヴァテインが何の話をしているのか分からなかったが、とりあえずDランクに上げる事で合意した。


そして報告ではグレートオーガは言葉を話し、死に際にムノーなる者の名を言ったとのこと。


先日引退したSランクの凄腕冒険者ムノーと名前が同じなのが気になる。魔獣と交流があったのか?

ただ名前が同じだけの別人?


分からないが、引退後のムノーの動向に注意するように各地方のギルドマスターに通達することにしよう。場合によっては人類の敵という認定で指名手配になる可能性がある。


◇ ◇ ◇ ◇


・side 魔獣四天王


薄暗く雷が鳴り止まない島。

広場の一角にて、魔獣が集まっていた。

魔獣達は、水晶に映し出された映像を見ている。

水晶は、特定の魔獣の過去1ヶ月間の映像を映し出す魔道具だ。


グレートオーガの月1の報告が途絶えたため、彼の周囲1ヶ月分の映像が流れていた。途中グレートオーガが討伐され映像は途切れた。


「グレートオーガがやられたようだな……」


ドラゴンの中でも強大で青い体を持つ、ドラゴンロードがそう言った。


「フフフ……奴は魔獣四天王の中でも最弱」


ゴスロリ衣装に身を包んだ女性の人間のような見た目の魔獣、ヴァンパイアロードがそう続けた。


「人間ごときに負けるとは魔獣四天王の面汚しよ……」


筋肉隆々の小鬼、ゴブリンロードがそう締めくくる。


「全ては今どこかを彷徨っているムノー様のため……」


ドラゴンロードが詠唱を唱える。

炎が現れ、そこから現れたのは死んだはずのグレートオーガ。ドラゴンロードが使ったのは、フェニックスの炎による蘇生術。


「グレートオーガよ、魔技も使えぬ未熟者よ。もう一度チャンスをくれてやる。あの小娘達を抹殺せよ」


「……フン」


グレートオーガは、黒い渦に身を投じ、転移した。



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