1話 婚約破棄
ギャグ小説が読みたい、ので書き始めてみる。
「エリア! お前との婚約を破棄する!」
「そんな、王子様、私はただ貴方様のためを思って……!」
ダンスホールで貴族の方々に囲まれ、婚約破棄を言い渡される私。
そして王子様の隣には、汚らわしい庶民の女狐。
だけど周りは女狐を憐れみ、私を糾弾する。
私は王子様が女狐に騙されないように、手を尽くしただけなのに……!
あまりのショックで気を失い、次に起きた時。
「知らない天井だ……」
「エリア様、目が覚めましたか!」
見慣れぬベッドで目が覚めた私を、ピンク髪をしたメイドさんのような格好の人が心配してくれている。
ここはどこだ?
見たことあるような……。
ハッ!
思い出した!
ここは異世界ファンタジー乙女ゲーム『ロイヤル・マジェスティ・プリンセス』の、悪役令嬢エリアの部屋!
ということは私はエリアか。
一応鏡で確認しよう。
「お前はだれだ」
「お、お嬢様、記憶を失ってしまって……よよよ……」
鏡に問いかけていると、メイドが泣き崩れる。
自分の名前も分からない、メイドのことも覚えていないということで、王子様の婚約破棄によるショックで記憶喪失したということにされてしまった。
いや、前世の記憶はあるのだけどね。
エリア・レーヴァテインの事についてゲームの内容の範疇で覚えている。目の前のメイドの名前はゲームに出てきてないから知らない。