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5-4:Watercolorsの物語アニメ編

 リタの口からWatercolorsの物語が語られる。


「私、中学の時から、高校になったらアイドルを始めたくって、それでガールズアイドルの全国大会に出て優勝するんだって、それが私の小さい頃からの夢だったんです。でも、友達の1コ上のリズちゃんに聞いたら、「うちの高校にガールズアイドル部なんてないよ。」って言われて。それで家の近所の海岸だったと思うけど、「だったら、私が高校に入ったらガールズアイドル部を作るから、リっちゃんも絶対入ってね。」ってお願いしたんだよね。」

 リタはリズの方を向いて確認すると、リズは笑いながらうなずいていた。


「それで高校に入ったら、リズと、それとリズの同級生のメグちゃんが私の教室にやってきて、「リタ。約束通りガールズアイドル部作ったから。部長は私が一応やっておくけど、ガールズアイドル部作ろうって言った言い出しっぺはあんたなんだから、リーダーはあんたがやってね。」って、私が入学する前に、リズとメグがガールズアイドル部を作っててくれてたんだよね。」

 今度は、リズに加えて、メグも笑いながらうなずいている。


「それで、入学式も終わって、教室からみんな出ようとしてる時に、なんかギターを背中に背負っている娘が見えたんだよ。よく見ると、地元で有名な配信者の、天才美少女ギタリストのELLEちゃんじゃないか! まさか同じ高校なんだ。これってもしかすると運命かもって思って。それで、私、後ろから追いかけて行って、エルにもガールズアイドル部に入って、ってお願いしたんだよ。でもエルは、「イヤだよ、ガールズアイドル部なんて、かっこう悪い。私は軽音部に入るんだから。」って断られて。でも、それから私とリズとメグとでしつこくお願いして、最後はガールズアイドル部に入ってくれたんだよね。」

 すると、エルが、


「いや、リタ達が軽音部よりガールズアイドル部の方がチャンネル登録者数増えるし、人気がでるって言うから、それで入ったんだよ。」

 と、突っ込みを入れた。


「それで、エルがガールズアイドル部に来てくれたと思ったら、なぜか隣に、同じクラスのアリスも立ってたんだよ。なんか学校でプラモデルを作れる場所がずっと欲しかったんだ、とか言って。何言ってるんだろ、この娘は、って思ったよ。」

 アリスがリタの方を向いて、ニヤリと笑っている。


「それで、5人になったんで、とりあえずグループ名を決めようかってなって、みんなで一生懸命いろいろ考えたんだけど、エルが「Watercolors」っていうのはどう?  って提案したんだよ。なんかエルの好きなギタリストのアルバム名らしいんだけど、なんかいい感じだよね。それで意味を調べると、英語で水彩絵の具とかいう意味らしくって、じゃあこれから何もない白紙のキャンバスに私達で色々な色をつけていこうよとか言って、それでグループ名は、Watercolorsに決定したんだ。」


「それでグループ名も決めたんだから、早速なんかの大会に出てみようってなったんだけど、でもすでにリズが勝手に東京の大会に申込んでたんだよ。それじゃあ急いで曲を作らなきゃってなって。とりあえずエルが曲を作ってくれて、詞とダンスの方はみんなで考えて。それでみんなで一生懸命練習して、これだったらけっこういけるんじゃない? って思って、みんな自信満々で東京に行ったんだよ。ってこの辺くらいからだと、みんな知ってるよね。」

 会場がドッと湧いた。


「でも、東京の大会に出たら、もうこれが全然ダメで。でも、めげずに私達その後も色々な大会に出場したんだけど、やっぱり順位なんかいつも下の方で。さすがにもう全国大会目指すのなんかやめて、みんなでもっとわいわい楽しくやった方がいいんじゃないって話をしたこともあったんだけど。それで、喫茶店でみんなで話している時に、リズとメグが、「私達にとっておきの秘策がある。だから、もうちょっと待っててね。」って言うから、何だろうって思って。それでしばらくしたら、アンナちゃんが私達の高校に転校してきて、「私が来たからには、もう全国大会で優勝するしかないよ。」って言って。アンナがガールズアイドル部に入ってくれたんだよね。そうだよね、やるんだったら、やっぱり全国大会に出たいよねってなって、それでみんなでずっとがんばってきたら、なんか大会での順位もどんどん上がってきて。アリスもそん時くらいから部室でプラモ作んなくなったし。なんかだんだん楽しくなってきたんだよね、ガールズアイドル活動が。」

 アンナが、目をつぶりながら笑っている。おそらく当時のことを思い出しているのだろう。


「確か、その頃だよね。大会とかイベントになると、まだ中学生だったプルちゃんが、私達のファンになって、毎回応援しに来てくれるようになったのは。」

 プルがリタの方を向いてうんうんと必死にうなずいている。


「それで、これはもしかしたら本当にいけるんじゃないか? 全国大会、ってなって。それで、私達が1年生の12月に、6人で全国大会の地方予選に出場したんだけど。」


「でも、結局優勝できなくって、全国大会の決勝にも行けなくて。それで、なんか敢闘賞っていうか、がんばりました賞みたいなものをもらったんだよ。確かに私達がんばったんだけど…。でも私達がほしかったのは、がんばったねっていう言葉じゃなくて。学校のみんなも、地元のみんなも、それに私達のアニメを観てくれていたみんなも、本当にたくさんの人が私達のことを応援してくれたから、絶対に優勝したかった。それなのに私達の実力だけが足りなくって。本当に情けなかった。」


「そんなことない!」とか「優勝だった!」とか、オタオタがちらほらとリタに向かって叫んでいる。


(1年目から全国大会に出場できるほど、世の中は甘くない。君達は1年目にしては十分がんばったよ。)


「でも、そんなの私達の実力不足なんだから仕方ないじゃん。実力が足りないんだったら、もっとがんばって実力をつけたらそれでいいじゃん、ってみんなで話し合ってすぐ前を向けたんだよね。私達基本全員ポジティブだから。」

 会場から、クスッと笑い声が漏れる。


「それに、全国大会の予選が終わって会場をしょんぼり出ようとしたら、会場の外でプルが待っててくれて。私達の所に来ると、「私来年、みなさんと同じ高校に入ります。そしたら、私もWatercolorsに入れてくれますか?」って言ってくれたんだよ。それで、私達も笑顔で、「もちろんいいよ。待ってるよ。」って言ったんだよ。」

 プルがリタの方を向いて、再びうんうんと必死にうなずいている。


「それで私達が2年になった時に、1年下から、約束通りプルが入ってくれて。その後にミアちゃん、ルーシーちゃんの順番で入ってくれたんだよね。」


「ミアは確か、クラスにダンスがすごくうまい娘がいるって、プルが紹介してくれたんだよ。それで私達がガールズアイドル部に勧誘したら、「別に入ってもいいよ。」って、案外すぐに入ってくれたんだよ。後で聞いたら、中学のダンスの全国チャンピオンだっていうから、すごくビックリしちゃったよ。」

 ミアはリタをからかうように、ダンスを少し披露した。


「それで、新学期が始まって1か月くらいした頃かな。商店街に、なんか東北の方から新しく和菓子屋さんができるって。それでオープン記念セールですべての和菓子が100円だっていうんで、練習帰りにみんなで寄ったんだよ。そしたら、私達と同じ制服を着た娘が、お店の中で働いていて。それがルーシーだったんだよ。それで、私達とルーシーも入れて、みんなで店の中でずんだ餅を食べてたら、私達の話を離れた所で聞いていたルーシーのお父さんとお母さんがやってきて、この娘、すごく人見知りで恥ずかしがり屋なんです。遠くから引っ越してきたばかりで、こっちで友達ができるか心配なんです。それで、なんか私達のガールズアイドル部に入れてあげてくださいってお願いされて。それで、無理やりガールズアイドル部に入ることになったんだよね。」

 ルーシーは慌てて、


「実はあの時、私もみんながガールズアイドル部に入ってもいいよって言ってくれて、すごくうれしかったずんだ。でも、あの時はすごく恥ずかしくって、何も言えなかったずんだ。」

 と、そう弁明した。


「そんなのわかってるよ。それで、1年のみんなもよくがんばってくれて。最初の方は大会とかイベントなんかは2年生と3年生の6人だけで出てたんだけど。まずはプルが加わって。だってプルは、私達のファンだった時から、私達の歌もダンスも完璧にマスターしてたもんね。そしたらミアが、なんで私はまだなの? って、私達にブーブー文句言ってたよね。でも、次のイベントくらいから、ミアも加わって。それで最後にルーシーが加わって。確か秋くらいだったかな、ようやく9人揃って大会とかイベントに出場できるようになったのは。でも不思議だったのがね、最初の方から私達6人で合わすより、9人全員でやった方が、なんかいい感じになるんだよね。明らかに1年の3人あんまり上手くないのにさ。」


「えー! そんなことこの場で言う?」

 ミアが不服そうな顔でリタに突っこみを入れる。

 するとエルが、


「いや、あんた歌うの全然ダメだったじゃん。」

 と、横からミアに突っ込みを入れた。


「でも、本当のことだったんだよ。実は2年生と3年生で、どうする? いっそいきなり9人で始めちゃう? って相談してたんだよ。でもリズが、9人の方が確かになんかいい感じなんだけど、1年生の3人ががんばって私達の所まで追いついてきてくれたら、私達はもっともっと上の方まで行ける。私達は私達で逆に彼女達に追い付かれないように必死にがんばろうって言って。私も1年生のこと、少しかわいそうだなって思ったけど、でも確かにリズの言う通りだ。そうだ、私達は1年には絶対に追いつかれないぞってがんばってたんだよ。」


 リタがルーシーの方を振り向いて、

「それで、私も何とか1年に追いつかれないように必死にやってたんだけど。プルが追いついてきて、ミアも追いついてきて、そして最後はルーシーにも追いつかれちゃって。くやしかったけど、すごくうれしかった。ようやく私達9人で、みんなの前で歌えるんだ、って思うと。特にルーシーは最後までメンバーに入れなくって、すごくつらかったと思うけど、それでも諦めずにずっとがんばってくれて、最後は実力で9人目のメンバーになってくれた。」


 ルーシーは涙ぐんでいる。

(確かにプルとミアは比較的早めにメンバー入りできたのだが、ルーシーだけは、本当に最後の最後だったな。)


「それで9人になって、大会に出たら、なんか1位ばっかり獲れるようになってきて。それで2年目は全国大会の地方予選も優勝することができて、やった優勝だ。やっと全国だ、東京に行けるってなったよね。学校のみんなも、地元のみんなも、ファンのみんなもすごく喜んでくれて。それで、全国大会は、その…」


 会場がシーンとなった。



「負けちゃって。」



 そうなのだ。彼女達オタカラは彼女達のアニメの力もあって、すでに全国的な知名度を誇り、それに見合う人気も実力も共に十分に兼ね備えており、彼女達の全国大会優勝は間違いなしと言われていた。だが、実際には彼女達は優勝することができなかった。


「でも、今度の全国大会は、優勝できなくてもちろんくやしかったんだけど、もう私達の全部は出し切ったっていうか、なんか不思議に納得して、結果を受け入れられたな。ああ、もうこれで終わりなんだって、そう思うとなんか気が抜けちゃって、なぜかすごくほっとした記憶がある。」

 おそらく彼女達は、アニメでの人気も加わって、今まで相当なプレッシャーと戦ってきたのだろう。


「それで大会が終わった後、A市に戻って、このまま残った6人で来年も全国大会優勝を目指すか、9人でWatercolorsを続けるか、みんなで相談したんだよね。3年のみんなは、せっかくなんだし、来年も全国大会の優勝目指しなよって言ってくれたんだけど、やっぱり私達この9人でやりたいなってなって、結局全国大会は諦めた。」


 そう、ここまでが彼女達Watercolorsのアニメのストーリーだ。


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