表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/35

3-1:導師様ライブまであと1か月

 3章では、Watercolorsの結成5周年ライブの開催を知った導師様の、彼女達への想いがついに爆発。ライブ1日前導師国を捨て、空軍の若き天才女性パイロットを伴って日本への出撃を開始するが、なかなか思ったようにいかない。

 そして、それから月日が流れ、今はライブ開催まであと1か月


 実は彼女達のライブのチケットを入手したのだ。しかも正規のルートで購入した。日本のイーマイナスというチケット販売のサイトを通してある。


 それはライブ開催まであと2か月というある日のことだった。

 いつもの秘密の部屋でのネットサーフィンにより、イーマイナスというサイトを通して、今回のライブのチケットを購入する必要があるということは、以前より知っていたが、それに加え、申込みができるのはWatercolorsの5周年記念CDシングルの購入者に限るという話であった。導師国と日本とは、その教義が大きく異なり、正式な国交がないどころか、5000年以上前の因縁によって永久に和解できない国家、双方にとって仮想敵国という関係になっている。つまり、わたしには日本のイーマイナスというサイトでチケットを購入することはできないし、日本国内で販売されるCDも購入することができない、導師国-日本間の定期便など運航されているはずもない。そのため、Watercolorsの5周年ライブに参加するための条件はすべて満たしていないという状況であった。そのため、ライブへの参加など到底不可能であり、始めからライブに行く気など毛頭もなかった。


 その日もいつものように、秘密の部屋にて彼女達の情報を収集していた。

 そして、日本のあるエンターテイメント系のサイトを見ていた時だった。「Watercolors5周年記念ライブチケットの一般発売が決定。申込はイーマイナスにて〇月〇日より受付開始」という記事であった。わたしは以前のDoSee-musicでWatercolorsの楽曲を手に入れるという経験があったので、さすがに今回はないだろうと思いつつ、念のため一応スマートフォンのストアで、イーマイナスのアプリがないか確認した。すると、アプリの中にイーマイナスがあったのだ。一瞬ビクッとしたが、さすがに同名の全く別のアプリであろうと思いながらも、とりあえずそのアプリをインストールし、中を開いてみた。だが、それは間違いなく日本のイーマイナスのアプリだったのだ。わたしは試しにWatercolorsと検索してみた。すると、ライブ一覧に彼女達の5周年記念ライブの一般発売の申込ページがあったのだ。試しに申込むというボタンを押し、申込んでみた。すると、なんと最後まで申込めたのだ。その日、わたしはなぜ申込めたのか意味が分からなかった。


 翌日システムの開発担当部門にチャットで問合せした所、なぜ申込むことができたのか、その謎が判明した。

 わたしが導師国より支給されているスマートフォンが最新式であることは以前にも紹介したが、わたしのスマートフォンは最新式で最上級モデル、なおかつ最高クラスの幹部にしか持つことが許されない特別仕様になっているということであった。先ほど導師国と日本とは国交も樹立しておらず仮想敵国という関係になっていると説明したが、それは表向きの関係である。実は、国家の上層部間では、昔からかなり友好的な関係が続いているのだ。


 要するに国の政治、一般生活など、国内に国民の不満の目が向かないよう、あえてお互いに外部に敵対国を作ることで、国民の注意をそちらにそらし、かつ国内の意思統一を図るため、表面上はあえてこのような関係を維持しているのだ。

 与党と野党の関係性などで言ったらわかりやすいかもしれない。与党支持者は、現政権を応援し、野党を批判することで体制の維持を主張し、逆に野党支持者は、政権を批判し、野党を支持することで、変革を訴える。これは一見両者の対立構図が成り立っているように見えるが、実は全くの茶番である。与党であれ、野党であれ、実際には国という箱庭の中にいる同志であり、表ではお互いを批判しあっているが、裏では手を繋いでおり、もしも政権が交代することがあったとしても、結局やることは同じで、以前と何も変わることはないだろう。そもそも政治家になりたいという人間などにロクな人間はいないので、それが与党であろうと野党であろうと特に意味はないのである。単に国民の不満に対するガス抜きでしかない。君たちも注意したほうがいい。本当の敵は外側でなく、むしろ内側にいるのだ。


 だが実際の所、アニメなどの娯楽系の文化を中心に日本の文化が、導師国に大量に流入している現実を見ての通り、一般的な導師国民は、日本に対して特に悪感情は抱いてはいない。むしろ、好意的な方ではないだろうか。

 だが、日本とはどんなに友好的な関係があると言っても、5000年の因縁があるため、国交を交わすことは永久に不可能であろう。


 そういうわけで、上層部に限って、とても友好な関係にある日本の主だったアプリは、この特別仕様のスマートフォンには標準で入っており、かつ必要なアプリがあれば新たにインストールすることも可能だということである。イーマイナスでWatercolorsのライブ申込時に、新規会員登録が必要とあったので、名前を「コンノドウシ」など適当に入力したところ、会員登録ができてしまったのは、このスマートフォンによる特別な仕様のためだということだった。だがこのスマートフォンは万能ではなく、友好国である日本のBakutenやLaneなどのアプリは使えるが、そうではない国、例えばアメリカのGuugleとかInstogramなどのアプリはインストールすることができないらしい。また国交が樹立されている国のアプリでも、セキュリティ上に問題がある国のアプリはインストールできないようになっている。


 そういうわけで、わたしのイーマイナスのWatercolors5周年記念ライブの一般発売の申込は正式に受付されていたのである。

 そして、申込時にチケット代金の支払先として登録したわたしのクレジットカードなのだが、これがまた凶悪なものであった。わたしが所持しているクレジットカードは、導師だけが持つ特別な導師専用のクレジットカードなのだが、わたし個人で何かを購入するという必要がなく、今まで使ったことがなかったので知らなかったのだが、このカード、何を購入しても導師国の機密費扱いとなっており、使途は完全に不明、なおかつ引き落とし先は国庫から、というとんでもないものであり、このカード1枚で国が買えてしまうというほどのものだった。先代の父は、このカードを使って秘密の部屋にある酒を大量に購入していたようである。


 そういうことで、イーマイナスからチケットを購入することなど、造作もないことだったのだが、なんと一般申込の抽選で落選してしまったのだ。いくら導師といえども、導師枠というものはなく、抽選は平等ということらしい。外してしまうと、ますますほしくなってしまうのが人間の性というものだ。その後、2次抽選に申込んだものの、2次も外れ、3次抽選の段階でなんとかチケットを入手できたのである。(チケットは電子チケットとのことだが。)それがライブ1か月前の、今日というタイミングだったのだ。


 だがチケットが手に入ったといっても、実際にライブに行くことは不可能なことには変わらない。

 あくまでライブに参加する資格を得たという意味合いでしかないことを強調しておこう。そして、このチケットは記念としてとっておこう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ