表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョンで始まる子育てスローライフ~ダンジョンに閉じ込められたら社畜と人懐っこい幼子ゴブリンの敵はダンジョン探索者だった~  作者: k-ing☆書籍発売中
第二章 社畜、現実を知る

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

50/52

50.社畜、変化に驚く

「なっ……なんだこれ……」


 ダンジョンの中に入ると、草原が戦場になっていた。


 地面に突き刺さる剣や槍。


 無数に矢が刺さって、凄まじい戦いがあったと誰が見てもわかるほどだった。


 それに周囲には血痕がいくつもある。


「お前、こんなところに住んでいたのか?」


「いや、俺が出ていくまではただの草原だ」


 このダンジョンに初めて来た生田には、戦場に来ている感覚だろう。


「ほわとー!」


「ホワイトー!」


 俺達はすぐにホワイトを探す。ただ、探索者の姿も見当たらない。


 ホワイトやゴブリンも探索者にやられたのだろうか。


「みんなしゃがんで!」


 突然心菜が叫んだ。


 声に反応して、俺達はその場でしゃがみ込む。


 空に舞う無数の武器達。


 心菜はそれを一つも近づけずに弾き飛ばす。


 彼女が探索者の中で最強と呼ばれていた理由が改めてわかった。


「誰かが近づいてくるぞ」


 生田はスキルを使って何者かが近づいて来ているのがわかるのだろう。


 距離が結構あるからか、俺には手足が長いスタイルの良い人達の集団にしか見えない。


 きっとホワイト達ではないのは確かだ。


「ダンナ様が帰ってくるまでここを守るのよ!」


「うおおおおおおお!」


 己を鼓舞するかのように、叫びながら走ってきた。


 まるで戦国時代のようだ。


「とーたん、あれほわと!」


「えっ?」


「ゴボオオオオオオオオ!」


 ゴボタが大きく叫ぶと、謎の集団はその場で足を止めた。


 それでも武器を構えて警戒はしている。


「ダッ……ダンナさまあああああああ!」


「うおおおおおおお!」


 何を言っているのかは聞こえないが、俺達に向かって走ってきているのはわかる。


 このままじゃ俺達が殺されるだろう。


「おいおい、こっちに来たじゃないか!」


 俺はすぐにゴボタとリーゼント抱えて走り出す。


 それに釣られてなのか、心菜と生田も走り出した。


 恐怖の持久走の始まりだ。


「にひひ!」


「ワォーン!」


 俺の腕の中にいるゴボタとリーゼントは楽しそうにしているが、俺からしたら全く楽しくない。


 本当に命懸けだからな。


「なっ、ダンナ様!? また私と恋の駆け引きがしたいのですね」


「うおおおおおおお!」


 さっきよりも大きな声をあげて走ってきている。


 チラッと確認したら、武器を投げ捨てていた。


 武器が邪魔だと思ったのだろう。


 身軽な状態で肉弾戦に持ち込む気だ。


「無理無理! 俺そんなに足速くねーぞ!」


 それでも俺は必死に走る。だが、運動不足の体は小さな石でも足がもつれてしまう。


「あっ……!?」


 俺はそのまま落ちている魔宝石に足を引っ掛けて転がっていく。


 もちろんゴボタとリーゼントは怪我をしないように、胸に抱きかかえている。


 草原の上をゴロゴロと転がっていく。


 心菜と生田は俺が転んだことに気づいていないのだろう。


 俺達を置いて走って行った。


「大丈夫か!?」


「にひひ!」


「ボス、鈍臭いよ?」


 どうやら怪我はしていないようだ。


 リーゼントなんて、俺の悪口を言うぐらい元気があるしな。だが、転んだことで謎の集団に囲まれていた。


 外国人のような顔立ちで、耳の先が尖っている。


 本当に異国に住むような人物だ。


 ゴボタとリーゼントだけでも、逃げる隙間を探すが逃げられそうにない。


 俺は庇うようにゴボタとリーゼントに抱きつく。


「ダンナさまぁー! 私だけ仲間外れなんてひどいです!」


 異国の人達を掻き分けて出てきたのは、まるでゲームに出てくるエルフのような見た目をした美女だった。


 俺に近づいてきたと思ったら、大きな胸を押しつけてくる。


 さらに俺の頭は混乱していた。


「ほわとー!」


 ゴボタはホワイトと言っているが、全く別人に見える。


 こんな美人で胸の膨らみがある女性がホワイトのはずがない。


 あいつの胸はまだ成長期のため、小さめだったからな。


「ダンナ様、寂しかったですか?」


「ダンナ様……?」


「忘れたんですか? 愛するホワイトですよ!」


「うそ……だろ?」


「嘘じゃないですよ! みんなもダンナ様に会えて喜んでいるじゃないですか」


 俺を囲んでいた謎の集団は、森の中にいたゴブリン達らしい。


 この間見た時は姿は人間に近かったが、肌が汚かった気がする。


 今はほとんど人間にしか見えないし、男に関してはつる肌のイケメンでムカつくぐらいだ。


「それで……ダンナ様はこのムチムチになったホワイトと一夜を――」


「いや、体は関係ないからな。ホワイトは妹みたいな存在だ!」


「えー、ひどいですよおおおお!」


 ホワイトは抱きつきながら泣きついてくる。


 しっかり胸を押し付けてくる魔性な大人に成長してしまったようだ。


「ねぇ、どういうことかしら?」


 そんなゴブリン集団の中を、掻き分けるように心菜達が戻ってきた。


「ああ、この子がホワイトらしいぞ」


「そんな嘘を信じられるはずがないじゃない。私が知ってるホワイトはペチャパイのメンヘラの女よ!」


「ふん、今じゃ私の方が大きいもんね」


 ホワイトは心菜に胸を見せつけるように、胸を張って強調させていた。ただ、メンヘラに関しては修正しないようだ。


 ホワイト自身がメンヘラって言っているから良いのかな。


「くっ……」


 そんなホワイトの攻撃で心菜は精神的な大ダメージを喰らっていた。


「まるでエルフ……いや、エロフだな」


 隣にいた生田は鼻の下を伸ばしていた。


 20年経てば、生田もただのエロオヤジになったようだ。


 俺の妹に変態な視線を向けさせるわけにはいかない。


 そっと生田の視線の邪魔をする。


「チッ!」


 後ろで舌打ちをする音が聞こえてきた。


「ダンナ様……」


「まぁ、仮にホワイトだとしてなぜこうなったんだ?」


「あっ、これを見てもらえたらわかります」


【ダンジョンの権限が戻りました】


 どうやらホワイトからダンジョンの権限が戻ってきたようだ。


 その証拠に目の前には、半透明な板が浮いていた。


 【スキル】

 魔物召喚 1

 └ゴブリン 13(・・)

 └コボルト 1

 地形変更 2

 └地形変更セット 1

 └天候変更 1

 トラップ設置 1

 └巨大岩 1

 環境設備 2

 └植樹系調整 1

 └生態系調整 1

 資源召喚 2

 └魔宝石召喚 1

 └鉱物召喚 1


「ん? このゴブリンの数字はなんだ?」


 異様にゴブリンのところだけ数字が増えていた。


「えへへ、やっぱり私達ゴブリンも進化しないとね!」


 どうやらゴブリンであるホワイト達は、ポイントの影響で進化したようだ。

お読み頂き、ありがとうございます。

この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と思ってくださった方はブックマーク登録や↓の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価して下さると執筆の励みになります。

よろしくお願いします(*´꒳`*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ