表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョンで始まる子育てスローライフ~ダンジョンに閉じ込められたら社畜と人懐っこい幼子ゴブリンの敵はダンジョン探索者だった~  作者: k-ing☆書籍発売中
第一章 社畜、パパになる

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/52

28.空手姫、動画を見て勘違いする

 すぐに新ダンジョンの情報が流れてきた。


 聞いた時は耳を疑うほどの内容だった。


 見えない敵からいくつかの魔法が飛んでくる。


 武器を溶かす毒を吐いてくる。


 魔法が宿った新しい魔法石がみつかる。


 どれか一つでもすごいことなのに、それが同じダンジョンの情報だ。


 まだ、情報も少ないことを考えると、今後もたくさん知らないことが出てくる気がする。


 それに国から全探索者に情報と動画を共有するぐらいだから、価値があるダンジョンと判断したのだろう。


 私も早速送られてきた動画を見ることにした。


 新しいダンジョンにはあまり興味もないけどね。


 初めはどこにでもあるゴブリンの集落に、過剰だと思うほどの爆弾を仕掛けていた。


 ゴブリンもそれに気づき逃げ出していた。


 その後は、ただ森の中を歩く映像が続いていた。


「いや、ちょっと待って」


 私は動画を戻して確認する。


 やっぱりゴブリンは爆弾が設置された段階で逃げ出していた。


 魔物であるゴブリンが人間を襲わずに、逃げることは基本珍しい。


 それなのに襲ってくるわけでもなく、爆弾から逃げるように走るゴブリン達。


 その時点でこのダンジョンがおかしいと、ダンジョン配信者は気づくべきだろう。


 そのまま動画を見ていると、問題になっている場面が流れてきた。


 簡易的な家のようになっているが、ハンモックが寝床になっている構造の集落だ。


 近くには小さな池があり、水の対策もしっかりしているようだ。


 その集落もさっきのように、探索者が壊していく。


 ダンジョンで使える爆弾が足りないのか、ある程度時間がかかるのだろう。


「グワアアアアア!」


 大きな咆哮が聞こえたと思ったら、火属性魔法が画面に向かって飛んできた。


「うわ!?」


 その瞬間、私も驚きの声をあげてしまった。


 この世界にお伽話のドラゴンがいるのかと思うほどだった。


 まだ、ドラゴンが存在しているとは言われていない。

 

 空想上の生物だが、ゴブリンやオーガ、そして魔法も存在するとなったらドラゴンがいてもおかしくはない。


 ただ、そんな生物がダンジョンから出てきたら、人々は死しか選択肢はなくなるだろう。


 その後も情報通りに、いろんな種類の魔法が飛んできていた。


 そんな中、気になる存在をみつけた。


 情報では姿が見えない魔物が襲ってくると聞いていた。


 だが、私のスキルで見るとゴブリンのような幼子が手押し車を押しているように見えた。


 その上乗っているのも小学生ぐらいの少女だ。


 少女は石を両手に持っており、お互いに叩きつけると魔法が発動していた。


 あれが噂の新しい魔法石なんだろうか。


 確かに剣が溶けているところを見ると、明らかに異常を感じるほどだ。


 今までそんなに知能がある魔物が存在していなかったからね。


 ただ、森から聞こえる謎の咆哮の魔物は見ることができなかった。


 結局は情報がまだ足りないようだ。


「知能が高いゴブリンも中々厄介よね。それに手押し車を作るだけの知能もあるってことだよね」


 知能がある魔物がいるとは聞いていたが、それがゴブリンだとは聞いていない。


 ハンモックよりも手押し車の方が、確実に作るのは難しいからね。


 ただ、画面に映っていたのは確実にゴブリンだった。


 それでも私は新ダンジョンに興味が惹かれなかった。


 私は何かあった時に戦うぐらいがちょうど良いのだろう。


 私は終わったと思い、動画を切ろうとしたらまだ少しだけ続きが残っていた。


 ただ、その光景を見て空いた口が塞がらないでいた。


 もはや手に持っているコーヒーカップが傾いて、コーヒーが溢れるほどだ。


 それなのに私はコーヒーに目もくれなかった。


「お兄ちゃんが生きてる!?」


 そこに映っていたのは20年前に、突然消息不明になっていた近所に住むお兄ちゃんだった。


 お兄ちゃんが学生の頃は、よく遊んでもらったのを覚えている。


 まさか生きているとは思わないだろう。


 それに見た目の年齢は変わっていない。


 もし、生きていれば今頃40代のはずだからね。


 確かに職場の同期だった生田さんもそれぐらいの年代だ。


 ただ、画面に映るお兄ちゃんはあの頃のままで止まっている。


「まさかレイスに体を乗っ取られたってことか!」


 幽霊型のレイスと呼ばれる魔物が存在している。


 やつは死んだ人に入り込む、最悪な魔物だと言われている。


 愛する人、パーティーの仲間など大事な人を自分の手で殺すことができるだろうか。


 ただ、レイスを倒して埋葬しないとずっと体だけ操られている状態だ。


 お兄ちゃんを助けられるのは高難易度ダンジョンに挑む資格がある高ランク探索者の役目だ。


「お兄ちゃん……今すぐ私が助けに行くからね」


 日本に初めて誕生したSランク探索者のサイコパス(空手姫)が動き出した。

お読み頂き、ありがとうございます。

この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と思ってくださった方はブックマーク登録や↓の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価して下さると執筆の励みになります。

よろしくお願いします(*´꒳`*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ