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第04話:記憶統合

アヲが2歳のとき、突如として前世の記憶が彼の中に流れ込んできた。その記憶は、日本という国の高校生、静蔵アオとしての生活だった。


静蔵アオは普通の高校生であった。友達と学校で過ごす日常、家族との暖かい時間、趣味の音楽…それらは彼にとって何よりも大切なものであった。しかし、ある日突然、彼の生命はトラックに轢かれる事故で終わってしまった。


その事故の記憶は鮮明であり、それが彼にとっての最後の瞬間であった。しかし、彼が次に目を覚ましたとき、彼は狼の獣人の体として新たな世界で生を受けていた。初めての経験と新しい体、そして異なる環境に彼は驚きと混乱を感じた。しかし、前世の記憶が彼の中にしっかりと残っており、彼は自分が静蔵アオという日本の高校生であったことを確信していた。


アヲは、自分がなぜこの世界に生まれ変わったのか、前世の記憶と新しい生活の中でどのように生きていくべきかを模索する日々を過ごすこととなった。


・・・


アヲが7歳の頃、彼の中の前世の記憶と現世の記憶が完全に統合された。彼の中に流れる前世、静蔵アオとしての日本の高校生としての記憶は、彼の心と身体に完全に馴染み、彼の一部となった。


この統合によって、アヲは他の子供たちとは異なる独特の雰囲気を持つようになった。彼の目は、その若さに似合わず、深く、落ち着いていて、達観したようなものになった。彼の視線には、一生の経験を持つ老人のような賢さが宿っていた。


村の子供たちは、アヲが特別であることを感じ取っていた。彼は子供たちと遊ぶ際にも、時折先人の知恵や前世の経験を彼らに教えることがあった。しかし、彼は常に優しさと慈しみで彼らを接しており、村の子供たちはアヲを尊敬し、愛していた。


アヲの達観した態度や深い視線は、彼が前世の経験と現世の生活を上手く融合させ、新しい人生の中で自分自身を見つけることができた結果であった。彼は前世の終焉と新しい生を受け入れ、その中での自分の役割や存在意義を深く理解していた。


・・・


村の中心から離れた高台に立つ修行の場。この「寺小屋」は、静謐で神秘的な雰囲気を纏っていた。

かつて祈りと修行の場であった古刹を改造したもので、古木と伝統的な彫刻、精巧に彩られた壁画が、その歴史と伝統を語っていた。

教育の場となってからも神聖さは失われることなく、子供たちに安らぎと知識を提供していた。


村の6歳から10歳までの子供たちは、この学び舎で知識を受け取ることになっていた。

アヲもその一人で、姉のナヲとともに毎日この場所へ通っていた。

読み書きや計算、そして獣人術群の基礎が教えられる場所で、子供たちにとっては学びと遊びの場であった。


この日も、アヲとナヲは寺小屋の扉をくぐる。冷たく澄んだ空気、そして土着信仰に基づくお寺の神聖な雰囲気が、彼らを迎え入れた。


「おはよう、ナヲ、アヲ。今日も一日、がんばろう!」先生の優しい声が、寺小屋に響き渡る。

子供たちは先生の笑顔に応え、学びの時間を楽しんでいた。


壁には土着信仰の神々や自然の力を象徴する壁画が描かれ、神聖さと美しさを兼ね備えていた。

アヲは、授業中、窓の外の自然の美しさに目を奪われることがよくあった。

彼の心の中には、獣人として、そして人としての強いアイデンティティが早くも芽生えていた。

この学び舎での学びが、アヲ、ナヲ、そして他の村の子供たちにとって、人生の礎となり、彼らの未来を形作っていくこととなる。


アヲは文字や計算に関して、他の子供たちよりも頭一つ飛び抜けていた。

しかし、獣人術群に関しては異なった。理論は理解できるのに、実践が難しく、特に人化術はうまく行かなかった。

「アヲ、こんなに頑張ってるのに、どうして人化できないんだろう?」

ナヲが心配そうに語ると、アヲは苦笑いをした。

「僕もわからないよ。でも、大丈夫。ここは僕たちの村だから」

しかし、その言葉の裏には、ヒトの世界と獣人の間で生きることの難しさや葛藤が隠されていた。

村の外の世界では、獣人差別が根付いている。獣人がヒト社会で生きるためには、人化術を習得することは必須となっていた。

アヲの人化できない状態は、外の世界との交流において大きな障壁となる可能性があった。


獣人術群、いろいろ術が存在するため“群”がついている。


記述されてないが、、、

記憶が統合されるとカジカのことを想っているがどうしょうもないとも悟っている

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