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第02話:少し時を戻そう

本当のタイトル名は、↓ です。


「トラックに轢かれ異世界転生したら狼男かつ勇者になったので陰陽道を極めたら異世界から地球に悪魔召喚されて美少女小悪魔になって幼馴染みの悪役令嬢と一緒に日本から追放されたのだがスライムテイマーとしての才能が開花したのでグアムでタピオカショップを開店世界的なヒット日本に戻って来てと言われてももう遅いアレなんか忘れてる」



第2話:少し時を戻そう


都内の緑が多いエリア、小高い丘の上に建つ、伝統ある私立中高一貫校「星峯学園」

その門をくぐる生徒たちの中に、静蔵しずくらアオと杜賀もりがカジカという幼馴染の存在があった。

二人は家が隣同士で、子供の頃からの思い出が数え切れないほど積み重なっている。学園の制服姿でも、彼らの仲の良さは周りから一目でわかるものだった。


ある日、放課後。カジカは図書館で必要な参考書を探していた。アオもたまたま図書館に訪れていて、彼女を手伝うことに。

部屋の奥、古びた書棚の間で二人は本を探していた。カジカが上の段の本を取ろうとしてバランスを崩し、そのままアオの方へと倒れてきた。

アオは とっさに彼女を受け止めようと前に踏み出し、その一瞬、二人の唇が触れ合ってしまった。


突如として訪れたその瞬間、時間が止まったかのように感じられた。気まずさが空間を埋め尽くす。

二人は即座に顔を背け、言葉も交わさずその場を離れた。それがただの事故であったことは、お互いにとって明白だった。


しかし、その後のカジカの態度は一変。目を合わせることすら避けられてしまう。

その日も、カジカは友人たちと少し話すものの、すぐに帰宅した。


アオはそれを遠くから見つめていた。彼の隣には、クラスメイトの横田がいた。


「アオ、カジカちゃんと何かあったの?」横田は心配そうにアオに問いかける。


「うーん…特に何も…」アオは言葉を濁す。


横田は頷きながら、「まぁ、時々こんな時期もあるよ。大丈夫、すぐに元のようになるさ」と励ましてくれた。しかし、アオの心の中の不安は消えなかった。


翌日、放課後。アオはカジカの家を訪れることに決めた。カジカのおじいさんとおばあさんは、アオにとってもなじみ深い存在だった。カジカの家の玄関に立ち、アオは呼び鈴を押した。


しばらくして、おばあさんがドアを開けて、「あら、アオちゃん。カジカは部屋にいるわよ」と微笑んだ。


「ありがとう、おばあさん」とアオは返事をし、カジカの部屋へ向かった。ドアをノックすると、中から「忙しいから帰って」という返事。


ドアの前で、アオは戸惑いながらも「あの日はごめん」と伝えたが、返事はなかった。


次の日、学園の中庭で昼休みを過ごしていたアオは、カジカが友人たちと楽しそうに話しているのを目撃した。彼女の笑顔は以前のものと変わりなく、アオは一瞬ホッとした。


だが、その後カジカは彼の目の前を通り過ぎるとき、わざと目をそらしてしまった。アオは心の中で「何がおかしいんだろう」と自問自答した。


そのような状態で、春が終わりを迎え、初夏の暖かさが日常を包んでいたある日。アオはいつものように学園から家路についていた。彼の心には、カジカとの関係の変化とその原因を知りたいという焦りがあった。


その日の放課後もカジカはすぐに帰宅してしまった。アオは彼女の後を追っていくつもりはなかったが、偶然にも彼女と同じ道を歩んでいた。


道路沿いに歩く中、アオの目の前に小さな子犬が飛び出してきた。子犬は迷子のようで、怯えた表情をしていた。道の真ん中に立ち止まってしまった子犬の姿を見て、アオは何とかして助けなければと感じた。


その時、急に大きなエンジン音が聞こえてきた。振り返ると、大型トラックが高速で近づいてきているのが見えた。アオは迷わず子犬の方へ駆け寄った。彼の腕が子犬を掴むと同時に、トラックの大きな轟音と衝撃が彼を包み込んだ。


周りの人々が駆け寄る中、アオは静かに地面に横たわっていた。子犬は彼の手の中で震えていた。


カジカの瞳には涙が浮かんでいたが、その中には確かな覚悟と決意が宿っていた。


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