日常と非日常
前書きがないという前書き。
私は、自分が好き。LIKEじゃなくてLOVEの方で。だからこそ、自分を魅せる為に努力した。メイクも表情も歩き方さえ。こんなに可愛くて、格好いい努力家の女の子は、他にいないんじゃないかな。
って、思いたかったし、なりたかった。本当の私はこう。
いつも周りの目を気にして生きてきた。こんなに不細工で、品の無い私は、変わりたいと思っても何かの言い訳を見つけて、一切の努力をしなかった。それなのに、努力してる可愛い女の子と自分を比べて落ち込んで、最高に惨めな女の子。まぁ、もう女の子って歳でもないんだけど。明日も土曜出勤。死にたい…
了
「…了っと」
私、山田恭子は、いつもの個人ブログを書き終えて、そのまま投稿した。ほっと一息ついた。明日、歯磨くか…。飲みかけのストゼロを一気に飲み干して、空いた缶を捨てに、キッチンまで歩いた。
私は、趣味で個人ブログを書いている。もう始めて、2年になった。ブログの名前は、〔週6通勤の病みOLの呟き〕。こんなんでも、結構な人が見てくれてる。大体、100人、200人ぐらい。最近は、ブログのコメントが生き甲斐になるぐらい、生活の一部になってる。因みに、最後の「了」は、有名なラノベ作家の真似っこ。コメントをくれる人たちは、私を肯定してくれて、応援してくれる。だからこそ、週6通勤の中で時間を空けて、2年間毎日、続けてきた。
缶を捨てた私は、5万の狭い部屋を圧迫するベットに、飛び込んだ。スマホを弄ろうとしたけど、目がパチパチしたから、やめた。
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デデデデッ、デデデデッ、ロックンロールに設定してるアラームが鳴り響く。ボーカルが奇声を出したあたりで、目が覚めた。大きなため息を吐きながら。私は、指をポチポチして、ブログのコメント欄のページを開いた。集まったコメントを見ながら、朝の支度をするのは日常。今日は、十件くらい溜まってた。いつも通り。
コメントは、「お仕事頑張ってください。私も…」みたいな長文が五つ。「fight!٩(^‿^)۶」みたいな短文が4つ。を読み終えたあたりで、トーストが焼けた。
私は、トーストを咥えながら、最後の1つを見た。思わず、床にトーストを落としてしまった。これは非日常。コメントに添付されてる写真を見て。今度はスマホを落としてしまう。震える手で拾い上げたスマホの画面には、変わらずに
「山田恭子 ○○県○○市△△ アパート西崎 202号室」の文字と私の裸の写真が映っていた。これも非日常。
ミスがあれば、何なりと。急いで修正します。